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【鹿児島】上別府美由紀(美由紀牧場)

祖父の意志を胸に、23歳で独立して繁殖牛230頭・子牛140頭・種牛2頭の牧場に拡大。女性が働きやすい牧場づくりを目指す上別府美由紀さん。

プロフィール

鹿児島県鹿屋市生まれ。
鹿児島県立鹿屋農業高校 畜産科 卒業。横浜創英短期大学 情報処理学科 卒業。

20歳で帰郷。実家の「有限会社上別府種畜場」へ就職。23歳で独立。繁殖牛4頭からスタート。平成29年3月29日 牛の人工授精所「株式会社牛の上別府」を設立。現在、繁殖牛230頭。子牛140頭。種牛2頭。

祖父の意志を胸に牛飼いになる

鹿児島県鹿屋市で和牛の繁殖と種牛の精液販売をしている上別府美由紀さん。生まれも育ちも鹿屋市で、鹿児島から離れたのは短大時代に、横浜にある横浜創英短期大学に進学した2年間だった。小さい頃からスポーツが好きで剣道やバレーボール、ボートもやっていて、短大時代もアルバイトとスポーツを楽しむ日々を過ごした。鹿児島から離れたのも一度は鹿児島から出てみたいと思ったからだ。

卒業間際になってもなかなか就職先が思う様に決まらず迷っていた時、実家の種雄場を経営していた祖父が体調が悪く、「これからは牛の時代がくる!鹿児島に帰って来て牛飼いになったほうがいい!」と言われ、鹿児島に帰ってきて牛飼いになると約束をする。祖父はその1週間後に他界した。そして卒業してすぐに帰郷して牛舎に足を運び、仕事を覚えて行った。仕事をはじめてすぐに仕事が楽しいと思ったと話す。

実家で研修をして、離農した農家の牛舎と機械を譲り受け、繁殖牛4頭からスタート。兄弟は5人兄弟で家族親戚みんな牛に関わる仕事に就いている。そんな上別府さんだが、学生時代は畜産をやってる家だとは恥ずかしくて周囲には言えなかったこともあったという。仕事で県外にある子牛市場も巡る日もあり、仕事を重ねるごとに牛の楽しさを実感している。もともと女性が少ない世界ではあるが、自分に勧めてくれた祖父には今でも感謝を忘れない。

繁殖農家として独立

23歳の時、帯広で酪農をやっていた女性が、和牛に変えたいから鹿児島の黒牛の血が欲しいと訪ねてきた。そのご主人は反対したそうだが、奥さんの決意が固く、それならばと子牛を1頭譲ることにした。数年が経ち、その牛が母牛になったと手紙と航空券が送られてきて、十勝の牧場に来ないかと誘われた。牧場や子牛市場、競りを見学したのち、家畜車に乗せられて、どこに行くのかと思ったら青森の競りに行くのだと言われた。

途中、ATMで貯金をほぼ全額下ろし、競りの会場で落札ボタンを借りて、一目惚れした牛を勢いで50万円くらいで落札した。それを両親たちに話すと何やってるんだと言われながらも、1週間かけてクルマを乗り継いで鹿児島に帰った。それを見た社長がそこまでやりたいなら、自分で独立してやりなさいと言われて繁殖農家として独立することになった。

はじめは実家の庭に買ってきた牛を繋いで育ていた。現在は繁殖雌牛320頭、種雄牛2頭、子牛含めると500頭にものぼる規模に拡大している。牛との楽しさは、自分がやったことに対して全て答えてくれる。自分の気持ちが伝わっていることがよく分かり、それが楽しいと話す。

そして女性でもできる仕事として、重労働の軽減による省力化をはかり、畜産の世界を変えたいと意気込んでいる。社員は4人女性で、パートの男性が1人という構成。広い牧場はキックボードで移動したり、ファームノートカラーと呼ばれる牛の活動を見て、発情などの通知をメールで受信する仕組みを取り入れたり、子牛の活動量の増減を監視して体調が悪くなったらLINEで通知が届くなど、分娩監視カメラも導入し最新の技術を取り入れた。

毎年、リフレッシュ休暇は必要だとハワイに友人たちと行ったりもする。2022年には5年に1回開催される和牛のオリンピックが10月に鹿児島で開催される。各県の代表する和牛が集まってくる大会だ。全国から459頭の牛が集まってくるという。前回の第11回宮城大会では鹿児島が団体優勝を果たしていて連覇がかかってるだけに力も入る。

これからどうしていきたい

女性に頑張ってやってほしい。和牛の世界を女性で盛り上げていきたい。子育てしながらできる牧場づくりを目指していきたい。

パッションポイント

ゴルフ

チケット(私のできること、得意なこと)

・牧場体験できます

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

城山観光ホテル
鹿児島県鹿児島市新照院町41番1号
公式サイト

霧島

お気に入りの場所(アウェイ)

ハワイ

北海道

つながり

加西幸浩(くれおーる)

・田畑奈々

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

加西さんからの紹介でインタビュー。農業をされてる方は何人かお話を聞いてきましたが畜産は初めてだったので楽しみにしてました。子牛たちの動画も拝見しましたが可愛くて、いつか遊びに行きたいです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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