「水路の街・柳川」アラーキーが愛した風景と、進化する駅前を歩く大人な半日観光コース

投稿者: | 2026年2月28日

「福岡観光といえば、太宰府や天神が定番」……そう思っていませんか? ガイドブックを開けば、必ず載っている「柳川の川下り」。もちろんそれは素晴らしい体験ですが、今の柳川には、ありきたりの観光案内だけでは語り尽くせない、新しい風と深い歴史の層が重なり合っています。

今回は、20代から50代まで、知的好奇心旺盛な大人のための「柳川・半日まち歩きガイド」をお届けします。カメラを片手に、水路の音に耳を澄ませ、変わりゆく街の鼓動を感じてみませんか。

水路は道であり、鏡である。柳川の川下りで視点を変える贅沢

柳川観光の代名詞である柳川の川下り。しかし、これを単なる「舟遊び」と片付けてしまうのはもったいないことです。

柳川の掘割(水路)は、かつて柳川城を守る防御壁であり、生活用水であり、物流の要でした。船頭さんの巧みな竿さばきで進むどんこ舟に身を任せると、視線は水面からわずか数十センチの高さになります。この「低い視点」から眺める景色こそが、柳川の真髄です。

水面に映る柳の揺らぎ、古い白壁の蔵、そして頭上をかすめる低い橋。 実は、この柳川の風景に魅了された芸術家の一人が、世界的な写真家・アラーキーこと荒木経惟氏です。彼はかつて、亡き妻・陽子さんとの新婚旅行の地として柳川を訪れ、その後の人生でもたびたびこの地を撮影しました。

アラーキーがレンズ越しに捉えた柳川は、単なる観光地ではなく、生と死、日常と非日常が混ざり合う、エモーショナルな空間でした。皆さんも川を下る際、彼が切り取ったであろう「水と影のコントラスト」を意識してみてください。普段見ている世界が、少し違って見えるはずです。

香りに誘われ、歴史を食す。柳川の「うなぎの名店」で至福のひととき

川を下り、情緒あふれる景色を堪能した後は、柳川名物の香りに誘われることでしょう。柳川を訪れてうなぎの名店に立ち寄らない手はありません。

柳川のうなぎといえば、全国的にも珍しい「せいろ蒸し」が主流です。タレをまぶしたご飯の上に、香ばしく焼いたうなぎと金糸卵をのせ、せいろでじっくりと蒸し上げます。 この調理法により、うなぎの脂がご飯にじわじわと染み込み、最後まで熱々の状態で楽しむことができます。

街中には江戸時代から続く老舗や、地元民に愛される隠れた名店が点在しています。

  • 若松屋本吉屋といった風格漂う名店で、歴史の重みを感じながら箸を進めるのも良し。

  • 近年では、モダンな内装を取り入れた店舗も増えており、若い世代でも入りやすい雰囲気があります。

食後は、お腹を満たした勢いで、ぜひ「御花(おはな)」周辺を散策してみてください。かつての柳川藩主・立花家の邸宅であり、美しい庭園「松濤園」を眺めながら歩けば、贅沢な時間が流れます。

変わりゆく玄関口。柳川駅前の再開発と、歩き出す街の未来

さて、これまでの「伝統的な柳川」から視点を移してみましょう。今、柳川で最も変化が激しい場所、それが西鉄柳川駅前の再開発エリアです。

かつての駅前は、どこか懐かしい、言い換えれば少し古びた印象もありましたが、現在の柳川駅は見違えるほどモダンに生まれ変わりました。デザイン性の高い駅舎は、木のぬくもりを感じさせつつ、開放的な空間が広がっています。

この再開発によって、駅周辺にはおしゃれなカフェや、地元の特産品を扱うセレクトショップが増えつつあります。観光客だけでなく、地元の若者やクリエイターがこの駅周辺に集まり始めており、新しい文化の芽吹きを感じることができます。

「観光地としての柳川」から、一歩踏み込んで「暮らす街、変わり続ける街としての柳川」を感じること。 駅前から川下りの乗船場へ、そしてうなぎの香る掘割沿いへと歩みを進める中で、古いものと新しいものが共存する柳川のパワーを感じていただけるはずです。

この半日観光コースを終える頃には、あなたのカメラのロールには、ガイドブックには載っていない、あなただけの柳川が収まっていることでしょう。

アクセス方法

柳川市へのアクセスは、福岡市の中心部から「西鉄電車」を利用するのが最も便利でスムーズです。

【福岡市内(天神)からのアクセス】

  1. 西鉄福岡(天神)駅より、「西鉄天神大牟田線」の特急(大牟田行き)に乗車。

  2. 乗車時間:約50分

  3. 西鉄柳川駅下車。

  • ポイント: 特急料金は不要(乗車券のみ)で、日中は約30分間隔で運行されています。

  • 駅から街中へ: 柳川駅改札を出てすぐの場所に、各川下り会社の案内所や送迎バス、タクシー乗り場があります。徒歩でも10分ほどで主要な掘割エリアに到着できます。