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【千葉】小笠原浩幸(みちくさ設計事務所)

EAU時代に宮崎県で「記紀の道」プロジェクト等に関わり、映画も製作。現在は独立して公共空間としての道をデザインしている小笠原浩幸さん。

プロフィール

1983年埼玉県生まれ、千葉市在住。千葉大学大学院修了後、日本交通技術株式会社、株式会社EAUを経て、2021年にみちくさ設計事務所設立。一級建築士、技術士(建設部門;鉄道)。学生時代から、まちづくりチームDropsに携わる。現Drops理事。2019年度グッドデザイン賞(記紀の道)など受賞。記紀の道を主題にしたドキュメンタリー映画「みちのみちのり」を企画。

まちや駅づくりに関心

埼玉県川口市で生まれ千葉大学工学部に進学。むかしNHK教育テレビの『このまちだいすき』という番組で、自分の視点でまちを調べて、模造紙に地図を書いていく様子が好きでよく観ていた。そうした影響もあり、大学選びの際にはまちに関わる学部で決めた。ゼミではまちをデザインする研究室に所属、発想力やドローイングの腕を鍛えられる。同時に、Drops(ドロップス)という団体に誘われて、実際に商店街の空き店舗を借りて、まちで楽しいことを生みだす活動をしていた。「夜灯(よとぼし)」という地域のお祭りや、工場夜景のモニターツアーの企画などが思い出深い。大学卒業後も少しずつ関わり続け、卒業5年後の2013年にNPO法人化する。

大学を卒業して、日本交通技術に就職。小さな頃から鉄道が好きで、大工への憧れもあったので、鉄道と建築が掛け合わされた駅舎や橋、トンネル設計に関われるということで、その会社を選んだ。5年間、相鉄と東急が新横浜駅経由でつながる新線の駅舎設計に関わっていた。しかし画一的な土木設計の世界に疑問を感じ、まちや人、暮らしに対して改めて考えるようになっていく。そこで土木にも「デザイン」が必要だと考え、その当時に知ったEAUに転職する。

宮崎の西都市で「記紀の道」づくり

2013年からEAUで勤めだし、主に道路や駅前広場のプロジェクトを担当。宮崎の西都市(さいとし)では道のデザインに関わることになった。西都市は日本最大の古墳集積地帯で神話の町でもある。町を訪ねてみると歴史を積み重ねてきた様子を感じることができる。「記紀の道」という日向神話の伝承地をつなぐ散歩道のプロジェクトが進行中で、デザインチームの一員に加わって、みちづくりを進めた。

志を同じくする市役所担当の伊東さんをはじめ、多くの地域の方々と共に西都らしいみちづくりを進めた。完成した風景を記録し、広く伝えたいと考え、記紀の道を紹介するショートフィルムを地元のクリエイターと共に制作することにした。取材を進めるうち、暮らしに寄りそう「みち」という空間を舞台に、記紀の道の日常をつくる「人」に焦点をあて、その人たちの目線から記紀の道の魅力を描くドキュメンタリー映画づくりに発展する。

 

みちくさ設計事務所

道のデザイナーになると決意して独立、事務所名を「みちくさ設計事務所」と名づけた。道はもっとも身近な公共空間でもある。Dropsでも千葉の学園通りにベンチを置くというプロジェクトが進行中。将来は道端を地域の人がもっと使える空間にするのが夢だそうだ。公共の道でどう発信していくか考えたいと語った。

これからどうしていきたい

千年の物語がある「記紀の道」で自分の時間軸を改めて考える機会となった。100年1000年後の未来を考え、10年後どうあるべきかを考えている。ものが無駄なく巡る社会、エディブルガーデンのようなストリート空間、それらが心地よく感じられる日常の道端環境を作っていきたい。

西千葉駅南口をはじめ、駅前広場の質を高めたい。

パッションポイント

道づかい

公式サイト、出版物など

みちくさ設計事務所  

 NPO法人 Drops 

 映画『みちのみちのり』

チケット(私のできること、得意なこと)

・千葉のまちを案内します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

稲毛海浜公園
千葉県千葉市美浜区高浜7丁目2

富田さとにわ耕園
千葉県千葉市若葉区富田町711−1

 

お気に入りの場所(アウェイ)

西都市

つながり

佐瀬優子(アトリエ言景)

高橋洋介(開宅舎)

松村憲治(Mk環境デザイン一級建築士事務所)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

佐瀬さんからの紹介でインタビュー。自身が手がけたプロジェクトを映画で記録して残していくという活動がとても素場らしいと思いました。こどもから大人まで自由に楽しめるそんな道が全国にも出来るといいなと思います。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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