横浜の観光地といえば、赤レンガ倉庫やみなとみらいのビル群を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、もしあなたが「ガイドブックに載っているような定番の景色だけでは物足りない」と感じているなら、ぜひ足を運んでほしい場所があります。
それが、横浜大さん橋(正式名称:横浜港大さん橋国際客船ターミナル)です。
ここは単なる船の乗り場ではありません。一歩足を踏み入れれば、そこには明治から続く歴史の重みと、現代建築が融合した不思議な空間が広がっています。今回は、知っているようで知らない大さん橋の奥深い魅力をご紹介します。この記事を読み終える頃には、きっと靴を履き替えて横浜の風を感じに行きたくなるはずです。

歴史が息づく「日本の玄関口」:130年の物語を感じる
現在のモダンな姿からは想像もつきませんが、大さん橋の歴史は1894年(明治27年)にまで遡ります。当時の日本にとって、ここは世界とつながる唯一無二の「窓口」でした。
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鉄の桟橋から始まった挑戦
明治政府が近代化を急ぐ中、イギリス人技師パーマーの設計によって誕生したのが、日本初の本格的な鉄桟橋です。当時は「メリケン波止場」とも呼ばれ、シルクの輸出や外国人観光客の往来で活気に溢れていました。
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震災と戦争を乗り越えて
1923年の関東大震災では大きな被害を受けましたが、不屈の精神で復興を遂げました。第二次世界大戦後には連合国軍に接収されるという苦難の時代もありましたが、それらの記憶すべてが、いま私たちが歩いているこの場所に刻まれています。
現在の建物は2002年に完成した4代目です。柱が一本もない広大な空間や、波打つようなウッドデッキは、「過去の歴史を尊重しつつ、未来への航海を象徴する」デザインとなっています。足元の木材の感触を楽しみながら、かつてこの場所から世界へ旅立った人々の高揚感に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

建築美と「キング・クイーン・ジャック」:新たな視点で楽しむ見どころ
大さん橋の最大の見どころは、なんといっても「くじらのせなか」の愛称で親しまれる屋上広場です。ここでは、視点を少し変えるだけで、いつもの横浜が全く違う表情を見せてくれます。
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「くじらのせなか」を歩く贅沢
ブラジル産のイペ材を使用したウッドデッキと、天然芝が広がるこのエリアは、まるで巨大な船の甲板にいるような感覚に陥ります。建築ファンならずとも、その有機的な曲線美には圧倒されるはず。どこを切り取っても絵になるため、写真撮影のスポットとしても非常に人気があります。

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「横浜三塔」を一度に望む伝説
横浜には、神奈川県庁(キング)、横浜税関(クイーン)、横浜市開港記念会館(ジャック)という3つの歴史的建造物があります。これらを同時に見ることができる場所を巡ると願いが叶うという「横浜三塔物語」をご存知でしょうか?
大さん橋の屋上には、この3つを一度に見渡せる絶好のポイントが隠されています。地面に描かれたマークを探しながら、街のシンボルを一度に眺める贅沢を楽しんでください。
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大型客船との遭遇
運が良ければ、世界中を旅する超大型客船が接岸している場面に出会えます。ビルを見上げるような圧倒的なスケールの船体は、日常を忘れさせてくれる迫力です。船が汽笛を鳴らして出港する瞬間は、街全体が旅情に包まれる特別なひとときとなります。

五感で楽しむ散策の極意:歩くからこそ見える景色
大さん橋を訪れたら、ターミナル内だけで完結させるのはもったいない。周辺の散策ルートを組み合わせることで、横浜の多層的な魅力をより深く味わうことができます。
おすすめは、大さん橋から「山下公園」へ抜けるルート、あるいは逆に「象の鼻パーク」へと続く道です。
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象の鼻パーク方面へ
大さん橋の付け根にある「象の鼻パーク」は、横浜開港の地です。ここから大さん橋を眺めると、その独特な形状が海に浮かぶ巨大な生き物のように見えます。カフェで「象の鼻ソフトクリーム」を片手に、海風を感じるのが通の楽しみ方です。
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山下公園方面へ
潮風を浴びながら、歴史あるホテルニューグランドの建物を眺めつつ歩く道は、まさに横浜の王道。しかし、大さん橋から歩き始めることで、港のダイナミズムと公園の静寂のコントラストをより鮮明に感じることができます。
夜景の時間帯も外せません。日没とともに、みなとみらいのビル群が宝石のように輝き始めます。大さん橋は遮るものがないため、360度のパノラマ夜景を独り占めできる場所。静かに波音を聞きながら、大切な人と、あるいは自分自身と向き合う豊かな時間を過ごしてみてください。
アクセス方法
横浜大さん橋へは、鉄道を利用するのが最も便利でスムーズです。主要駅からのルートは以下の通りです。
【鉄道でのアクセス】
| 出発地点 | 利用路線 | 下車駅 | 所要時間・詳細 |
| 横浜駅 | みなとみらい線 | 日本大通り駅 | 乗車時間約7分。「3番出口」から地上に出て、海の方角へ徒歩約7分。 |
| 東京・渋谷方面 | 東急東横線(直通) | 日本大通り駅 | みなとみらい線へ直通運転。日本大通り駅から徒歩約7分。 |
| JR根岸線沿線 | JR根岸線 | 関内駅 | 「南口」から徒歩約15分。横浜スタジアムや県庁を眺めながらの散策に最適。 |
| 地下鉄沿線 | 横浜市営地下鉄ブルーライン | 関内駅 | 「1番出口」から徒歩約15分。 |
編集者からのワンポイントアドバイス:
初めての方や歩く距離を短くしたい方は、**みなとみらい線の「日本大通り駅」**の利用がおすすめです。駅を出てから大さん橋の入り口までは、歴史的な建物が並ぶ美しい街並みが続いており、歩いている時間そのものが素晴らしい観光になりますよ!
