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【神奈川】井上美緒(花政)

全国でも珍しく花屋さんから出る生ごみの廃棄を堆肥に変える活動を取り組み始めた茅ヶ崎の『花政』の井上美緒さんにインタビュー。

プロフィール

井上美緒(いのうえみお)

神奈川県茅ヶ崎市生まれ

高校生の時に茅ヶ崎市の花屋(有)花政でアルバイトを始めたことで花の世界へ。元々好奇心旺盛な性格であったため花屋でありながら美容やカウンセリングの仕事など多岐に渡る仕事をしながら、花の世界の魅力を伝え、花が繋ぐ伝統を守りたいと活動をしている。伝統を守ることは、環境を守ることにも繋がると考え花屋ができる環境問題への取り組みを活動の一環として進めている

花の廃棄を減らし堆肥にする循環社会に

お花の残債廃棄を70%削減継続してるという『花政』の井上美緒さん。LOSS FLOWERではなく、RE FLOWER(蘇り・生まれ変わり・繰り返す)revive-reborn-repeat=RE’flower&plantの試みと生ゴミを捨てない暮らしを花屋の目線でサポートしている。

一般的には廃棄花・ロスフラワーは枯れた花や売れ残った花というイメージがあるが、それよりも普段、花束を作ったりアレンジメントを作る時に出る茎と葉っぱの残渣が、花屋で出る一番多い生ごみになるという。

応急措置ではなく、根本的なお花のロスを解決していくとともに、お花の可愛いい部分は決してロスではなく、違う形でまだまだ私たちの生活に潤いを与えてくれるのだと伝えていきたい。

現在は、農家さんの畑の一角を借りて、花の残債と茅ヶ崎市内の飲食店さんからでる生ゴミを使った堆肥作りをしている。畑×食×花の循環菜園は1年前から取り組み始めたばかりではあるが、捨てないで循環させる喜びと満足感を沢山の人に伝えたいと語る。それと同時に『 LFCコンポスト』というバック型に改良されたコンポストを使って、生ゴミを捨てない暮らしを広める活動をしている。

生ごみの分解を速め、悪臭の発生を抑える独自の配合基材(生ごみと混ぜ合わせる原料)を使用しているので、今まで、虫や臭いでなかなか始められなかった人たちが、取り組みやすい仕組みになっている。バックの中に1日300gの生ゴミを1.5~2ヶ月間投入することが出来、その後2 ~3週間ほどで栄養価の高い堆肥へと変わるそうだ。

そうすることで、生ゴを燃やさずにすみ二酸化炭素の排出量は大幅に削減できる、また、ゴミ袋の削減やゴミを運ぶ車が軽くなることで、更に二酸化炭素の排出量をおさえ、ゴミを集める人たちの負担も減らせる。土を肥沃にする堆肥は、大地の力を取り戻すきっかけになり、大地の栄養は茅ヶ崎市民が大切にする海の栄養にもなる。

こうした取り組みを行う花屋は全国的にも珍しく、 花屋として花屋だからできることがあるのではと常日頃考えていたことが形になり始めたのはLFCコンポストに出会ったからだ。

ただ、1店舗だけで取り組みをしていくのも限界があり、コンポストを設置する場所、堆肥として使ってもらえる農家もまだまだ足りない状況だ。国が定める、堆肥の取り扱いに関する法律も、生ゴミを捨てない暮らしを大きく進められない原因となっている。

そんな花屋からでる生ゴミが沢山あること生ゴミは家庭や飲食店から出る食べ物だけではないことを知ってほしいと語る。取り組みが1年になり、生ゴミからできた堆肥で栽培したさつまいもや大豆で収穫体験や味噌づくり体験などのイベントも行なえるようになってきた。

これからどうしていきたい

まずは半径2キロの世界の循環型の取り組みを進めていきたい。花屋も飲食店もその他の仕事や暮らしでも、生ごみから堆肥をつくり、野菜や花を作る。自分たちで使ったものを、またきちんと使える状態まで持っていくことが可能なのだと証明していきたい。その野菜や花で地産地消を進めながら地域のお店を巻き込んで一緒に取り組みたい。

また、茅ヶ崎市全体で生ゴミを削減するシステムも構築していき、入り口と出口そしてまた入り口への循環をどんどん広げたい。海を中心として取り上げられるこが多い茅ヶ崎だが、山側の茅ヶ崎から山の力をあげることが海と海の生き物を守ることに繋がるのだと多くの人に周知したい。そのためには自分が沢山の人に出会い繋がっていくことが必要。

パッションポイント

花を再び輝かせるための作品作り

花で伝統を繋ぐ

堆肥オタクになる

どんどん新しい知識を取り入れること

公式サイト、出版物など

花政

チケット(私のできること、得意なこと)

・堆肥の畑を案内します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

香川商店街(茅ヶ崎市)

堆肥作りも、沢山の場所への露出も元々はこの風景を守るため、小さいころからある商店街が昔のような賑わいをなくしつつある時、ここを中心に半径2キロの世界を自分なりに守り繋ごうと思った

お気に入りの場所(アウェイ)

忍野八海
富士の水が湧き出る場所
すみきった水を眺めていると時間がとまったように感じて、無心になれるから大好き

つながり

齋藤佳太郎(サス研@湘南)

岡部真久(クロマツプロジェクト)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

斎藤さんからの紹介でインタビュー。野菜のコンポストは聞いたことありましたが、花屋さんからできる廃棄物を使って堆肥に変えるという珍しい取り組みはとても興味深かったです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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