奈良県といえば、修学旅行で訪れた東大寺の大仏や、鹿と触れ合った奈良公園を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、もしあなたが「ガイドブックの定番コースにはもう飽きた」「もっと新しい視点で街を歩いてみたい」と感じているなら、ぜひ一度足を運んでほしい場所があります。
それが、天理市の玄関口にある天理駅前広場「コフフン」です。
駅を降りた瞬間に目に飛び込んでくるのは、真っ白で巨大な円盤状の構造物。一見すると近未来の秘密基地のようですが、実はこれ、奈良に馴染み深い「古墳」をモチーフにデザインされた場所なのです。今回は、このユニークな広場の秘密と、そこから始まる新しいまち歩きの楽しみ方をご紹介します。

世界が注目するデザイン!「コフフン」の設計者と独創的な特徴
天理駅前の風景を一変させたこの広場は、世界的に活躍するデザインオフィス「nendo(ネンド)」の代表、佐藤オオキ氏によって設計されました。
佐藤氏は「Newsweek」誌の「世界が尊敬する日本人100人」にも選出された、現代を代表するデザイナーの一人です。彼がこのプロジェクトで目指したのは、単なる公共施設ではなく、市民や観光客が自然と集まり、思い思いに過ごせる「街のラウンジ」のような空間でした。

「コフフン」という名前の由来と特徴
名前の由来は、もちろん「古墳(こふん)」と、思わず「フフン♪」と鼻歌を歌いたくなるような楽しさを掛け合わせたもの。広場内には、古墳を模した円盤状の構造物がいくつも点在しており、それぞれが異なる役割を持っています。

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多目的広場: ステージや観客席として活用され、イベントが開催されます。
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遊具エリア: 巨大なトランポリンや滑り台になっており、子供たちが自由に体を動かせます。
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カフェ・ショップ: 地元の食材を使ったメニューや、天理ならではのお土産が並びます。
これらの構造物は、実は「プレキャストコンクリート」という、あらかじめ工場で作られたパーツを組み立てる特殊な技法で造られています。この緻密な設計によって、あの滑らかで美しい真っ白な曲線が実現されているのです。

ガイドブックには載っていない、天理駅前から始まる「新視点」のまち歩き
コフフンを満喫した後は、そのまま天理の街へと歩みを進めてみましょう。天理市は、日本で唯一「宗教団体の名前」が市名になっている、非常にユニークな歴史を持つ街です。
巨大建築とアーケードの不思議な融合
駅から続く「天理駅前商店街」を歩き出すと、まず驚かされるのがそのスケール感です。アーケードを抜けた先に見えてくるのは、伝統的な和風建築でありながら、ビル数階分に相当する高さを持つ「おやさとやかた」と呼ばれる巨大な建築群。
一般的な観光地にある「古民家」や「寺社仏閣」とは一線を画す、圧倒的なボリューム感と整然とした街並みは、初めて訪れる人にとって新鮮な驚きを与えてくれます。
日常の中にある「おもてなし」を感じる
天理の街を歩いていると、すれ違う人々が「こんにちは」と自然に挨拶を交わす場面に出会うことがあります。これは、この街に根付く助け合いの精神が、街全体の空気感を作っているからです。
おしゃれなカフェや最新のスポットを追いかけるのも楽しいですが、ここではぜひ「街の造形美」と「人々の暮らし」に注目してみてください。コフフンの現代的な白と、歴史を感じさせる重厚な建築。このコントラストを写真に収めながら歩くだけでも、他の街では味わえない特別な発見があるはずです。

家族でも一人旅でも。コフフンで過ごす贅沢な時間の使い方
「コフフン」の最大の魅力は、ターゲットを限定しない懐の深さにあります。
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ファミリーで楽しむ:
お子さんがいるなら、白いトランポリン「ふわふわコフン」は外せません。安全に配慮された設計でありながら、全身を使って遊べるため、子供たちの笑顔が絶えません。親御さんは、すぐそばのベンチで見守りながら、開放的な空気を楽しめます。
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一人でゆっくり過ごす:
広場内には、天理市の情報を発信するインフォメーションや、落ち着いた雰囲気のカフェがあります。天理駅前というアクセスの良さを活かし、旅の計画を練り直したり、読書をしたりする場所としても最適です。
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夜のライトアップを楽しむ:
日が落ちると、コフフンは柔らかな光でライトアップされます。昼間の活気ある雰囲気とは一転し、幻想的で静かな空間に変わります。夜の散歩は、昼間には気づかなかった建物のディテールを際立たせてくれます。
天理駅前は、単なる通過点ではありません。コフフンというユニークな場所を起点にすることで、あなたの「奈良旅」はより深みのある、自分だけの物語へと変わっていくでしょう。
鉄道でのアクセス方法
天理駅は、JR線と近鉄線の2路線が乗り入れている便利な駅です。
| 出発地 | 利用路線 | 所要時間 | 備考 |
| JR 奈良駅 | JR万葉まほろば線(桜井線) | 約15〜20分 | 直通列車が便利です。 |
| 近鉄 奈良駅 | 近鉄奈良線・橿原線 | 約35〜40分 | 「大和西大寺駅」と「平端駅」で乗り換えが必要です。 |
| 近鉄 大阪難波駅 | 近鉄難波線・奈良線・橿原線 | 約60分 | 「大和西大寺駅」または「平端駅」で乗り換え。急行の利用がスムーズです。 |
| JR 大阪駅 | JR大和路線・万葉まほろば線 | 約60〜70分 | 「奈良駅」経由、または「天王寺駅」から快速を利用すると便利です。 |
