熊本市の中心部に位置する桜町。かつてここに、世界最大級のバスターミナルとして親しまれた「熊本交通センター」がありました。その跡地に2019年、熊本の風景を一変させる巨大複合施設として誕生したのが「サクラマチクマモト(SAKURA MACHI Kumamoto)」です。
単なる大型ショッピングモールだと思って訪れると、そのスケールと美しさに圧倒されるはず。ここは、熊本城という歴史的遺産と、現代の都市機能を「緑」でつなぐ、世界でも類を見ない場所なのです。

歴史を継承し、未来へつなぐ:再開発の経緯と「日建設計」の美学
サクラマチクマモトの再開発は、2006年に計画が持ち上がったところから始まりました。2016年の熊本地震を経て、熊本復興のシンボルとしての役割も担いながら、総事業費約777億円を投じて完成しました。
設計を担当したのは、日本を代表する設計事務所日建設計(太宏設計事務所との共同企業体)。彼らが打ち出したコンセプトは「熊本城と庭つづき」です。
- 棚田のような外観: 建物を遠くから眺めると、各階が少しずつセットバック(後退)し、まるで緑豊かな「棚田」や「山」のような曲線を描いています。これは、隣接する熊本城の石垣「武衛返し」や、熊本の豊かな自然をオマージュしたもの。
- 陽春庭(ようしゅんてい)の復活: 江戸時代、この地には細川家の「陽春庭」という名庭園がありました。サクラマチの屋上庭園は、そのエッセンス(借景・水景・築山・舞台)を現代に蘇らせた「現代の陽春庭」としてデザインされています。
まちの中の空中庭園:サクラマチクマモトの「見どころ」
施設内を歩くだけで、視界が常に緑と空に開かれているのがサクラマチの凄さです。
① 桜町庭園 & ルーフトップパーク(屋上庭園)
5階から屋上にかけて広がる庭園は、誰でも無料で入れる「マチナカの公園」です。
- 桜町庭園: 熊本城が目の前に迫る絶景スポット。季節ごとの植栽が美しく、まさに城下町を歩いているような感覚に浸れます。
- ルーフトップパーク: 子どもたちが遊べる「白い大きなすべり台」や、夏場に人気の「水の遊び場」があり、家族連れが一日中過ごせる場所になっています。
② 巨大な「動くくまモン」
5階のテラスには、高さ約4mの巨大なくまモン像が鎮座しています。決まった時間になると動く仕掛けがあり、フォトスポットとして不動の人気を誇っています。
③ 熊本城ホール
2,300席を誇るメインホールは、熊本県産の無垢の杉材が積層された、温もりある空間。コンサートだけでなく、国際的な会議が行われるMICE拠点としても機能しており、ここから新たな文化が発信されています。
住まい、泊まる、集う:都市機能の「巨大集積回路」
サクラマチクマモトは、以下の機能がギュッと凝縮された一つの「街」です。
- 商業施設: 約150の店舗、TOHOシネマズ熊本サクラマチが入居。熊本初出店ブランドも多く、常に賑わいを見せています。
- KOKO HOTEL Premier 熊本(旧ホテルトラスティプレミア): 上層階に位置するラグジュアリーなホテル。熊本城を正面に望む贅沢な滞在が可能です。
- ザ・熊本ガーデンズ: 地上15階建ての分譲マンション。熊本城の城下町に「暮らす」という究極のステータスを提供しています。
- 熊本桜町バスターミナル: 1階に位置する、日本最大級のバスターミナル。29のバースを備え、県内外を結ぶバスが1日5,000台以上発着します。完全ホームドア形式で、安全性と快適さが両立された最新鋭のターミナルです。
熊本駅との違いを楽しむ「歩く旅」
JR熊本駅が「新幹線の玄関口」として進化している一方で、この桜町エリアは「熊本の生活と文化の核心部」です。
駅から市電に乗って「辛島町」や「花畑町」で降り、サクラマチを目指す。そして、サクラマチの庭園から熊本城を眺めた後、下通・上通という歴史あるアーケード街へと足を伸ばす。この回遊性こそが、熊本歩きの醍醐味。新しさと古さが、サクラマチという巨大な「庭」を介して見事に調和しています。
主要駅からの鉄道・バスアクセス
サクラマチクマモト(熊本桜町バスターミナル)へのアクセスは、公共交通機関が非常に充実しています。
- JR熊本駅から:
- 熊本市電: A系統「健軍町行」に乗車し、「辛島町」または「花畑町」電停で下車(約12分)。徒歩1〜2分です。
- 路線バス: 駅から頻繁に出ている「桜町バスターミナル」経由のバスに乗車(約10分)。1階のターミナルに直結しています。
- 阿蘇くまもと空港から:
- 空港リムジンバス: 約50分。直接「熊本桜町バスターミナル」へ到着します。
- 福岡・九州各地から(高速バス):
- 博多(ひのくに号)や宮崎、鹿児島など、九州各都市を結ぶ高速バスはすべてこのターミナルに発着します。
