お母さんと間違われた恋

大学時代に約1年ほど付き合ったĄくんは、サークル仲間の中でリーダーのような存在でした。明るくいつもみんなのことを配慮しつつ引っ張っていってくれる素敵な男性のように見えました。

しかし、それは仮の姿で本性は全くの別物だったのです。

Aくんとは知り合ってからすぐに親しくなり付き合いました。
お互いに一人暮らしだったこともあり最初こそ行き来していましたが次第に私の家で半同棲状態になりました。

そのあたりからAくんの様子がだんだん変わっていきます。
まず食事についてです。居酒屋バイトをしている彼は賄いが出るため夕食が不要でした。
私は自分で夕食を作ることがほとんどでしたが、朝食はヨーグルトのみで済ましていました。

そんなある日Aくんから「どうして朝ごはんを用意してくれないのか」と怒られたのです。
朝が弱い私はあまり食べられないため、必要なら自分で用意してほしいと伝えると、
バイトで疲れているのに作ってくれないなんて思いやりがないと家を出ていきました。
初めて理不尽に怒られたことに驚きつつも、
普段のAくんとあまりにも違うためきっと疲れがたまっているのだろうと思うことにしましたが

この判断が間違いだったことに後々気きます。
朝ごはん事件からしばらくして私は洗濯物の異変に気付きます。明らかに量が増えているのです。

Aくんの洋服だけならまだしも、バイト先で使用している制服まであらわされていました。もともと1人用の洗濯機なので一回では洗いきれず、二回に分けて洗うこともしばしば、手間がかなり増えていました。

また洗濯し、干して、畳むまで全部私が行っていましたが特に感謝されることもなく水道代もかなりかかっていたため、

一度バイト着をよけて洗濯をし、バイト服は自分で洗ってほしいことを伝えました。
すると、Aくんは「どうして洗濯をしてくれないのか」と怒り始めたのです。
とにかくおれはバイトで疲れているからの一点張りで、ご飯も作れない、
洗濯もできないなら付き合っている意味があるのかなどと逆切れをしてきました。

ここでようやく私もAくんへの気持ちが冷め、別れを決意しました。
いつも周りの人に気を使っているからこそ、家の中では甘えたかったのかもしれません。

しかし私はAくんと対等な関係で付き合いたかったのであって、
世話をするお母さんの代わりとして付き合ったわけではありません。
「どうして~してくれないのか」という発言ばかりを浴びせられましたが、
「してくれない」ではなく自分で「する」のです。やってくれないと嘆いてばかりでは何も始まりません。

一人で「暮らし」を送れるようになってからではないと対等な恋愛関係を気付くのは難しい
ということを身を持って体験しました。

ペンネーム 杏