長崎市役所で勤務しながら、自身でも「長崎都市・景観研究所/null」をつくり公民両輪でまちづくりに関わる平山広孝さん。
1985年長崎市生まれ。和歌山大学システム工学部デザイン情報学科卒、九州大学大学院芸術工学府デザインスストラテジー専攻修了。現在、長崎県立大学地域創生専攻(博士課程)に在籍。専門は景観まちづくりとパブリックデザイン。平成22年3月に長崎都市・景観研究所/nullを設立。最近は長崎の都市環境や歴史文化を生かした遊び「ナガサキアソビ」の普及啓発にも取り組む。
異国情緒あふれる長崎市で生まれ育ち、予備校時代に建築に進むかデザインに進むか悩み、和歌山大学のシステム工学部デザイン情報学科に入学。そこで幅広くデザインを学んだ。大学に通うため和歌山に引っ越すと、中心街のアーケード商店街は閑散としていて、その光景にショックを覚えた。それまで育ってきた長崎を思い出し、生まれ故郷を見る目が変わったという。長期休みで長崎に帰ると、歩いて暮らせるコンパクトな街に歴史と賑わいが詰まっており、豊かさを感じた。和歌山大学を出て、長崎に近い九州大学大学院芸術工学部に行き、デザインストラテジーを専攻した。大学院では優れたデザインの中心にあるプロデューサーの存在を知った。
就職はデザイン事務所を志望していたが、地方のまちづくりには民間では出来ないプロデュースの領域があること感じ、自分がやりたいことは行政にあると確信したと語る。大学院に通いながら「長崎都市・景観研究所/null」を設立して、長崎のまちづくりについて研究を始めた。英文の頭字を取った略称の「null」はプログラミング用語で0という意味もあり、0から長崎の街を見つめ直すという意味を込めた。長崎でのまちづくりにも関わりだし、研究結果や取り組みについてブログやライブ配信を開始。2011年からは長崎市役所で土木技術職員として働き出した。市では川を生かしたまちづくりや、歴史を生かしたまちづくりに官民協働で取り組んでいる。
長崎市といえば坂が多い街として有名だが、斜面地では少子高齢化が進行するなど課題が多い。斜面地の地元自治会と力を合わせ、坂と農園を組み合わせ「さかのうえん」をスタート。空き地が増加しているという地域の課題を逆手にとり、空き地を住民と若者との交流を生み出す市民農園へとリノベーションする取り組み。地元企業等の支援も厚く、JAグループ長崎からは畑地用の培土4立方メートル(3トン弱)が寄贈された。「さかのうえん」は地域内に3つに増え、問い合わせも多く、もっともっと広げていきたいと意気込む。
旧長崎外国人居留地の一角にある築130年の伝統的建造物「長崎居留地12A」。トタンで改修されていた建物外装を建造当時の下見板張りの姿に戻すため、コミュニティスペースやシェアハウスとして活用。「長崎居留地まつり」の会場や音楽イベントの会場としても利用されている。最近では多拠点居住プラットフォーム「ADDress」の長崎市初の拠点として登録され、全国各地から面白い人が集まる場所になっている。
仕事も価値観も多様な老若男女が長崎の未来について自由に語り合える場づくりが必要だと考え、繁華街の空きスナックを活用した「コワーキングスナック」をプロデュース。そこは会員制で、人とお酒が集まる仕組みにした。特定のママがいるわけではないが、スナックという装置によって、自然発生的にカウンターの中に入ってママ役をしてくれる人が現れる。月額2,000円で週末や祝日に使い放題という仕組みだ。最近では、東京・上野から暖簾分けした「アーツ&スナック」という文化芸術イベントにも力を入れている。
役所と民間、役所と研究機関(大学)をつなぐ仕組みづくり。
これからの長崎を担う若者と一緒にこの街を創造的に楽しみ尽くしたい。
街歩き、斜面地探検、長崎近郊の自然満喫
・世界的コンパクトシティ長崎を堪能して頂きます。 |
・まちづくりスナックに御招待します |
※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。
水辺の森の公園
長崎市常盤町1-60
大阪市JR天満駅周辺の飲み屋街
・森恭平(FG長崎2045)
・中尾大樹(一般社団法人REPORT SASEBO、佐世保市職員)
※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
森さんからの紹介でインタビュー。感覚的に面白くて話を聞いててワクワクしました。長崎の街は大好きなのでまた長崎の街を歩きたいです。(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |