福岡グルメといえば、博多ラーメン、もつ鍋、明太子……。ガイドブックにはそんな「定番」が並びます。しかし、福岡県民(特に男性陣)の胃袋を半世紀以上も掴んで離さない、強烈なソウルフードが存在することをご存知でしょうか?
その名は、「びっくり亭」。
TBSの人気番組『バナナマンのせっかくグルメ!!』で紹介され、全国的な知名度となったこの店ですが、単なる焼肉屋ではありません。店内に充満する煙とニンニクの香り、そして独特すぎる食べ方。今回は、福岡へ行ったら一度は体験すべき「鉄板焼肉」の聖地を、初心者でも楽しめるように徹底解説します。

昭和38年創業。福岡だけの食文化「鉄板焼肉」の元祖
びっくり亭の創業は1963年(昭和38年)。福岡市博多区の南福岡エリアで産声を上げました。
- 「焼肉」の概念を覆すスタイル
一般的に焼肉といえば、網の上で自分で肉を焼くスタイルを想像しますよね? しかし、びっくり亭は違います。
厨房で豪快に炒められた「豚のサガリ(ハラミに近い部位)」と「大量のキャベツ」が、熱々の鉄板に乗ってジュージューと音を立てながら運ばれてくるのです。 - 模倣店を生むほどのカリスマ性
このスタイルは、現在福岡県内で「博多鉄板焼肉」という一つのジャンルとして定着しており、多くの模倣店やインスパイア店が存在します。しかし、「本家」の看板を掲げるびっくり亭(本家 びっくり亭)こそが、その元祖であり頂点。50年以上変わらぬ味と、活気あふれる店内の雰囲気は、まさに歴史そのものです。

メニューは一つだけ?『せっかくグルメ』も驚愕した潔さ
初めて訪れる人が最も驚くのが、そのメニューのシンプルさです。
- 「焼肉」のみの勝負
基本的にフードメニューは「焼肉」のみ。あとはご飯と味噌汁だけです。- 焼肉 1人前
- 焼肉 1.5人前
- 焼肉 2人前(ダブル)
これだけです。あれこれ迷う必要はありません。席に着くなり「1.5枚、ご飯大盛り!」と注文するのが、この店の流儀であり、最高の散策の腹ごしらえです。

- テレビでの大反響
『バナナマンのせっかくグルメ!!』で日村勇紀さんが訪れた際、そのパンチの効いた味に悶絶し、白米をかきこむ姿が放送されました。それ以来、県外からのファンも急増しましたが、もともと地元では「中毒性が高すぎる店」として有名でした。ニンニクとラードの香りは、一度嗅いだら脳裏に焼き付いて離れません。
秘儀「びっくり棒」!味変を楽しむプロの作法
びっくり亭には、初心者には謎の道具がテーブルに置かれています。それは、拍子木のような「木の棒(ジェンガのような木片)」です。これこそが、この店をエンターテインメントたらしめる重要アイテムです。
- まずはそのまま味わう
運ばれてきた鉄板からは、湯気とともに強烈なニンニク臭が立ち上ります。まずはそのまま、塩コショウとニンニクで味付けされた肉とキャベツを一口。豚肉の弾力とキャベツの甘みが口いっぱいに広がります。 - 鉄板を傾ける(ここで棒が登場!)
ある程度食べたら、鉄板の片方の下に「木の棒」を挟み込み、鉄板を斜めに傾けます。すると、低い方に肉汁とラードが溜まってきます。 - 秘伝の「激辛味噌」を投入
溜まった脂の中に、卓上の「特製辛味噌」を溶かします。これをソースのようにして、肉とキャベツに絡めて食べるのです。
脂の甘みと味噌の辛味が融合し、白米が止まらなくなる「魔法の味」が完成します。

匂いを纏って街を歩く。それもまた旅の思い出
店を出る頃には、全身からニンニクと煙の香りが漂っていることでしょう。しかし、恥ずかしがることはありません。それはあなたが福岡のディープな文化に触れた証です。
本店の周辺は、かつて宿場町として栄えた雑餉隈(ざっしょのくま)エリア。昭和の風情を残す商店街や、ローカルな路地を散策しながら、胃袋の興奮を鎮めるのも良いでしょう。綺麗でオシャレな観光も素敵ですが、時には地元民に混ざって、煙にまみれながら肉を喰らう。そんな泥臭くも最高に旨い体験こそが、旅の醍醐味なのです。
アクセス方法
「本家 びっくり亭(本店)」へは、博多駅から電車で少し移動した「南福岡エリア」にあります。アクセスは非常に良好です。
【鉄道でのアクセス】
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出発地点 |
利用路線 |
下車駅 |
詳細ルート |
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博多駅 |
JR鹿児島本線(快速・普通) |
南福岡駅 |
乗車時間約6~9分。駅を出て徒歩約1分(目の前です)。 |
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天神方面 |
西鉄天神大牟田線 |
雑餉隈(ざっしょのくま)駅 |
乗車時間約15~20分。駅から商店街方面へ徒歩約10分。 |
WEB編集者のアドバイス:
JR博多駅からわずか数駅の「南福岡駅」を利用するのが最も便利です。駅のロータリーを出るとすぐに、赤い看板と独特の香りがあなたを呼んでいます。
ランチタイムや夕食時は行列ができることが多いですが、回転は早めです。「匂いがついても良い服」で行くことだけは、絶対に忘れないでくださいね!
