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【東京】寺田佳織(HITOTOWA)

マンション管理会社を経てHITOTOWAに転職。多摩ニュータウン団地で公共空間を中心としたコミュニティづくりなどの活動を行う寺田佳織さん。

プロフィール

1989年埼玉県生まれ。私立浦和明の星女子高等学校出身。法政大学大学院デザイン工学研究科を修了。学生時代は、科学研究費補助金・基盤研究(A)『アジアの都市住宅の類型に関する史的研究』の一端を担い、上海の近代集合住宅を研究。同研究の為、2012年中国政府奨学金生として上海の同済大学に留学し、中国語を習得。フィールドワークや実測調査を通し、建築や空間がコミュニティ形成に与える可能性を示し、修士論文として成果をまとめる。都市集合住宅における暮らしのあり方を、ハードソフト両面から学ぶため、大和ライフネクスト株式会社に入社。分譲マンションにおける修繕工事の現場管理から営業、コンサルティング業務まで一貫して担当。

その後、より多角的に居住者の暮らしに関わっていきたいと思い、HITOTOWA INC.に入社。主に、新築分譲マンションにおけるコミュニティプログラムの企画・運営を担当。前職時代の強みを生かし、管理会社との連携構築、組織体制の設計、規約作成等を行ってきた。現在は、コミュニティ拠点の企画・仕組み設計、住民主体の組織の立案から伴走支援等、コンサルティング業務に重きを置いて取り組んでいる。それぞれの地域にふさわしいつながりのカタチを、クライアント・地域の方々と一緒になってつくっていくことに意義を感じ、仕事に取り組んでいる。

上海で見た生活が溢れる空間に魅せられて

埼玉県で生まれ、大学は法政大学の建築学科に進んだ。サークル活動では国際ボランティア団体で、カンボジアの学校建設や中国での植林活動などに取り組んでいたが、ボランティアとしての立場が壁となり一側面しか見れていないのではないかともどかしさを感じた。学生時代にバックパックで世界各国を旅して周り、その国の暮らしを感じるのが好きだった。大学のゼミで上海の築100年以上の集合住宅の研究をし、その魅力に惹かれていく。建築としてのハード面とソフトの暮らし方との結びつきについて研究を続けた。

日本の集合住宅の場合、廊下は限りなくパブリックな空間だが、上海で見た光景は豊かな生活が溢れる空間だった。そのような集合住宅が日本でも具現化できないものかと、卒業後に、現場を知るためにマンション管理会社に就職。分譲マンションの修繕工事の現場管理などを担当した。その後HITOTOWAに転職。分譲マンションにおけるコミュニティプログラムの企画開催、コミュニティ拠点の企画や運営組織の立ち上げ・伴走支援などに取り組んできた。

ニューマチヅクリシャ

入社して1年ほどして多摩ニュータウン団地の商店街の空き店舗でコミュニティ拠点を誘致するプロジェクトに関わっていく。周辺調査でヒアリングを重ね、地域の人たちとつながっていくうちに、団地の今後の未来について語り合える仲間と出会い、次第に団地内にはアーティストをはじめ魅力的な人がたくさん住んでいることが分かった。仲間と一緒に地域内のイベントをプロデュースしたり、多摩在住のアーティストと一緒に使われていない空間や壁を活用したアートを仕掛けたり、近隣にある恵泉女学園大学と連携してコミュニティガーデンを設置したりと、ニュータウンを舞台にさまざまな活動に取り組んできた。2021年には、一般社団法人ニューマチヅクリシャを設立。

ほかにも、全国のこども食堂を支援する中間支援組織「むすびえ」のメンバーとしても活動し、インフラ化促進プロジェクトを推進。すでに全国で7,000箇所を超えるこども食堂が、地域の中の居場所のひとつとしてある状態を多くの方々に知ってもらい、誰もがアクセスできるようにするため、情報の集約や見える化に力を注いでいる。すべての仕事に共通して心がけていることは、地域の方々の声をしっかり聞きつつ、とはいえ聞きすぎずに、常に俯瞰した目でみること。地域にとってより良い未来像について、住民をはじめあらゆる関係者と対話をしながら考え続けている。

これからどうしていきたい

具体的な筋道は描いていないが、自分にとって心地よい方向に進んでいけるように、自分の考えを発信して行きたい。

農的暮らしに興味があり、仕事の中にも取り入れてみたい。

パッションポイント

多肉植物

公式サイト、出版物など

HITOTOWA

ニューマチヅクリシャ

全国こども食堂支援センター・むすびえ

チケット(私のできること、得意なこと)

・多摩ニュータウンの人とつないだり、まちを案内します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

自宅から見る富士山

お気に入りの場所(アウェイ)

山梨県山梨市牧丘町

つながり

・細川瑛代(HITOTOWA)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

細川さんからの紹介でインタビュー。学生時代に体験した上海の団地研究があったからこその、多摩ニュータウンでのコミュニティづくり。国は違えど日本の団地らしい日常が彩られていく様子を、話を聞きながら想像してました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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