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【長野】能見奈津子(百匹目の猿)

東日本大震災をきっかけに長野県に移住し、地域おこし協力隊として観光、移住定住、地方創生プロジェクトに関わった能見奈津子さんにインタビュー。

プロフィール

株式会社百匹目の猿 発起人
1984年 兵庫県朝来市生野町生まれ。
大阪市立大学卒業後、アートアドバイザー→デザイナーズマンションのリーシング営業→ベンチャー企業を経て主に営業力を培う。現代の日本に必要なことを追い求め、「食」「農業」というキーワードから野菜ソムリエの資格を取得し、3.11東日本大震災を契機に人口約500人の長野県売木村へ移住。

地域おこし協力隊を経て売木村職員となり、観光、移住定住、地方創生プロジェクトを村長と二人三脚で遂行する。7年間の行政での経験を生かし株式会社百匹目の猿を仲間と共に起業し、現在は道の駅を運営しながら小さな村の存続に奮起中。

人生のモットーは「たった一度きりの自分の人生、映画のようにおもしろい人生を」。

東日本大震災を機に移住を考える

長野県の最南端で愛知県との県境近くにある売木村(うるぎむら)。標高は800メートル以上あり、経済や文化は愛知県に近い。人口は500人ほどの小さな村に移住し、米作りや炭焼きなど食とエネルギーを自給し『暮らしと仕事の融合』を模索しているという能見奈津子さん。移住のきっかけは2011年の東日本大震災。当時は東京駅の地下で野菜の販売をしていた。都会のもろさと自分の弱さを痛感し、「大切な人たちを守るためには自ら食べ物、飲み水、エネルギーを自給しなくては」と感じたそうだ。

地域おこし協力隊として移住

北原太志郎さんが主催していたもざいくプロジェクトで、長野県阿智村に月に一度出かけて農家民泊や農村体験をやっていた時、南信州の情報を教えてもらい、生き方を変えようと移住を決意する。その頃に知ったのが売木村という小さな村で、ちょうど地域おこし協力隊を募集していた。売木村の地域おこし協力隊一期目として移住した頃、ちょうど時を同じくして、民間出身の若い村長に代わり、より多く観光客を受け入れ、移住や定住に力を入れていくという方針が打ち出された。任期の3年間は、村長と二人三脚で地方創生プロジェクトに携わる。

観光のイベント企画や運営、婚活イベントも企画した。売木村の名物として高齢化などで10年間生産されてなかった「たかきびまんじゅう」も復活させた。この饅頭は、売木村産のたかきび粉と米粉で皮をつくり、北海道産小豆の粒あんを包んで蒸した饅頭だ。この饅頭に黒砂糖をまぶして揚げた「かりんとう饅頭」は、「道の駅南信州うるぎ」で人気だそうだ。

パーマカルチャーな暮らし

3年目は空き家改修のプロジェクトを手がけ、パーマカルチャーデザインの第一人者、四井真治さんを講師に古民家を改修。水道やガスもない山の中の立地だからこそ、山から水をひき、竃(かまど)や囲炉裏(いろり)、落ち葉や木くずで循環するコンポストトレイを作ったり、自然と共存し循環する暮らしを体験できる拠点作りを進めた。

パーマカルチャーとは、人と自然が共存する社会をつくるためのデザイン手法。 パーマネント(永続性)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた造語で、即ち、人と自然が共に豊かになるような持続可能な社会システムをデザインしていく考え方だ。

私たちの命を支えている自然の恵みである食べ物やエネルギー、水などがどこからきてどこへ行くのか、そして自分の毎日の生活がそれらにどのように関わっているのかを知り、汚染や破壊を引き起こすのではなく、より豊かな生命を育むことが出来るようにそれらと関わっていくこと。争いはなく分かち合うことを前提とした人間社会を築いていくこと。これらを実現していくために自らの生活や地域、社会そして地球を具体的にデザインしていきます。(参考HP:Permaculture Center Japan https://pccj.jp/)

さらに、パーマカルチャーデザインを元にワークショップを開催し、村の資源を有効活用し、五右衛門風呂、太陽熱温水器、薪ボイラーをワークショップで設置した。水力発電も行うという。中には、東京からこの空き家改修プロジェクトに参加し3年間ほど村に通っていたが、コロナ禍も重なり、働き方や生き方を変えるきっかけとなり、村へ移住し今や村の移住定住プロジェクトを担っているメンバーもいる。

2020年6月に役場を退職し、移住した仲間と起業した「株式会社 百匹目の猿」で「道の駅 南信州うるぎ」の運営を行いながら、今度は民間から村の地方創生事業の取り組みを行っている。能見さんの活動を通じて少しづつ若い移住者も増えてきている。2020年1月には東京のリトルトーキョーで開催している「しごとバー」にも登壇し、売木村の魅力を伝えた。

これからどうしていきたい

2012年に移住してきて10年。ひとつの区切りがついた。3年は地域おこし、4年は役場、いまは民間で地方創生に携わっている。今後は売木村を含め、いくつか多拠点をもち、今の時代だからこそできる持続可能なサスティナブルな生き方や暮らし方を実践していきたい。

パッションポイント

無農薬でお米づくり、炭焼き

チケット(私のできること、得意なこと)

・売木村の四季折々の見どころ、特産品を案内します
・お米づくり、炭焼き教えてます、一緒に体験しましょう

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

やまなみ広場

小鳥の森

お気に入りの場所(アウェイ)

桂浜
高知県高知市浦戸

写真:高知県観光コンベンション協会

つながり

北原太志郎 (GOKIGEN Nippon)

・鈴木諭(鈴三材木店)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

北原太志郎さんからの紹介でインタビュー。後半のパーマカルチャーの話はあまり詳しく聞けなかったのですが、またお会いした時に、話を伺ってみたいと思います。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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