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【千葉】岩根宏(流山お田んぼクラブ)

小学校の教員を定年退職をし、不登校支援のほか、子どもや地域の人と一緒になった田んぼでの田植えや収穫などの活動でコミュニティづくりをしている岩根さんにインタビュー。

プロフィール

1953年生まれ 熊本県出身 流山市に住んで40年近く。 現在は妻と二人暮らし。 息子2人、孫2人。
神奈川大学を卒業後、民間の会社に3年勤務。 松戸市の中学校に講師として1年間勤務。その間、通信教育で小学校教諭免許取得。 1981年から33年間、松戸市の小学校に勤務し定年退職。 小学校では、主に生徒指導、教育相談を担当。 不登校問題を考える東葛の会の立ち上げに参加。子どもの居場所「ひだまり 」北松戸の運営に携わる。 不登校についてより深く学び、相談や支援のあり方を理解するため、小学校勤務と並行して、千葉大学大学院教育学研究科にて学校教育臨床を学ぶ。 この時の学びが、その後の学校現場や不登校支援において、大いに役に立った。 社会科の授業で知り合った流山市前ヶ崎の農家さんからお米づくりを教えてもらう。 学校で子どもたちと一緒にミニ田んぼを作りお米を育てる。 以来米づくりの楽しさにはまり田んぼに通う。 地域でお米づくりを通してコミュニティを作りたいと考え、2011年に流山お田んぼクラブを立ち上げる。現在は10数名のスタッフと一緒に活動。毎年、流山市などから120名を超える参加者。 2018年春、流鉄流山駅横のコミュニティスペース「machimin」を知り訪ねる。 その後、現役時代とは違った若い人たちと出会いつながりができた。 田んぼを活用した新しいコミュニティのあり方など、新しい発想に気づかされる。 現在は田んぼの他に畑での野菜づくりにも力を入れ、若い人たちと一緒に新しいコミュニティが出来ないか模索中。 2017年から社会福祉法人わかくさ会 かやの木保育園で理事長として関わり、保育現場からたくさんのことを学ばせてもらっている。

教員を定年退職し、子どもたちの居場所づくり

生まれは熊本県で、1年間福岡市で予備校生として過ごした後、横浜の神奈川大学に進学。大学卒業後は3年ほど民間企業で働き、それから33年間ずっと松戸市内の小学校の教員だった。現職の時から、不登校の子どもたちと向き合ってきて、北松戸にある不登校の子どもの居場所「ひだまり」を立ち上げ、運営に携わっている。不登校の問題は医師の力だけでは解決することができず、サポートできないかと話を持ちかけられたのが立ち上げのきっかけだったそうだ。それから子どもや親子さんたちとの交流が始まっていく。

不登校になるきっかけは様々な要因がある。子ども同士のいじめや先生とのトラブル、家庭内の問題など10人いれば10人それぞれだ。親御さんから相談され、はじめに面談をして、その子と合うかどうかを考える。そこから対話を重ねたり、学生スタッフとの会話やゲーム、読書といった自由な時間を過ごしながら元気になっていってもらう。合宿にお泊まり会も行うという。中学時代に「ひだまり」に来た子どもも高校生に進学してから、会いに来てくれる子もいるそうだ。そうして心が通じ合う瞬間を感じることもあれば、高校卒業後にどうやって社会に巣立っていくべきか悩みを抱える子も多いそうだ。岩根さんは、子どもたちにいろんな人と関わって欲しいと願っている。

社会科学習で田植えや稲刈りを体験

教員をしていた時、5年生の社会学習でお米づくりをすることになり、地域の農家さんにお願いして、田んぼを所有してる農家さんを紹介してもらった。それ以来田んぼに関わる事が始まっていく。子どもたちが専業農家さんたちから学ぶことも多く、農家ならではの知恵や自然に触れ合うことも出来た。社会科学習では田植えや稲刈りだけだったが、岩根さん自身は退職後も地域の方々と一緒に、田植えなどの活動をしていきたいと考えていたという。

ある日、新潟県十日町で棚田オーナー制度の募集を見つける。それに応募し廃校跡にできた宿泊施設に住み込み、地元の人たちと触れ合いながら農業体験をした。そこで見た地域の人たちも一緒に関わっている取り組みを、いつか自分でもやってみたいと思ったことが、後に流山市ではじめる活動につながっていく。後継者がいなくなっていく地域の専業農家さんと一緒に田んぼを守っていこうと決意する。

田んぼの日々の管理は大変で、草取りや水の管理が大切だ。また東日本大震災が起きた年には放射能の問題も付き纏ったが、市の検査も行い安全であることが確認されて、お米づくりを続けれてきた。福島県相馬市から避難されてきた方とも一緒にお米を作ったり、流山市と相馬市が姉妹都市関係ということもあり、小学生にランドセルを贈るという交流も行ったそうだ。

親子で体験できる田んぼ

2011年から流山市前ヶ崎で始めた『流山お田んぼクラブ』は、毎年100名を超える親子が参加し、田植えから稲刈り、収穫祭までの作業を行う。毎月第1土曜日が田んぼの活動日で、第2土曜日は、お米と朝どり新鮮野菜の直売所をやりながら、お田んぼカフェも行っている。ほかにもワークショップをやったり、みんなでお昼ご飯を食べたりしている。また、お米だけでなくジャガイモ、大根、インゲン豆、ズッキーニの収穫体験やヒマワリ畑も作った。

初めは子どもたちがやるのを見ているだけの親もいて、一緒に参加してほしいと呼びかけて親子一緒になって体験する喜びを感じてもらっている。流山市は東京都心からの人口流入も多く、活動を続けるなかで交流も増えていった。手塚純子さんの『machimin』ともつながり、稲刈りした後の田んぼで、遊べるのではないかと提案された。そして、田んぼに残った藁を使って、自然に囲まれながら、大人も子どもも楽しめるイベント『藁フェス』がスタートした。

自分たちが暮らすまちの農業者のことを知って身近に感じて欲しいという想いと、今まで以上に「いただきます」を楽しんで欲しいという願いもイベントにこめられている。イベントでは、藁を骨組みにかぶせて大きな三角屋根の「ティピーテント」作りや、藁を使った縄やホウキ作りをした。田んぼで穫れた新米を羽釜で炊いておにぎりを作ってみんな食べたりもした。多世代がともに心が通じ合う場所にもなっている活動を今後も若い人たちと続けていきたいと語ってくれた。

これからどうしていきたい

若い人と活動を続けていきたい。畑で作物をつくる体験、ひまわり畑でひまわり油を作ったりもした。体験できる場所があまりないので、収穫までできる体験など通じて、コミュニティを作っていきたい。

パッションポイント

米と野菜づくり、旅、温泉巡り(青森の酸ヶ湯温泉、秋田の乳頭温泉)

公式サイト、出版物など

流山お田んぼクラブ

こめとやさいとくらすラボ

チケット(私のできること、得意なこと)

田んぼや畑で、ものをつくる楽しさを共有しましょう。一緒にお話ししましょう。
子どもの不登校の相談を自然の中で話を聞きます。

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

千葉県流山市前ケ崎

お気に入りの場所(アウェイ)

新潟県十日町

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つながり

・中島慶人(直売ボックス)

飛田晶子(NPO法人越後妻有里山協働機構)

河尻和佳子(流山市役所)

手塚純子(machimin)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

河尻和佳子さんからの紹介。都市農園など畑をみんなで栽培したり収穫するという話はよく聞きますが、田んぼというのは前例が少ないので、とても興味深くお話を伺いました。私の実家の近くにも田んぼがあり、カエルの合唱や稲刈り後で走り回って遊んだりしてことを思い出しました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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