博報堂を退職後から全国のまちづくりに関わり、シブヤ大学、ジョブヨクなど若者が集まるコミュニティづくりで活躍する工藤紘生さんにインタビュー。
立教大学経済学部卒業後、博報堂に入社。人事部で、人材教育・教育研修業務に携わる。その後営業部に異動、クライアント(花王・三菱自動車・リプトン紅茶・伊藤ハム・アップル・日本信販ニコス他)のマーケティング、CM制作、PR・イベント等を経験。入社16年で退社。赤坂に洋書のブックカフェを開業。そのかたわらで、フリーのイベントプロデューサーとして、地方開催の博覧会等の常駐スタッフを歴任し、地方のまちづくりに尽力する。
鳥取・徳島・福井・熊本と10数年地方行脚を続け、まちづくりはひとづくりだと実感する。その後東京に戻り、千代田区・新宿区等の安全・安心のまちづくりに関わり、2006年9月には、シブヤ大学を企画・開校し、NPO法人シブヤ大学の理事・事務局長として、授業プロデュース・協賛プロモート・ボランティア運営、渋谷の街のプロデュースに関与する。新しい生涯学習のシステムです。
2009年立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士課程前期修了。コミュニティ・キャリア教育について研究する。社会デザイン学修士MBAを取得。修論テーマ”学びの場を通してのコミュニティ再生の新しいビジネスモデルの可能性~「特定非営利活動法人シブヤ大学」の研究から~”。
2009年~2011年立教大学文学部講師として「広告文芸論」を担当。多くの学生たちと交流を測る。
2012年8月一般社団法人SoLaBoを設立、異世代・異業種の人材育成の場を創り、様々なワークショップの企画・運営をしながら、2013年10月、職欲の未来(ジョブヨク)のプロジェクトを立ち上げ、大学生と大人たちのフラットな対話の場を創り、これからのリーダーシップの研究と、新しいライフデザインのシステムの構築にチャレンジしている。2013年10月~2021年8月までに30以上の大学で200回以上開催され約9000人の大学生と大人との参加となっている。
広告代理店の博報堂で16年勤務したのち、洋書のブックカフェやイベントプロデューサーなど多方面で活躍されてきた工藤紘生さん。博報堂を退職したのはサラリーマンとしての限界を感じていた話す。フリーになってからも全国でまちづくりに関わった。2006年にはゴミ拾いボランティアのグリーンバードを立ち上げた長谷部健さん(現渋谷区長)が区議会議員時代にいっしょに企画したNPO法人シブヤ大学の理事・事務局長に就き、授業プロデュースや協賛プロモート、ボランティア運営などに尽力する。
シブヤ大学はいわゆる学校法に基づく大学ではなく、渋谷の街全体がキャンパスにして、街のあらゆる施設を教室として活用し、毎月様々な授業を開催するというもの。入学試験や授業料はなく、誰もが気軽に生涯にわたって学ぶことが出来る仕組みだ。街で活躍するいろんな分野のエキスパート、デザイナーなどが先生役となって、参加者とお互いに知識や経験を共有している。シブヤ大学の誕生で、後に全国でも同様のコミュニティ大学が立ち上がっていくきっかけにもなった。シブヤ大学は2021年9月で15周年を迎える。
まちづくりなどに関わる傍らで母校の立教大学でも講師として立つ日もあった。平成23年の内閣府調査に「大学生の自殺データ」を発表し、そこには年間1,029人が命を落としているとあった。理由の多くは就活の失敗。自分には価値が無いと孤独感を深めて、次第に追い込まれていく大学生が多数存在することを知った。そうした背景から2013年10月から「職欲の未来(ジョブヨク)」を開始する。大学生が「働き方」や「生き方」 について、大人たちとフラットな関係で対話をすることで、自らを考え、仕事や社会と向き合うきっかけをつくった。2013年10月~2021年8月までに30以上の大学で200回以上開催され約9,000人の大学生と大人との参加。
いろんな大学生がチームを組んでテーマを決めてワークショップを行う。学生たちが率先してイベント作って告知・集客、受付・設営、ファシリテーションから全部やる。3時間半みっちりワークで、大人と学生が共に学ぶ生涯学習の場所だという。コミュニケーション力がつき、視野も広がる。お互いに利害関係がないのも特徴だ。参加する大人には上から目線で話したり、喋りすぎることにはイエローカードがでる。また名刺交換も利害関係にフィルターかけて喋りづらくなるからとワークショップ終了後にお願いをしている。
これからも、ジョブヨクを続けていきたいと思っている。2020年このコロナパンデミックにより、大きくコミュニケーションの有り様は変わってきている。リアルな対話が減少し、オンラインによる対話が主流となってきている。本来のコミュニケーションとは何を意味し、何が必要なのか?これからの次の世代を担うメンバーたちが本来の身体性をともなうリアルなコミュニケーションについて再考することが大事だと考えている。ジョブヨクというコミュニケーションの場を通して、リアルなコミュニケーションの新しいデザインを研究しする。そしてアフターコロナを考えるにあたり、人間がコミュニケーションに用いるツールである手触りや温もりといった身体感覚をどのように取り込んでいくのかをジョブヨクを通して探求することを継続したい。
サウナ
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・中村彩乃(水戸宿泊交流場)
・黒井理恵(さとのば大学)
・山中康司(生き方編集者)
※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
工藤さんとの出会いは2010年に開催されたシブヤ大学とパルコのコラボ授業で、定点観測学科というのが半年間あり、それをきっかけに時にお話を伺ったりしました。相談しやすくバイタリティ溢れる方だなと尊敬してます。(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |