名古屋の街を歩いていて、「ファミリーマート(ファミマ)が多いな」と感じたことはありませんか?実は愛知県内において、ファミリーマートの店舗数は圧倒的。特に名古屋駅や栄などの中心部では、数分歩くごとにあの緑と青の看板に出会うといっても過言ではありません。
しかし、この「ファミマ強気」の状況は、最初からそうだったわけではありません。そこには、かつて名古屋を中心に絶大な勢力を誇った「赤い看板のコンビニ」との、劇的な合併劇が隠されています。
今回は、名古屋のコンビニ事情を語る上で欠かせない「サークルKサンクス」との歴史を紐解き、なぜこれほどまでにファミマが街に溢れているのか、その背景と今のまち歩きがもっと面白くなる視点をお伝えします。

名古屋の魂だった「サークルK」と運命の合併
かつて名古屋、そして愛知県は「サークルK」の牙城でした。サークルKを運営していたのは、名古屋に本拠を置く流通大手・ユニー(現:ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下を経て分離)。そのため、地元企業であるサークルKは、名古屋の人々にとって「最も身近なコンビニ」として深く根付いていました。
2016年、歴史が動いた「経営統合」
転機が訪れたのは2016年です。ファミリーマートと、サークルK・サンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスが経営統合を果たしました。これにより、日本全国でブランドの統合が進められることになります。
名古屋市内にあった膨大な数のサークルKが、次々とファミリーマートへと看板を掛け替えていきました。もともとサークルKが持っていた「一等地の立地」をそのままファミリーマートが引き継いだことこそが、現在の「名古屋にファミマが多い」最大の理由です。
かつて赤い看板が並んでいた風景が、数年で緑の看板へと塗り替わったこの変化は、名古屋の流通史上、最大級のインパクトを持つ出来事だったのです。
単なる「掛け替え」じゃない?名古屋のファミマが持つ独自性
ブランドは統合されましたが、かつてのサークルKのDNAは、今の名古屋のファミリーマートにも息づいています。
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高密度な出店戦略(ドミナント):
サークルK時代に築き上げた「地域密着型」の店舗網をそのまま継承しているため、住宅街の角、駅の出口すぐなど、まさに痒い所に手が届く場所に店舗が存在します。
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「焼きとり」や「スイーツ」へのこだわり:
実は、ファミリーマートの人気商品である「カウンターの焼きとり」などの展開には、旧サークルKサンクスが強みとしていたノウハウが活かされている部分もあります。合併によって、両者の「美味しいとこ取り」が実現したのです。
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地域限定商品との出会い:
名古屋のファミマでは、地元の調味料メーカー(カクキューの八丁味噌など)とコラボしたおにぎりやパンが並ぶことがよくあります。これは、地元密着だったサークルKの精神が、今のファミマにもしっかりと受け継がれている証拠といえるでしょう。
看板の跡を探せ!コンビニの歴史を感じる「名駅・栄」まち歩き
この記事を読んだ後に名古屋の街を歩くなら、ぜひ「看板の形」や「ビルの造り」に注目してみてください。
例えば、少し古めのビルの1階に入っているファミリーマートを見てみると、かつてサークルKだった頃の名残(店内の配置や、看板を取り付けていた枠の形など)が見つかるかもしれません。また、名古屋駅周辺では、ファミマ同士が非常に近い距離で向かい合っている光景も目にします。これは、旧サークルKと旧ファミマがそれぞれ至近距離に出店していた名残であり、合併後の激戦の歴史を物語っています。
コンビニは、単に物を買うだけの場所ではなく、その街の経済や暮らしの歴史が凝縮された場所でもあります。
「ここは昔、何色の看板だったんだろう?」
そんな想像を膨らませながら歩くだけで、見慣れた名古屋の街角が、まるで歴史の教科書のように見えてくるはずです。
【編集者からのメッセージ】
次に名古屋のファミリーマートに立ち寄った際は、ぜひ棚の隅々までチェックしてみてください。名古屋限定の「小倉トースト風サンド」など、地域限定の味が隠れているかもしれません。
