リクルートの制作会社から神戸で企画や編集を行うメディア制作会社として起業し、北野で食とアートが融合したsnack汀(みぎわ)を開業する濱部玲美さんにインタビュー。
料理人の旦那さんと食いしん坊の息子と暮らす。関西学院大学にて児童福祉を専攻し子どもたちと触れ合うなかで、学ぶことの大切さと、それを多くの人に伝えていきたいと考え、株式会社リクルートメディアコミュニケーションズ(現:株式会社リクルートコミュニケーションズ)にて大手企業からまちの商店街まで、様々なクライアントの課題解決のためのプランニングと制作ディレクションを担当。
2012年に退社後、社会課題をアートのちからで解決しながら、さまざまなコンテンツや教材開発をおこなうNPO法人プラス・アーツにてインターンを経験。2014年4月にmoshimo lab.として独立。商業施設内にある90店舗以上のレストランの販促を「学び」を軸に行うプロジェクトUmekikiの立ち上げを通して、全国のつくり手を訪れ、その物語にふれ、編集し伝えていく活動に力をいれる。2017年2月に株式会社KUUMAとして法人化。口癖のなんで?なんで?で旦那さんをよく困らせる。眼の前にあることを当たり前と思わず好奇心を持つのが得意。
生まれも育ちも神戸で、小さい頃から絵を描くのが好きだった。関西学院大学では児童福祉について学んだ。将来は次世代を担う子どもとの関わりのある仕事をしたいと考えていたそうだ。大学を卒業後は上京しリクルートメディアコミュニケーションズに就職。求人系やブライダル系の制作をしていた。リクルートを退職時に、上司から辞めてどうするんだと聞かれ、「こども、えがお、アートの文脈の仕事をしたい」と話したという。
リクルートを退職後は、アートで社会課題を解決しているNPO法人プラス・アーツでインターンとを経験する。神戸もかつて大きな震災被害に遭い防災訓練など行われているが、そうした訓練をアーティストと組んでアート作品をまじえて楽しくわかりやすく伝えるという活動を行っていた団体で、子どもが能動的に関わるための設計やプログラムを学ぶ。2014年には、梅田駅直結の大型所業施設と一緒に食育と販売促進とを掛け算させたプロジェクト『Umekiki』を開始。ミシュラン掲載店からカフェまで、食の魅力を横串でプロモーションするというものだ。全国の生産者と一緒に食の目利きの力をつけることを目指している。
しばらく個人事業として関わってきた『Umekiki』だったが、2017年から株式会社KUUMA(クウマ)として法人化して、より関わりを強固にした。KUUMAは、ヒトが主体になりすぎない、すべての生態系が気持ちよく続いていく関係性をつくっていきたいと生まれた会社。企画・編集・制作を行うチームとして、正社員2人、副業OKな業務委託契約の3人のメンバーで構成されている。
2018年、建築家、アーティストと、異なる職種の仲間たちとCOCCA(コッカ)という活動体をはじめる。濱部さん曰く、アイデアの源泉はここにあると語る。社会には、いろんな『 』(カッコ)がある。そうした壁や境界、制約、組織などを取っ払い、つなげたらどうなるか。多世代や多分野の人々を有機的に混ぜ合い、共有しあい、社会のカッコを開き繋がっていくプロジェクトをつくり続け、その連鎖を次世代に継承したいとの想いがこめられている。同時期に、JR三宮駅近くに『COCCA ninomiya』というスペースをオープンした。学びあうということを大切にしたいメンバーつくった、街のなかの開かれたフリースペースだ。そこではいろんな自由討論会を行なっていて、自分の考えを発信して討論してみたり、研究会を行ったり、実験的なプロダクト開発なども行われている。
汀(みぎわ)という言葉をご存知だろうか。海など水と陸とが接してる水際をさし、ある研究ではそういった場所はコミュニケーションの幅が広く、歴史的にも文化を生む場所になっているという。満潮のように水面が多いと、魚などの生物がいて、干潮のように陸地が広いと陸上の生物が水際まで来る。まさに多様な場所だという。そこで様々なコミュニケーションが生まれ、文化が多様になっていくことを研究では提唱してるそうだ。
新しく作る『 snack汀 』に、場所の定義をせず、多様な人の過ごす居場所にしたいと考えた。いろんな角度で見ることのできる場所は、子どもにとってはアート教育の場となり、その隣ではおいしい軽食を囲んで酒を飲んでる大人がいるという光景。場所は北野エリアの赤煉瓦ビルの1階にあり、同じビルの2階には、ご主人が経営する予約制レストラン「erre(エッレ)」がある。奥にはワインセラーがあり、その横から上がる階段の先には子どものライブラリーがあって、放課後は子どもたちが料理のつくる体に優しい駄菓子を片手に溜まり場として使うことができる。さらに奥には、秘密の小部屋もある。
その本を読んだ濱部さんは、新しく作る『 スナック汀 』について、場所の定義をしたくないと考えた。いろんな角度で見れる、曖昧なもので、子どもにとっては教育の場となり、その隣では酒を飲んでる大人がいるという光景。場所は北野エリアの赤煉瓦ビルの1階にあり、同じビルの2階には、ご主人が経営する予約制レストラン「erre(エッレ)」がある。奥にはワインセラーがあり、その横から上がる階段の先には子どものライブラリーがあって、放課後の溜まり場にしたいそうだ。さらに奥には秘密の小部屋もある。
このエリアでは外国人居住者も多く、朝カフェ文化が根付いてることから、営業は朝のモーニングから始まり、ランチ、夕方には駄菓子の販売とアート教室(アートクラブ)、18時からはスナック営業となる。何故スナックとしたのかと尋ねたら、全国の生産者を訪問する仕事を続けてきて、各地でスナックに訪れ、そこにある郷土感やローカルでのコミュニケーションがとても心地よかった経験から、子どもたちに馴染みのない世界を見せていきたい、ものごとのB面を見せていきたい、そうすることが多様な選択肢を生んでいくのでは、と思いスナックという形態を考えたそうだ。均質的な社会へのアンチテーゼであり、子どもたちの世代にいろんな大人の顔や活動をみせていきたいのだと語る。
37歳で、自分でゼロから生み出す生業をつくることを目標に『 snack汀 』を生み出した。当初は様々なアクシデントを生んでくれる自然豊かな郊外に作りたかったが、今回は、子育てなど家族との生活を考慮して、都市部でオープン。数年先には、大好きな場所である、岡山の『 ルーラルカプリ牧場』のように動物たちと共生しながら、食とアートが交差していく場所を作りたい。
子育て、子どもの観察。本能的に生きている子どもが好きで、見ていてモチベーションになっている。我が子と一緒にsnack汀に立って接客する時間が楽しい。
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※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。
Viva Vin VIVANT
神戸市中央区山本通3ー7-2
ルーラルカプリ農場
岡山県 岡山市東区草ケ部1346-1
公式サイト
・熊倉聖子(NPO法人場とつながりラボ home’s vi )
※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
熊倉さんからの紹介でインタビュー。同じR出身とのことでインタビュー前から楽しみにしてました。神戸でデザインや面白い取り組みをされていて、どこを切ってもセンスが良くて可愛らしい。神戸に行った際には、snack汀に是非遊びに行きたいです。(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |