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【川崎】菅野のな(オーガニック料理教室ワクワクワーク)

IT企業を退職し、母と始めたオーガニック料理教室が話題に。書籍化やオンラインでのおにぎりキャラバンなど楽しい企画を生み出す菅野のなさんにインタビュー。

プロフィール

神奈川県横浜育ち。川崎市在住。
モンテッソーリ教育系幼稚園出身。東京造形大学デザイン学科卒。
2007 年管理栄養士である母と共にオーガニック料理教室ワクワクワークを設立。
「初心者でも簡単に作れるメニュー」と「心の書き出しワーク」を行う料理教室としては珍しい内容が話題を呼び、多くの人を魅了。
2010 年から開講中 の「食と心のバランス講座」では全期満席となるなど多くのファンを獲得している。ママ向け講座としては、「食からたのしむ自然育児講座のびのび」「赤ちゃんからはじめる食育講座」、「これから働くママと赤ちゃんのための食育講座~保育園入園準備編~」、親子向け講座としては「食育クイズ体験!教室」などを開催、依頼が殺到している。ママたちの「食」の個別相談も延べ 500 件以上。

料理教室のみならず、企業向けの福利厚生オンライン料理教室を多数開催、有機食品宅配の「Oisix」のレシピ提供や、学習塾 「湘南ゼミナール」運営のWEB サイト内にてコラム連載するなど、幅広く活動中。

野に咲く菜の花のように

名前の「のな」は本名で、野に咲く菜の花の意味で、漢字にすると野菜(やさい)となってしまうため、ひらがなの名前で付けられたそうだ。生まれは横浜市で、父親は出生した当時はミュージシャンで、母親は管理栄養士という家庭で育つ。その後川崎市へ引っ越す。中学と高校は進学校に進み、周囲はエリート生徒ばかりの環境で過ごすが、高校時代は周囲になかなかついていけず悩む日々もあった。もっと自由なことがしたいと、美大の見学に行くと楽しそうだったので、東京造形大学に進学したそうだ。大学4年生の頃からインターンで勤めていた占いサイトなどを手がけていたIT企業で働き出した。卒業後も3年くらい勤めていたが、深夜残業も多くハードワークだったため体調を壊し退職した。

母親の影響もあってか、ハードワークの仕事の中でも食事には気を遣っていたほうで、周囲の人たちが気にせずに不健康な食生活をしていることに驚いたという。自分にとっての常識がみんなには常識ではないこともあると思った。IT企業時代は先輩たちがどんどん独立していく社風の中、いつか自分も独立したいという気持ちがあったので、月に1度恵比寿で料理教室を母親と2人でスタートした。そして2009年に長女の出産をきっかけに独立した。集客方法を学びながら少しずつ売り上げを伸ばしていく。

時短おやつの本を出版

2013年ごろ、料理教室の生徒さんが妊娠し通えなくなったので、オンラインで受講できないかと相談された。そこでオンラインでも学べるようにテキストも販売し、通信クラスを開始。これが好評でこれまで川崎市近郊からの参加者が多かったが、全国から参加者が増えていく。それが出版社の人の目に留まり、書籍化しないかと打診された。そして2015年に誕生したのが『みんなで食べたい時短おやつ』だった。卵乳製品を使用しない簡単おやつのレシピを数多く紹介した。

小さな子どもにアレルギーが多い、卵・乳製品は一切使わない(小麦も不使用のレシピもあり)。素材の味を生かしたシンプルなレシピは、ほぼ全てが作業時間20分以下で出来るとあって、多くのママさんに人気となった。また食育にこだわる教室の方針を反映して、調理方法だけでなく、おやつに対する考え方を整理できる自己分析シートも収録している。この本が多く反響を呼んで、クラスの生徒も急増。働くママ向けクラス、保育クラスなどニーズに合わせてクラスを増やしていった。

小杉教室の取り壊しと鎌倉教室のオープン

川崎市の武蔵小杉にあった教室が、2021年建物の取り壊しが決まり、小杉教室が使えなくなってしまう。気に入っていた教室が使えなくなってしまうことで、新しい物件を探す気持ちにはなれなかったと話す。しかし気分を変えて北鎌倉で古民家など探してみようとなり、物件探しを始めているうちに不動産屋さんと出会い、ヨガ教室で人気のSUGATA鎌倉店が入っていたビルを紹介してくれた。ヨガスタジオの一角がキッチンになっていて、8席ほどの広さがあった。

鎌倉への移転を前に、北鎌倉の宝庵で催事を行い、「鎌倉と食の歴史」について鎌倉を学ぶ講座をオンラインで実施するなど、移転に向けて鎌倉の学びを深めて行った。新しく拠点としてはじめる鎌倉本校となるSUGATAがある土地の名前、交差点名の意味、八幡宮から続く道であることなど教えてもらった。SUGATAの方にも協力してもらい、鎌倉の沖合から海水を採取して作った塩を使って塩むすびをみんなで作るなど、楽しみながら新天地鎌倉への理解を深め、参加したメンバーと共に新しいスタートをきった。

おにぎりキャラバン

2020年以降のコロナ禍で学校は一斉休校となり、おにぎりキャラバンオンラインを開始した。これまで全国各地から822組、1,479名 が参加した。本当は全国を巡って、おにぎりとお味噌汁とその土地の伝統食の大切さを伝えるキャラバンを考えていたそうだが、コロナ禍となったことでオンラインで開催した。おにぎりは嫌いな人や食べたことのない人がほとんどいない、しかしコンビニエンスストアのおにぎりが普及して、自分の手で握ったことがない人が多い。そこで手作りの良さを伝えたいと思い始めたそうだ。

毎回必ず、毎日ごはんが目の前にある奇跡に感謝しようという『毎日のごはんは宝物』についてのお話と、『おにぎりキャラバンで伝えたい4つのこと』という中から話をする。次におにぎりに関するクイズを3問くらい出題して、『おにぎりの思い出話タイム』といって、参加者にエピソードをしてもらう。次に、おいしいおにぎりの握り方をレクチャーし、各自でおにぎりを握ってもらい、最後に全員の『今日のおにぎり』をご紹介してもらうと企画だ。

国内だけでなく海外にも広がり、大きなムーブメントなっている。21年には「多世代で開催することにより、サステナブルな取組を、さらにサステナブルにする、愛のある温かい取組である」と評価され、「サステナアワード」のAgVentureLab賞を受賞した。

これからどうしていきたい

やっとみんなの役に立てるようになってきた。料理を通じて社会貢献をしたい。

パッションポイント

仕事

公式サイト、出版物など

公式サイトオーガニック料理教室ワクワクワーク

こころとからだにやさしい ていねいな時短ごはん

はじめての常備菜

みんなで食べたい時短おやつ

子どもと食べたい時短おやつ

チケット(私のできること、得意なこと)

・おにぎり握ります

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

鎌倉宝庵
神奈川県鎌倉市山ノ内1415

SUGATA鎌倉店
神奈川県鎌倉市御成町3-10 鎌万ビル1階
公式サイト

お気に入りの場所(アウェイ)

喜多方市
福島県喜多方市

つながり

・清水まゆみ(かわさき・食と農のコミュニティ)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

菅野のなさんとの出会いは川崎市内のコミュニティで知り合い、のなさんのマルシェにも参加させていただいたりしました。しばらく会わないうちにすごい有名ななられてビックリしました。今後のご活躍期待しています。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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