屋上写真集をはじめ、築50年以上のビルでONLY FREE PAPER NAGOYAやセレクトお土産店など運営するなど名古屋駅の近くで活動している堀江浩彰さんにインタビュー。
1976年愛知県名古屋市生まれ
1996年頃から屋上を渡り歩き始め、ある屋上が閉鎖になったのをきっかけに、危機感が高まり写真に残すようになった。2005年に記録した屋上写真をweb上に公開。2009年には自費出版で写真集を制作。2018年9月ホリエビル開業、ONLY FREE PAPER NAGOYA、Gallery NA2経営。喫茶Riverプロデュース。2019年11月包みパイ専門店MEAT PIES MEETをプロデュース、NPO法人オレンジの会と共同運営。2021年3月開業のホリエビルANNEXにて、名古屋駅西の新しいセレクトお土産店“オミャーゲ名古屋”をオープン。いろいろやっています。
学生時代は1人暮らしをしていて、マンションの屋上に上がっては空を見上げるのが好きだった。当時は今のように立入禁止の屋上が少なかった。ある日建て替えで屋上に行けなくなるのを目の当たりにした時、好きな場所がなくなってしまう前に写真を撮ろうと思った。誰かに見せるものではなく自分が楽しむだけの写真だった。撮りに撮り続けた写真はあっという間に900ヶ所以上も撮影し、膨大な写真が溜まる。2005年にその屋上写真をWEBサイトに公開。
2009年に『 屋上とそら』というZINEを作り販売した。その頃はデザイン会社で働いていて、業務以外にもクリエイティブの課題を新入社員に与え、その一環で自分もZINEを作った。24ページの冊子で1冊800円で販売。2人だけ買ってくれるお客さんがいたが、残りは売れず在庫となった。残ったZINEを宣伝するためフリーペーパーを創刊0号として500部配った。創刊号は1000部。2号目は2000部。3号以降から5000部刷り、東京、大阪などに配布場所を拡大した。
現在はデザイン会社の社長を勤めているが、もともとデザイナーになろうと思ったことがなかったと語る。家からデザイン専門学校が近かったから、そこを選んだそうだ。ただ昔から印刷物やガラケーなど小さいスペースに凝縮されたデザインに魅力を感じていた。お菓子の箱も好きで、限られたスペースで必要な情報が盛り込んであるのが好き。フリーペーパーも『リラックス』や『ディクショナリー』がお気に入りで、美しくデザインされているものが好きだった。
『屋上とそら』の3号が出来た時、シブヤ経済新聞を見ていると、渋谷に『オンリーフリーペーパー』がオープンした事を知る。その後、堀江さんに問い合わせがあり、『オンリーフリーペーパー』でも『屋上とそら』を配布するようになった。数年後には渋谷パルコから東小金井に移転したが、その後も関係性は続き、『オンリーフリーペーパー』に出資する形で、堀江さんの実家が所有していた名古屋駅近くのホリエビルに名古屋店として出店することになる。
JR名古屋駅西口近くの築50年の堀江ビルがある。祖父が1970年に家業の青果店を営むために建てた建物で、父の会社(現在は解散)の所有だった。その後は一棟貸しをしていたが、そのテナントが退去となり、相続対策の関係もあって屋上とそら株式会社として起業、ビルを購入、所有した。
1階は「喫茶River」とフリーペーパー専門書店「ONLY FREE PAPER」、この2つをコアにしたフレキシブルスペースとして【NA】と名付けた。2階は「GALLERY NA2」、3階はシェアオフィスに自身が経営する「屋上とそら株式会社」「屋上とそらfree編集部」「有限会社ラディカル」などのオフィスを構えている。自前のビルにしたことで家賃がかからず、1階に喫茶やギャラリーを置いたことで通りから入りやすくした。
ある日、近所で活動してる『特定非営利活動法人オレンジの会』を主宰してる山田さん親子が訪問してきてくれた。20年近くひきこもり支援活動していて、その居場所づくりをしている方だった。何度か飲みに行き親しくなって、気がつけばほぼ毎日一緒に飲みにいくようになった。山田さんが当時関わっていたまちづくり事業のワークショップに興味をもち見学にも行ったことがある。
しばらくして、山田さんから就労継続支援B型事業の仕組みの上で運営するパン屋さんの後任オーナーを探しているが、なかなか承諾してくれる方が見つからず困っていると話を聞いた。その店を共同オーナーとしてサポートし、2019年から「包みパイ専門店MEAT PIES MEET」をリニューアルしオープンした。包みパイ=ミートパイは堀江さんが幼少期によく食べていて、利益率も良く就労する人にも工程数が少ないため作業しやすいというメリットもあった。1日150個限定でスタートし好調な滑り出しとなった。
コロナ禍の2021年、『屋上とそら株式会社』と『特定非営利活動法人オレンジの会』の共同事業として、ホリエビルの真向かいの元旅館ビルを改装した「ホリエビルANNEX」で、地域の作家や商品などを取り扱うセレクト土産物店『OMYAGE NAGOYA(オミャーゲ名古屋)』をオープンした。この店も『オレンジの会』の施設外就労の場として、ひきこもり傾向のある人々が仕事を通して町や社会につながっていくことも目的としている。将来名古屋駅にリニアが開通することもあり、観光交流拠点としても目指している。
勤めていたデザイン会社で、自分が代表として事業承継した。広告代理店からの仕事もしてるが「デザイナーには賞味期限がある。主要顧客となる広告代理店の社員はどんどん若返り、自分たちは歳をとっていく」が自論であり、今後はオミャーゲ名古屋でグッズを販売したり、デザイン以外の仕事を作っていき、自前の仕事を構築したい。あとは指名で仕事を発注してもらえるような「あの人、あの会社に頼みたい」という顧客を増やしてやっていきたい。
屋上巡り、収集癖多数
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屋上、名古屋駅西
五島列島(長崎県)
・奥野浩次(弓道写真家)
・古橋敬一(港まちづくり協議会)
※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
弓道写真家の奥野さんからの紹介でインタビュー。私自身もフリーペーパーやミニコミを出していたので、とても楽しみに取材させていただきました。屋上(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |