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【新潟】樋口道子(市民活動ネットワークひとサポ)

大地の芸術祭でのサポート参加をきっかけに地元の方々との出会い、そして市民活動へと発展をした話など樋口道子さんの魅力を余すことなくインタビューしました。

プロフィール

樋口道子(ひぐちみちこ)
1946年新潟県小千谷市生まれ
NPO法人市民活動ネットワークひとサポ副理事、「大地の芸術祭」サポーターこへび隊
1972年~現在十日町市在住
2006年頃~大地の芸術祭サポーター活動に参加 主にツアーガイド、「うぶすなの家」スタッフほかとして関わる2011年~ひとサポ活動スタート まちなか手芸部、こども食堂、ひきこもり対策ほかさまざまな活動に取り組む
2009年~着物リメイクファッションショー「きものパーティ」主催 現在まで11回開催

十日町で引きこもり支援

NPO法人市民活動ネットワークひとサポで副理事を務めている樋口道子さん、市民交流センター〈分じろう〉、市民活動センター〈十じろう〉の2つの拠点で活動している。ひとサポは、人とひと、人と団体、団体と団体をつなぎ、絆を紡いでいくことで十日町市の市民活動を充実・活性化させるために発足した。2011年に大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレで出会った有志たちで発足し、2015年にNPO法人化となる。主な活動としては行政と施設の中間支援組織として若者の引きこもり対策などを行っている。

知人の長男の方が、かつて引きこもりだったが、克服し現在は中学教師になったと言う体験をもとに、同じ悩みを抱えている市民を支える。目的はなくてもいれる場所をつくる。漫画を描いたり、本を読んだり、自由に過ごしてもらい、個性や得意分野を伸ばしてあげたいと語る。まちなか学園祭という高校生たちの文化行事の看板を引きこもりの子たちが作ってあげたり、裏方の仕事を依頼しているそうだ。

十日町まちなかステージの誕生

2016年4月、山﨑亮氏が代表を務める studio-L や青木淳建築計画事務所と取り組んできた『十日町まちなかステージ』のプロジェクトの中枢とも言える〈分じろう〉と〈十じろう〉の2つの施設がオープンした。市民活動の拠点として生まれた施設で、〈分じろう〉は市役所分庁舎、〈十じろう〉は、旧西脇商店様ビルを改修。基本計画から市民が加わってプロジェクトを進めてきた。〈分じろう〉は地元内外の人の『交流』の場として、〈十じろう〉は地元の人の『活動』の場としての機能を持たせている。

そこを拠点に屋台を出店して引きこもりの若者が作ったハンコなどを販売した。得意分野で褒められるということは、彼らの自身にもなり成長の糧にもなる。2020年以降のコロナ禍で思うような活動は制限されてしまったが、「子ども食堂」の拡大版とも言える、山間部の高齢者の方も利用できる「まちなか食堂」の活動も行っている。人口減少で中心部はシャッターが閉まったお店が増えていたが、こうした活動で賑わいも戻ってきた。

小千谷から嫁いで十日町へ

樋口さんの出身は隣町の小千谷。そこから織物の産地問屋へ嫁ぐために十日町へ引っ越してきた。十日町は言わずと知れた豪雪地帯で、冬は麻やカラムシ(苧麻)などの繊維で織物を作ることが盛んだった。江戸時代には武士の夏の式服に珍重されて全国各地にも出荷されていたそうだ。江戸時代末期には絹織物もはじまり、十日町絣(とおかまちかすり)の産地となる。それ以降京都の西陣の製法で高級着物の生地の生産など高度成長期までに国内有数の生産地となった。しかし近代の着物離れの加速によって減少していく。バブルが弾けてしまい、樋口さんは花屋さんに転職をするが、着物をリメイクしてファッションショーを企画するなど、着物への想いは今も持ち続けている。

大地の芸術祭で里山料理

2000年に始まった「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。世界最大級の国際芸術祭で、3年に1度、新潟県の越後妻有地方で開催している。このアートフェスティバルを支えるサポーターを「こへび隊」といい、越後妻有では、へびは神聖な生き物、守り神として縁起がよいものとされている。脱皮しながら大きくなる様子をこへび隊が成長する姿に重ね、「力をあわせて大きくなっていこう」という想いを込めたシンボルとなったそうだ。このこへび隊のサポートとして樋口さんは関わり始め、ツアーバスのガイドも務めた。

「大地の芸術祭」の作品の一つでもある1924年築の越後中門造りの茅葺き民家「うぶすなの家」。ここで里山料理を提供をはじめた。1階には、日本を代表する陶芸家たちが手掛けたいろり、かまど、洗面台、風呂、そして地元の食材を使った料理を陶芸家の器で提供するレストラン。2階は3つの茶室から成るやきものの展示空間。

家の見学はもちろん樋口さんをはじめ地元のお母さんたちが作った料理が好評だ。魚沼産コシヒカリ、山菜、妻有ポーク、野菜たっぷりのランチ、そしてお母さんたちとの楽しい交流もあり、大地の芸術祭に行く参加者たちの毎回の楽しみの一つとなっている。

これからどうしていきたい

芸術の里が続いてほしい。その中で自分ができることしたい。郷土食の魅力を若い人に残していきたい。

パッションポイント

着物を洋服にリメイク、FC越後妻有

チケット(私のできること、得意なこと)

・芸術の里の回り方の相談に乗ります

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

十日町の風景

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つながり

飛田晶子(NPO法人越後妻有里山協働機構)

松山雄太・望(お松の手)

山本晋吾・しのぶ(やまねこ工房)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

飛田さんからの紹介。事前情報が少ないなかインタビューを開始、お話を聞いてからあとで気になったキーワードをいろいろ調べていくと十日町でのコミュニティデザインがすごく面白いものだったということに気づきました。〈分じろう〉と〈十じろう〉も気になるし、ほかにも気になるポイントも調べたら出てきて、道子さんの料理を食べに行きたいのももちろん、大地の芸術祭も十日町も本気で行きたいと思いました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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