神戸・三宮のアイデンティティ:開港から続く「交差」の歴史
神戸の歴史は、まさに「交差」の歴史です。幕末の開港以降、三宮周辺は外国人居留地として整備され、そこから日本中にパン、コーヒー、洋服、ゴルフ、ジャズといった数々の「日本初」が広がっていきました。
三宮の街を歩くと、整然とした格子状の街路に出会います。これは居留地時代の設計の名残であり、当時の都市計画がいかに先進的であったかを物語っています。また、背後に控える六甲山系からの「風」と、目の前に広がる「海」の存在が、この街のデザインの根幹にあります。
神戸市民は、このハイカラな歴史を誇りに思い、新しいものを取り入れながらも古いものを大切にする「神戸ブランド」という独特の文化を育んできました。それは、震災という大きな困難を乗り越えた「まちづくり」への情熱にも繋がっています。

神戸市の人口
149万9,887人
神戸市のマンホール
市民がいつまでも住み続けたくなる街、何度も訪れたくなる街を目指し、異人館、ポートアイランド、六甲山をデザインしたマンホール蓋を北野町界隈や三宮地区に設置。

建築デザインを巡る:三宮駅から2km圏内の名建築
建築好きにとって、三宮はまさに「屋根のない博物館」です。ここでは、歴史的建造物から現代建築まで、見逃せないスポットを紹介します。
神戸旧居留地の近代建築群
三宮駅から南へ歩を進めると、重厚な石造りのビルが立ち並ぶエリアが現れます。「チャータードビル」や「神戸税関」など、大正から昭和初期にかけて建てられたオフィスビルは、装飾の美しさだけでなく、当時の国際都市としての風格を今に伝えています。夜のライトアップは、街全体のデザインをより一層引き立てます。

北野異人館街(風見鶏の館・萌黄の館)
駅から北、山の手へと坂を登れば、そこはかつての外国人たちの居住区です。レンガ造りの「風見鶏の館」や、パステルカラーが美しい「萌黄の館」など、各国の建築様式が混ざり合った風景は、日本の他都市にはない唯一無二の情緒があります。急勾配の坂道すらも、景観デザインの一部として計算されているかのような美しさです。
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
元生糸検査所をリノベーションしたこの施設は、古い建物を現代の創造的な活動拠点へと再生させた「まちづくり」の好例です。ゴシック風の外観と、工場のようなインダストリアルな内装の対比は、クリエイターならずとも刺激を受けること間違いありません。
スターバックスコーヒー神戸北野異人館店
明治時代に建てられた洋館で、有形文化財に登録されています。

神戸グルメのデザイン:五感で味わうモダン文化
神戸のグルメは、単に「美味しい」だけでなく、その提供スタイルや空間デザインまでを含めた「体験」として完成されています。
ティータイムと洋菓子文化
神戸といえばスイーツですが、特筆すべきは「喫茶店」の文化です。老舗の「にしむら珈琲店」などの内装は、クラシックな重厚感があり、一杯のコーヒーを飲む時間を豊かに演出しています。ケーキ一つひとつの造形も非常に繊細で、まさに「食べるアート」と呼ぶにふさわしいものです。
神戸ビーフと鉄板焼きのルーツ
三宮は、目の前の鉄板で焼いて提供する「鉄板焼き」スタイルの発祥の地とも言われています。熟練のシェフが目の前で食材を仕上げるパフォーマンスは、食のエンターテインメントであり、神戸らしい洗練されたホスピタリティのデザインと言えるでしょう。
神戸にゆかりがある著名人と企業の精神
この街からは、日本の産業や文化を牽引する多くの人物と企業が生まれています。
著名人:小松左京、村上春樹など
神戸は、数多くの文豪や表現者を惹きつけてきました。小松左京はそのSF的な想像力の源泉に神戸の風景を置き、村上春樹もこの街の空気感や港の風景を作品の端々に滲ませています。彼らが愛した「山と海に挟まれた境界線の街」という感覚が、創造性を育んだのかもしれません。
神戸発祥の企業:アシックス、UCC上島珈琲など
神戸に本社を置く、あるいは神戸で創業した企業には「パイオニア精神」が共通しています。
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株式会社アシックス: 鬼塚喜八郎氏が創業。「スポーツを通じて青少年の健全な育成を」という哲学は、製品のデザインと機能性の融合に受け継がれています。
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UCC上島珈琲株式会社: 日本のコーヒー文化を定着させた立役者です。世界初の缶コーヒーを開発するなど、常に新しいライフスタイルをデザインし続けています。
ゆかりある企業の紹介:株式会社ファミリア
神戸のデザイン文化を象徴する企業として、ベビー・子ども関連ブランドの「ファミリア(familiar)」を挙げないわけにはいきません。
ファミリアは1950年、4人の女性たちによって神戸で創業されました。その精神は「子どものために、本当に良いものを作る」ということ。朝ドラ『べっぴんさん』のモデルにもなったこの企業の物語は、神戸の丁寧なものづくりの象徴です。
三宮にある「ファミリア神戸本店」は、単なるショップではありません。そこには、子どもたちの感性を育むワークショップスペースや、美しいカフェが併設されており、一つの「教育デザイン空間」として構築されています。製品に使われる「手刺繍」や、機能性を徹底的に追求した素材選びなど、そのこだわりは「神戸ブランド」の矜持を感じさせます。
三宮駅周辺の「まちづくり」:進化する都心再整備
現在、三宮駅周辺では「100年に一度」と言われる大規模な再整備が進んでいます。「えき×まち空間」というコンセプトのもと、6つの鉄道駅を一つの大きな空間としてつなぎ、歩行者がゆったりと歩ける広場や緑道を整備しています。
かつての車中心の街路から、人中心の「ウォーカブルな街」への転換。これは、デザイン都市・神戸が目指す新しい都市のカタチです。阪神・淡路大震災を経験したこの街だからこそ、安全性と美しさを両立させた強靭なまちづくりが徹底されています。

大阪駅からのアクセス:圧倒的な利便性
三宮へのアクセスは、関西圏内であれば極めてスムーズです。大阪(梅田)エリアからは、3つの主要路線が利用可能です。
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JR神戸線(新快速): 大阪駅から三ノ宮駅まで、約21分。最も速く、景色も楽しめるルートです。
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阪急神戸線(特急): 大阪梅田駅から神戸三宮駅まで、約27分。マルーンカラーの車両と洗練された車内デザインが人気です。
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阪神本線(直通特急): 大阪梅田駅から神戸三宮駅まで、約30分。ベイエリアへのアクセスにも便利です。
どの路線を使っても30分圏内。週末のふらっとした「デザイン散歩」には最適な距離感と言えるでしょう。

