熊本市の中心部から少し東へ。文教地区として知られる大江(おおえ)エリアに、木々の緑と調和する重厚なレンガ色の建物があります。
それが、熊本市総合図書館・こども図書館です。
「こども図書館? 大人が行っても楽しめないのでは?」もしそう思って素通りしているなら、あなたは熊本の最も美しい風景の一つを見逃しているかもしれません。
ここは単なる本の貸し出し場所ではなく、名建築家が設計した「知の要塞」であり、目の前を流れる白川(しらかわ)の自然と一体化した、極上の散策スポットなのです。
今回は、建築ファンも唸るデザインの秘密と、読書の後に歩きたくなるリバーサイドの魅力について、深く掘り下げてご紹介します。

内井昭蔵が遺した傑作:大地に根ざす建築デザイン
この図書館は、世田谷美術館などを手掛けた昭和を代表する建築家、内井昭蔵(うちいしょうぞう)氏によって設計されました。
- 「健康な建築」という思想
建物を一目見ると、コンクリートの冷たさとは無縁の、温かみのあるレンガ色のタイルに覆われていることに気づきます。これは熊本の土や緑に馴染むように選ばれた色。内井氏は「建築は人間を健康にするものでなければならない」という思想を持っており、この図書館もまた、訪れる人が深呼吸したくなるような有機的な美しさを持っています。 - 迷宮のような楽しさ
館内は、高い天井と複雑に入り組んだ回廊が特徴です。特に「こども図書館」エリアは、子供たちの好奇心を刺激するように、隠れ家のようなコーナーや、光が差し込む読み聞かせスペースが配置されています。
大人のフロアも同様に、書架の間を歩くだけで、まるで森の中を探索しているような気分にさせてくれます。窓枠のデザイン一つとっても、幾何学的でありながら柔らかさを感じさせる、名建築ならではのディテールが満載です。

ページを閉じて、川へ出る:白川の遊歩道と「水辺の読書」
この図書館の最大の特権は、裏手に熊本を代表する一級河川、白川が流れていることです。
- 図書館から続くプロムナード
建物の裏手へ回ると、そのまま白川の河川敷へと続く遊歩道に繋がっています。ここは、ジョギングをする人や、犬の散歩をする人々が行き交う、市民の憩いの場。
春には桜並木が、夏には力強い緑が、秋にはススキが風に揺れる。四季折々の表情を見せる川面を眺めながら歩く時間は、デジタルデトックスに最適です。

- 「青空読書」のススメ
天気の良い日は、図書館で借りたばかりの本を持って、河川敷のベンチや芝生に腰を下ろしてみてください。
川のせせらぎと、ページをめくる音だけの世界。空調の効いた室内も快適ですが、風を感じながら物語に没頭する体験は、何にも代えがたい贅沢です。
散策のついでに:味噌天神とカフェ巡り
図書館がある大江エリアは、少し歩けば「味噌天神(日本で唯一、味噌の神様を祀る神社)」や、こだわりの自家焙煎珈琲店が点在するエリアでもあります。
建築を愛で、川沿いを歩き、最後は美味しいコーヒーで一服する。
熊本市こども図書館は、そんな「知的な休日」の拠点として、大人にこそふさわしい場所なのです。

アクセス方法
熊本市総合図書館・こども図書館へは、路面電車(熊本市電)やバスを利用してアクセスするのが便利です。
【鉄道(熊本市電)でのアクセス】
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出発地点 |
利用路線 |
下車駅(電停) |
詳細ルート |
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熊本駅 |
熊本市電 A系統(健軍町行き) |
味噌天神前(みそてんじんまえ) |
電車で約25分。下車後、県立劇場方面へ徒歩約12~15分。 |
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上通・通町筋 |
熊本市電 A・B系統 |
味噌天神前 |
電車で約10分。下車後、徒歩約12~15分。 |
【バスでのアクセス】(※最も近くまで行けます)
歩く距離を短くしたい場合は、バスの利用がおすすめです。
- 桜町バスターミナルから: 熊本都市バス(県立劇場方面行きなど)に乗車し、「北水前寺」または「県立劇場前」バス停で下車。徒歩約3〜5分。
WEB編集者のアドバイス:
図書館の駐車場はありますが、休日やイベント時は非常に混雑し、満車になることが多いです。白川沿いの散策をゆっくり楽しむためにも、公共交通機関を利用するか、少し離れたコインパーキングに停めて、川風を感じながら歩いて向かうのがスマートですよ!
