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【東京】アベケイスケ(Baobab Design Company)

エディトリアルデザイナーとして活躍する一方で大田区池上にライブ配信スタジオやシェア型本屋、ギャラリー・イベントスペースを運営するアベケイスケさん。

プロフィール

三重県生まれ 
デザイナー/ライブストリーマー

Baobab Design Company[デザイン事務所]、堤方4306[出張ライブ配信]、ノミガワスタジオ(BOOK STUDIO)[シェア型本屋+ギャラリー+イベントスペース]、小学生にお帰りを言う人、地域で長屋のご隠居のようになりたいと思ってる人、元・KONISHIKI JAMMIN BANDの人

Baobab Design Companyとして雑誌・グラフィックからまちづくりに関わるクリエイティブデザインを行う。2013年ごろより地域コミュニティーへの関わりを深め、2019年より堤方4306(動画配信スタジオ)を立ち上げ出張ライブ配信業務を開始。2020年のスタジオ移転に伴い、ランドスケープデザイン事務所 スタジオテラと共にノミガワスタジオ(ギャラリーとシェア型本屋)をスタート。デザインの活動拠点もノミガワスタジオ内(東京都大田区池上)に集約し同店内ではシェア型本屋も運営。デザイン・動画配信業務の傍ら、「半径2kmリビング化計画」「ケのハレ」「個人がまちにはみ出す景色」になることを目指して活動中。

エディトリアルデザインのキャリアからスタート

愛知県で生まれ、小学校1年生から三重県に引っ越し学生時代まで過ごした。夏休みや正月には両親の実家のある大分県別府市に帰っていた。大学は名古屋芸術大学に進学し、就職先は都内のデザイン事務所でエディトリアルデザインの仕事に就いて、雑誌などのデザインを手掛けた。仕事をしながらバンド活動もやっていて、バンド活動に専念しようと思い3年で退職。個人でイラストレーターなどのソフトを使いDTPの講師をしながら、バンドを続けたが29歳で音楽中心の道を離れ、ネコパブリッシングの出版物を内制する会社に転職。

2006年以降からフリーランスとなり、コミックスや雑誌、書籍などのページデザインも行っている。37歳の頃、最後の校了3日前に、体を壊してしまう。それまで他人事だった健康について考えるようになり、この仕事でこのまま還暦まで続けれるのかと自問自答した。完全に今の仕事をやめるのではなく働くペース配分を変えれないか考えた。デザインを7割。残り3割で何か違うものが出来て長く続けれられるものは何か。

まちで仕事をつくる

そんな中、毎年帰っていた別府でいつも地域の人たちが良くしてくれてたことを思い出す。観光地ならではなのか、外の人を向かい入れてくれるその空気が居心地よかった。住んでる地域を見渡すとシャッター通りに変わっていき寂しい街並みになっていく。別府の人たちによくしてもらった原体験のように、地元の賑わいを取り戻しながらかつて別府で受け取ったような居心地のよい地域で作れないかと考えた。それがまちで仕事を作ろうと思った始まり。

2013年に川崎商工会議所がやっている「街おこし協力隊」を友人から紹介された。自身のスキルを活かして商店街の人手不足を解消しようという取り組みだった。そこに若手で分科会をつくり集客やIT支援で関わった。その参加をきっかけに地域振興のセミナーで「まちゼミ」を知り、それをきっかけに「まちゼミ久が原」を地元商店街青年部発足と同時にみんなで立ち上げた。また以前から参加したいと思っていたリノベーションスクールが大田区の池上線沿線で開催されることを知り、2017年「リノベーションスクール東急池上線」にも参加した。3日間のワークショップを通じて、4つのユニットに分かれ沿線の空き家対策を考えてプレゼンするという企画で、アベさんたちのユニットでは、久松温泉の2階大広間をどう活用するかという課題に対し、音楽や踊りを楽しめるまちの劇場空間を提案した。

まちの人の会話を可視化したい

また同時期くらいに、友人が「アベ、興味あるのでは?」と「ヒマナイヌスタジオ」という動画配信スタジオとオーナーの川井さんのことをシェアしてくれた。スタジオでは夜な夜なホストとゲストの会話が動画配信されていて、その場に行かずともゲストの取り組みや人柄に触れることができた。場所を持たず地域に関わっていてもイベント単発だけで終わる。日常の景色が変わることはなく今後どうするかを模索していた頃。その瞬間にある体験や空気を共有できる動画配信に「コレだ」と感じ、直感的に動画配信スタジオを大田区内で開設することを決意した。

川井さんとの出会いから2、3ヵ月後、大田区池上に物件が見つかり「堤方4306(つつみかたヨンサンマルロク)」が2018年5月に池上の空き店舗をリノベーションしてオープン。動画配信や展示会、日替わり喫茶ができる、キッチン付きの「多目的スペース」だ。堤方とは、1963年頃までの地名で、4306は現地の番地から付けた。「昔ながらのひと・新しいひと関係なく、新旧住人の思いやコトを包み込みたい」との想いからその名前に決めたという。その空き店舗はかつては写真屋さんで、その後中古ファミコンの店やカードゲームの店として地域の子どこたちにも馴染みのある場所でもあった。

ノミガワスタジオ

「堤方4306」は定借契約の2年と決まっていたため2020年7月に引っ越し。池上に来たこの2年間でご縁のあった屋外空間の設計事務所スタジオテラとともに、「ノミガワスタジオ(路面店)」を同じ町内の呑川沿いに立ち上げて、その一角にアベさんの堤方4306(Baobab Design Company)も移転した。ノミガワスタジオ内には個人が小さな本屋を開き共同運営できるシェア型本屋「ブックスタジオ(毎週金曜、土曜 13-18時)」も開設。月曜から木曜まではスタジオテラと共にオフィスとして活用している。週に2日だけ事務所がまちに開くカタチ。

幼少期、地域の見守りがあったことで「今の自分が出来あがっている」「子ども達とのやり取りは20年後に彼ら彼女らの選択へとつながる」という自身の体験から、学校帰りの子ども達に「お帰り」と声をかけ見守っている。今では、奥で仕事をしていても下校時間になると子ども達が扉をノックし入れ替わり立ち代わり「ただいま」を言いに立ち寄る。子らの様子が違えば「学校で何かあったのかな」と変化に気づく。1階に場所を構えてから3年半、日常の景色が変わり始めた。

20年4月から天野光太郎さんと一緒に「池上放談」というYouTube番組をスタートした。 ゲストを迎えて仕事、暮らし、興味など話をしながら深夜ラジオのようなトーク番組を不定期で配信している。

これからどうしていきたい

動画配信の技術提供して役に立ちたい。地域に関わりながら高齢の方が自分史を語れるインタビュー動画を作っていきたい。

チャンスがあれば、縁のある三重県、大分県別府でもなにかに寄与したい。

パッションポイント

身の回りの野鳥観察

公式サイト、出版物など

公式サイト

堤方4306 Instagram@tmkt4306

個人Instagram@abeshiskg

堤方4306 YouTUbeチャンネル

BOOK STUDIO Instagram@bookstudio_ikgm

チケット(私のできること、得意なこと)

・池上のディープスポット紹介します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

養源寺の裏の階段のベンチ
東京都大田区池上1丁目31−1 養源寺

Processed with VSCO with c1 preset

 

スナック BMW
東京都大田区池上4-27-11

お気に入りの場所(アウェイ)

大分県別府市を海から眺めた湯けむり景色

別府タワー
大分県別府市北浜3丁目10-2
公式サイト

つながり

天野光太郎(天野企画)

佐瀬優子(アトリエ言景)

石井秀幸(スタジオテラ)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

天野さんからの紹介でインタビュー。深夜ラジオのような空気感で配信する「池上放談」がいい感じで、池上の人情味のある街の良さを表現してるような番組だと思いました。池上も近いので遊びに行きます。またお話を聞かせてください。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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