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【川崎】大庭美代子(寺子屋しもふだ)

小学時代に出会った恩師に憧れて教育学部に進学、今では地域の寺子屋活動や子育て中の母親が集うサロンの運営などを精力的に活動する大庭さんにインタビュー。

プロフィール

熊本で波乱の人生、産後うつそして・・・

熊本で生まれ育った大庭さん、小さい頃から貧困と家庭内暴力が続く日々を過ごしてきた。小学校3年生の頃、当時の担任の教師が、事情を抱えた子どもたちを自宅に招き、勉強を教えたり、おやつを出したりしてくれたそうだ。自分もいつかこんな先生になりたいと思い始める。勉強を頑張り国立熊本大学の教育学部に進学。先生になる夢は持っていたものの、家庭を大庭さん自身が支えていたこともあり、転勤が多い教員よりも家から通える会社への就職の道を選ぶことになる。

そして熊本県内のIT企業で技術職に就く。やがてそこで知り合ったご主人と結婚をし長男を出産。出産して産後うつ状態になってしまう。藁にもすがる思いで行政機関に育児相談に行き、「あなたが笑顔にならないと、子どもが笑顔になれないのよ。あなたが笑顔になるために周りの人を沢山頼っていいんだよ」との言葉に救われた。助産師は母親に寄り添ってくれる心強い存在ということを知る。

30代後半から助産師を目指す

30代後半で助産師を目指そうと決意する。現役の学生とは19歳差、37歳で看護学を学ぶため入学をした。学業と育児の両立、年齢もあって勉強は決して楽ではなかった。努力の末、大学病院に助産師して就職。40歳を超えての初めての病院勤務もそう楽ではない。助産師になりたかったのだが、助産師は夜勤を伴う。育児もしていた大庭さんにとっては助産師を続けることは難しい決断であった。子育てと家庭を優先することを選択し、部署異動をして3年目からは日勤のみの看護師として勤務した。

7年ほど前、旦那さんの転勤で川崎市に引っ越して来る。熊本で生まれ育ってきたので、上京しても周囲には誰も知り合いがいなかった。ある日友人の知り合いから区役所での仕事を紹介される。保健師の資格を使って育児相談などを行う仕事だった。2年くらい続けて、もっと地域で子育て中のお母さん達が繋がれる場を作りたいと思い、自身でコミュニティ「おしゃべりサロンあゆみ」を始めた。

来てくれるみんなからこんな場所があって救われたと言ってもらえたり、地域の母親達の居場所になってくれたことが嬉しかった。また自分の居場所にもなっていった。助産師の先生がやっているグループホームのリビングを使わせてもらい、そこで料理教室なども企画し、母親達が交流しながら悩みや不安を語り合うような時間も作れた。

寺子屋しもふだ

川崎市教育委員会が主催する取り組みで、地域の寺子屋事業がある。その中で多摩区下布田小学校を拠点に「寺子屋しもふだ」の代表を大庭さんが務めている。子どもたちの学習機会の提供、地域ぐるみで子どもの教育、学習をサポートする仕組みづくり、シニア世代をはじめとする地域人材の知識と経験を活かして、多世代で学ぶ生涯学習の拠点をつくることが目的だ。大庭さんが小学校時代に出会った恩師がやっていた、自宅に招き勉強を教えてもらった原体験がここで活かされている。

週1回放課後に、元教員、地域住民、学生、保護者などが寺子屋先生として、子ども達の宿題や寺子屋で用意したプリント学習などをおこなう。また月に1回体験学習・世代間交流として、地域のひとや、企業、大学などから寺子屋先生としてきて頂き、体験活動や世代間交流のプログラムを実施している。

JAXAコズミックカレッジが学校を訪問し、水ロケットを飛ばすイベントを実施した。日本宇宙少年団(YAC)横浜分団の藤島徹先生による宇宙についての話の後、500mlのペットボトルを使ってロケットを作成。完成したロケットに水と空気を入れて、下布田小学校の校庭で打ち上げた。

これからどうしていきたい

子どもたちに夢を持ってほしい。家庭内で抱えきれない問題がたくさんあるが、まわりに頼っていい、社会の力で子供の未来を救えることがあることを、助産師ガンバの【夢の話】で伝えている。【夢の話】を伝える機会を増やし、いろんな人と、子ども達を社会で育てることについて語り合いたい。大学で教育学部に行ったのは子どもに心身すこやかに育ってほしいと思っていたからだったが、子どもを育てている身近な存在は親で、親自身が心身ともに健康になってほしい。特に子育て中の母親を支えることが子ども達の未来につながると思うので、母親支援活動は続けていきたい。

将来的には、みんなが気軽に立ち寄れる居場所を作りたい。例えば午前中は母親達が集まって交流し、悩みや不安を吐き出したりできる場となり、午後には子供たちが遊びに来て、そこに色んな世代の人が関われるような場所がほしい。そして仲間を増やしたい。

パッションポイント

サッカー観戦(ロアッソ熊本、川崎フロンターレ)、スポーツ観戦、お笑い、映画

公式サイト、出版物など

おしゃべりサロンあゆみ

ヤングケアラーの歩き方 大庭美代子 (著)・加藤雅江 (監修)

チケット(私のできること、得意なこと)

・人をつなぎます

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

等々力陸上競技場
神奈川県川崎市中原区等々力1−1

多摩川(登戸)

お気に入りの場所(アウェイ)

阿蘇の大観峰
熊本県阿蘇市
公式サイト

えがお健康スタジアム
熊本県熊本市東区平山町2776

熊本城
熊本県熊本市中央区本丸1−1
公式サイト

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つながり

道下摩衣(多摩区子ども食堂)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

道下さんに紹介いただきインタビュー。熊本出身ということで九州話で盛り上がりました。熊本へは数回しか行ったことがないのですが、Jリーグのロアッソ熊本の勝利後にサポーターと踊る「勝ちロッソ」や熊本城などの話なども出来て楽しい時間でした。寺子屋活動は素晴らしいので是非全国でも出来たら良いなと思いました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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