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【愛媛】安形真(一般社団法人リズカーレ)

愛知県で農業のブランディングで地域活性に成功をおさめ、その後に愛媛県西条市に移住し起業支援やコワーキング運営などまちづくりのプレイヤー育成にも取り組む安形真さん。

プロフィール

名古屋大学法学部卒業。会計事務所勤務後、26歳の時に農業とまちづくりをテーマに起業。農業、イベント、農家レストラン、起業支援など多岐に亘る活動により、2016年より内閣府地域活性化伝道師を拝命。

大学時代は学園祭の実行委員

名古屋で生まれ、幼少期から新城市で育った。大学は名古屋大学法学部に進学。小さい頃から正義感が強く、人の役に立ちたいと思っていた。将来は警察官になろうかと考えていた。学生時代は1年から3年まで学祭の実行委員会を務めた。みんなでひとつのイベントを作り上げていくことの達成感が最高に感じ、その後の人生を振り返っても原点はそこにある。ある時学園祭が大いに盛り上がりすぎて、近隣から苦情が起き警察沙汰になってしまって、その渉外を任されたのだが、警察は事前の仲裁に入ってくれず嫌悪感を覚え、警察官への夢はそこで止まってしまう。

大学を卒業してからは1年半探偵の仕事に就いた。困っている人の力になってると思い、さまざまな問題解決に奔走した。そこで度胸もつき、やったことがないことも自分自身で出来る気がした。しかし給与未払いを体験し他人に人生を預ける人生でなく起業したいという気持ちが芽ばえた。その後は経営の勉強をしようと地元に帰って、豊橋市にある会計事務所で経営と会計を学んだ。

地域をブランディグで活性化

地元に戻って働いていた頃、愛知県で新城市などの6地域が消滅可能性都市と発表された。故郷が消滅可能性都市に選ばれたのをきっかけに、地域のことを考えるようになった。神奈川県藤沢市で「湘南みやじ豚」を仕掛けて成功した話を聞いたことがあって、祖父のスイカもブランディングして売ったらいいのではないかと考えた。2009年から合同会社アグリホリックを設立。祖父が作るスイカをストーリー仕立てで伝え、ネット通販で売った。順調に売り上げが出来た一方で、スイカは夏場しか売れず、盛り上がりは夏だけの限定的なものであった。そこで1年中お客さんと接することができる農業形態を求め、有機農業を始め、野菜ボックスも販売した。

また、キッチンカーを購入し、じゃがいもをフライドポテトにして販売するなど素材をシンプルに加工して販売していると、あっという間に人気になった。より販売を強化するために、古民家カフェを居抜きで借りて事業を拡大。2013年に農家レストラン「古民家カフェはちどり」をオープンした。農と食をキーワードに拠点を構え、地域のコミュニティ形成を取り組んだ。

起業して2年目に社会起業家の育成塾に参加。その時に地方には起業家を育てる機能がないことに気づく。2015年からはレストランを国指定文化財「大野宿 鳳来館」に移転。農業・飲食業以外にも起業支援も開始した。

地元で順風満帆な事業をやっていたが、花粉アレルギーが年々強くなり、畑に立てなくなってしまう。自分が本当にやりたいのは野菜作りではなく、地域を活性すること。人材を育てていないといけないと決心。自身がプレイヤーとしてやっていくよりプレイヤーを育てた方が地域は早く活性化すると考え、チャレンジャーの後方支援に本格的に仕事をシフトすることにした。

愛媛県西条市に移住

愛媛県でNextCommonsLabの募集をしているのを見つけ、2018年からNextCommonsLab西条のチーフディレクターに就任をし愛媛県西条市に移住した。地域おこし協力隊10人の起業支援を行うプロジェクトだった。地域の未来に必要な新規事業を創出するのが主なミッションであった。2019年には一般社団法人リズカーレを設立し、起業家支援とコワーキングスペースの運営を始めた。リズカーレ(risicare)という名前は、大航海時代のイタリアの「船乗り」のことで、海賊がいる海域でスパイスを運び一攫千金を求めていったことから、リスクの語源にもなった。勇気を持って飛び出すことで、リターンも手に入れることができる。一歩を踏み出せるチャレンジャーが生まれる町にしたいと想いを語った。

「SAIJO SOUP」というオンラインイベントを企画。まちを面白くするプレゼン大会SAIJOSOUPの入場券を購入、その参加費全てが挑戦者(プレゼンター)への寄付に使われる仕組みで、もとはアメリカのデトロイトで行われたプロジェクトを参考に実施した。今まで「産後うつ問題に取り組む保健師」「里山の課題に取り組むジビエキッチンカー」「預かり型森のようちえん」など社会課題に取り組む起業家が共感を集め優勝している。他にも市民の有志とともに約400名から420万円以上の寄付を集め、コミュニティ財団「えひめ西条つながり基金」の設立運動を主導し、まちづくりのために何かしたい人に助成していく仕組みも開始した。

これからどうしていきたい

挑戦者を増やすことでまちの持続可能性は高まると思い、今まで活動をしてきた。その種まきはだいたい完了したので、これからしっかり育てていきたい。

パッションポイント

野営

公式サイト、出版物など

サカエマチHOLIC

一般社団法人リズカーレ

チケット(私のできること、得意なこと)

・ローカルの起業相談に乗ります。

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

加茂川でキャンプ

石鎚山

周ちゃん広場
愛媛県西条市丹原町池田290

お気に入りの場所(アウェイ)

奥三河の稲武地域

つながり

岡本麻友子(森のようちえん・ウィズナチュラ)

増田茂樹(オオミシマワークス)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

岡本さんからの紹介でインタビュー。西条市は一度だけ訪問したことがあり、旧友がいる町でも盛り上がっていることを知り嬉しく思いました。愛媛もしばらく行っていないので行きたいと思います。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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