広島県福山市の駅前で、ひときわ異彩を放つ洗練されたスポット「イチセトウチ(itsetouchi)」。かつて「福山そごう」として街のシンボルだった巨大建築が、今、全く新しい形のコミュニティ拠点へと生まれ変わっています。
今回は、激動の歴史を経て再生したイチセトウチの歩みと、その魅力を詳しくご紹介します。
栄華と終焉:旧「福山そごう」が刻んだ歴史
1992年、JR福山駅前に鳴り物入りでオープンしたのが「福山そごう」でした。当時、世界最大級の時計「ロンドンの鐘」をシンボルに、バブル経済の余韻を残す豪華絢爛な百貨店として誕生しました。
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街の誇り: 高級ブランドやデパ地下グルメ、屋上遊園地など、福山市民にとって「特別な日」を象徴する場所でした。
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突然の幕引き: しかし、運営母体であるそごうの経営破綻により、わずか8年後の2000年に閉店。この巨大なビルの空白は、駅前の中心市街地活性化において長年の大きな課題となりました。
混迷から再生へ:そごう倒産から「イチセトウチ」誕生まで
そごう撤退後、この建物は「ロットプラザ」、そして2003年からは「エフピコRiM(リム・ふくやま)」として運営されてきました。行政主導の施設として公共機能や商業テナントが入居していましたが、老朽化や時代のニーズとのズレから、2020年に惜しまれつつも閉館となります。
そこで立ち上がったのが、民間活力を活かしたリノベーションプロジェクトです。 「1階と地下1階」という、街と地続きになるフロアを大胆に再生させ、2022年、複合施設「イチセトウチ」が誕生しました。かつての百貨店のような「閉じた箱」ではなく、街に開かれた場所へとシフトしたのです。

施設の特徴:百貨店の面影を残す「リノベーション」の妙
イチセトウチの最大の特徴は、「既存ストック(古い建物)の価値を再定義した」デザインにあります。
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むき出しの美学: 天井を抜いて配管を見せたり、コンクリートの質感を活かしたりするインダストリアルな内装は、かつての高級百貨店時代とは真逆の、ラフで居心地の良い空間を演出しています。
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回遊性の高いレイアウト: 壁を極力排除し、開放的なワンフロアの中に飲食店やショップが混ざり合う構成。どこからでも入りやすく、自然と人が交差する仕組みになっています。
コーキングスペース、シェアオフィス、スタジオ、シェアキッチン、飲食店、食品スーパーが入居しています。

街に活気を生むイベントの数々
イチセトウチは単なる商業施設ではなく、「文化の発信地」としての側面を持っています。
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マルシェの開催: 地元の農家やクリエイターが集まる週末マルシェが定期的に開かれ、生産者と消費者が直接つながる場となっています。
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ワークショップ: 料理教室、アート制作、トークイベントなど、学びと体験のプログラムが充実。
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ストリートピアノ: 開放的なスペースにはピアノが設置されることもあり、音楽が流れる日常的な風景が街に彩りを添えています。

アクセス情報
イチセトウチは、福山観光やまち歩きの起点として非常に便利な立地にあります。
鉄道でのアクセス
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JR山陽新幹線・山陽本線「福山駅」より
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南口(ばら公園口)を出て徒歩約5分。駅前大通りを直進すると右手に見える巨大なビルが目印です。
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クルマでのアクセス
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山陽自動車道「福山西IC」または「福山東IC」より
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市街地方面へ約15〜20分。
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駐車場:
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施設併設の駐車場(旧エフピコRiM駐車場)が利用可能です。利用店舗に応じた割引サービスがあるため、お買い物の際は駐車券をご提示ください。
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