郵便局でアルバイト先での恋

これは私が高校3年の冬、郵便局でアルバイトをしていた時の話です。冬の郵便局と言えば、年賀状の配布がありますが、私はバイクの免許がないことから、外勤ではなく局内での年賀状の仕分け作業を頼まれていました。5日間だけの短期のバイトでしたが、初めて入る郵便局に緊張していたのを覚えています。

初日、きょろきょろと辺りを見渡していると「こんにちは」と声をかけてくださった男性がいました。その方が私が恋をした相手のNさん。見た目はかっこいいとは言えず、背も低くてちょっと変わった歩き方をするのですが、何より笑顔が素敵でいつも本当にニコニコとしていました。私の指導担当となったNさんは教え方が丁寧でミスをしても「はいはい、これはこっちだよ~」と怒ることもなく直してくれる優しい方。また、とても気さくで当時18歳だった私に対してNさんは31歳だったので、13歳の年の差があったのですが、友達のような感じで接してくださったので慣れるのが早く、毎日出社するのが楽しみになっていました。

そんなある日、Nさんが局内のサークル活動としてフットサルをやっているとの話を聞き、「見に行きたい」と話すと、近くの中学校で練習をしているからと誘ってくれました。一度家に帰ってから夜9時に集合。運動着にスパイクを履いたNさんはまた普段とは違った姿でキュンとしたのを覚えています。1時間くらいの練習が終わり、片付けを終え、グランドの照明が一つずつ消えていくのをぼんやりと見ていました。

するとベンチコートを着たNさんが後ろからいきなり抱き着いてきたのです。私は何が起こったのか分からず、言葉が出なかったのですが、「寒いでしょ?ここで暖まりなさい」と自分のベンチコートの前を広げて包むようにハグ。その瞬間、私は恋に落ちてしまいました。そんなことをされて恋に落ちない女性がいるのでしょうか。

そんな私をよそに「冬は星がきれいだよね~照明が消えるとすごく見えるんだよ」と話をしているNさん。もう本当にこのときめきをどうすればいいのか分からず、とりあえず「またフットサル見に来たいな」と話しました。

すると、「うん、また見においでよ」と言ってくれました。「ただ…僕もうすぐ引っ越すんだよね」と打ち明けられました。「引っ越す?この辺じゃないんですか?」と聞くと「婚約者が今住んでいる街に引っ越さなきゃいけなくて、フットサルもその関係であまり参加できなくなるかもしれなくてさー」と笑いながら言うのです。

私は驚きすぎてまた言葉が出ませんでした。Nさんとは、5日間の勤務期間中、Nさんからの提案でメールアドレスを交換し、メールも頻繁にやり取りし、一度だけご飯も一緒に行き、フットサルを見に来てハグされて、今までのことは何だったのか。

当時のことを思い返してみるともしかしたらその後、私はその事実が覆らないかと少しの望みをかけてNさんにその場で告白をしていたような気がします。それを「そっか~でも僕なんかよりいい人いるよ」と言われたかもしれません。

どのみち、私はNさんが結婚をするという事実を覆すことはできませんでした。高校3年生の私が13歳も年上の男性に恋をするなんて、そして思わぬ結果で終わってしまうなんて当時は悲し身に暮れていましたが、今となってはいい思い出。現在は別の人と結婚をして幸せに暮らしています。