大阪の街を歩いていると、ふとした瞬間に鼻をくすぐる食欲をそそる香り。大阪は今や「スパイスカレーの聖地」として全国に知られていますが、そのブームの火付け役の一人であり、今なお圧倒的な個性を放ち続けている名店があります。
それが、谷町六丁目・空堀(からほり)商店街に佇む「旧ヤム邸(きゅうやむてい)」です。
一歩足を踏み入れれば、そこは昭和初期にタイムスリップしたかのようなノスタルジックな空間。古い長屋を改装した店内で供されるのは、既存の「カレー」という概念を鮮やかに裏切る、複雑で華やかなスパイスの芸術です。「いつものランチとは違う、五感を刺激する体験がしたい」というあなたに、この店の魅力を余すことなくお伝えします。

築130年の長屋が舞台。看板猫とアンティークに囲まれる至福
旧ヤム邸を語る上で欠かせないのが、その圧倒的な世界観を持つ店舗建築です。大正・昭和の面影を色濃く残す空堀エリアの中でも、この店が纏う空気感は特別です。
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五感を癒やす空間デザイン: 店内には使い込まれたアンティークの家具や、古めかしいレトロな小物が並び、オレンジ色の柔らかな照明が落ちついた時間を演出します。
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看板猫の「たろう」: 運が良ければ、看板猫の「たろう」くんが店内をゆったりと歩く姿に出会えるかもしれません。この自由な空気こそが、旧ヤム邸が「邸(やしき)」と呼ばれる所以です。
ここでは、カレーを待つ時間さえも大切な「まち歩き」の一部。ギシギシと鳴る階段や、壁に飾られた古い時計を眺めながら、街の歴史に思いを馳せてみてください。

毎日が「一期一会」。肉の旨味をスパイスが引き立てる「キーマ」の魔法
旧ヤム邸のカレーには、決まった定番メニューがありません。あるのは、その日、その瞬間にしか味わえない「日替わりのキーマカレー」たちです。

旧ヤム流・カレーの楽しみ方
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独創的な組み合わせ: 「牛豚キーマに、まさかの和出汁と季節の野菜?」と驚くような組み合わせが、口の中で完璧なハーモニーを奏でます。
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あいがけの贅沢: 迷ったら「2種がけ」「3種がけ」を選びましょう。皿の上で異なるスパイスの宇宙が混ざり合い、食べる場所によって味が変化していくプロセスは、まさに冒険そのものです。
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締めは「ヤムカレー」をかけて: 途中で添えられたカレースープ(ヤムカレー)をかけることで、さらりとした食感に変化。最後の一口まで驚きが続きます。
小麦粉を使わず、ハーブやスパイス、そして和の素材を巧みに使ったカレーは、食べた後に胃もたれせず、体に心地よいエネルギーを補給してくれます。

お腹を満たした後は。空堀の「坂と路地」を迷い歩く
旧ヤム邸でスパイスの洗礼を受けた後は、ぜひ周辺の空堀エリアを散策してください。この街には、戦災を免れた古い長屋や石畳の階段が今も多く残っています。
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「練(れん)」「惣(そう)」「輪(りん)」を巡る: 古い屋敷を再生した複合ショップが点在しており、雑貨屋やカフェを覗きながら歩くのが定番の楽しみ方。
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坂道の景色: 上町台地特有の起伏に富んだ地形は、歩くたびに視界が変わります。ふと横を向けば、細い路地の奥にひっそりと佇むお地蔵さんや、美しい緑に出会えるでしょう。
「食べる」だけで終わらない、街の記憶に触れる。そんな贅沢な時間が、旧ヤム邸から始まるまち歩きの醍醐味です。

主要駅からの鉄道でのアクセス方法
旧ヤム邸(空堀店)は、地下鉄の駅から近く、大阪市内のどこからでもアクセスしやすい場所にあります。
| 利用駅・路線 | 所要時間 | おすすめルート |
| Osaka Metro 谷町線「谷町六丁目駅」 | 徒歩 約4分 | 4番出口を出て南へ。空堀商店街の中を少し歩くと右手にあります。 |
| Osaka Metro 長堀鶴見緑地線「谷町六丁目駅」 | 徒歩 約4分 | 4番・5番出口が便利です。 |
| Osaka Metro 谷町線「四天王寺前夕陽ヶ丘駅」 | 徒歩 約15分 | 歴史ある寺院を巡りながら北上する散歩ルートもおすすめです。 |
| Osaka Metro 御堂筋線・千日前線「なんば駅」 | 乗り換え含め約15分 | 千日前線で「谷町九丁目」へ行き、谷町線に乗り換えて一駅です。 |
