幼少期から伊豆大島や八丈島で過ごし、神奈川での社会人経験を経て三宅島に移住。ゲストハウスやガイドなどを基盤に、東京諸島のファシリテーター的存在を目指して精力的に活動する伊藤奨さん。
幼少期から、伊豆大島→小笠原父島→八丈島と東京諸島の流人として育つ。
神奈川での大学/社会人を経て、25歳で三宅島への移住。同時に(一社)アットアイランドを起業。『東京諸島の個と和が続く島づくり』を理念に、ゲストハウス経営(三宅島ゲストハウス島家)、自然ガイド、地域コーディネート、島での創業サポート、東京諸島ベースアップ講座主催、クラウドファンディング伴走(CAMPFIRE)とその活動は多岐にわたる。現在は、(株)TIAMを立ち上げ、東京諸島の未来の糧となる情報を掲載するローカルwebメディア『東京都離島区』の運営を中心に事業を展開中。
幼少期から伊豆大島や父島、八丈島で暮らし、よくイルカと一緒に泳いだりして遊んでいた。小学6年生の時、2000年の三宅島噴火で八丈島に避難してきた子たちと親友になった。三宅島の避難解除後は、友だちについて三宅島に遊びに行き、そこで見た枯れた木や、枯れた地面に衝撃を受けた。八丈島にはない光景に自然のすごさを実感した。高校卒業して保健体育の先生を目指し東海大学に進学。学生時代にはフットネスクラブでアルバイトをし、卒業後もそのまま働いた。フィットネスクラブで子どもたちに水泳やマシン、ストレッチのインストラクターをしていたが、それが面白く、人とのコミュニケーションが好きだと気づいた。
2011年に発生した東日本大震災のあと、復興ボランティアで被災地で現地のお婆さんから『来てくれるのは嬉しいけど、あなたの大切な場所でこの経験を活かしてほしい』と話しかけれた。その言葉を聞いて自分にとっての大切な場所とはと考え、幼少期から過ごした島で、人生を費やしたいとの想いを強くした。学生時代に三宅島の祭りに参加したことがあり、その時に見た三宅島の大人たちがとても格好良かった。島では夢をあきらめて帰ってくる20代の若者たちが多い。諦めて帰るのではなく、起業したいと夢見て帰ってくるような文化を作りたいとも思った。チャレンジできる島にしたい。そして、東京諸島出身の友人とアットアイランドという任意団体を作った。
三宅島に移住して暮らすことを決め、仕事として一番最初にやろうとしたのは宿泊施設。島の外の人と中の人がつながれる拠点が欲しいと思い、ゲストハウスと寺子屋を合体したようなモデルを考えた。2016年4月には任意団体から一般社団法人アットアイランドとなる。2017 年7月に三宅島ゲストハウス島家を開業。暮らすように滞在できる場所として、旅人と島の人とがつながるコミュニティを目指した。三宅島にはダイビングやドルフィンスイムやバードウォッチングなどのディープコンテンツを楽しみにくる観光客はすでに多く、ゲストハウスでは、特に予定を決めずに地域での暮らしを楽しむような滞在をする観光客の受け皿にもなった。ほかには、島の子ども向けキャンプや、島外の大人向けキャンプ、自然ガイドの仕事も組み合わせている。
しかし、2020年からコロナ禍で観光客は激減してしまう。そのときに、本来の大志であった『東京諸島の個と和が続く島づくり』という理念に立ち返り、いろいろ考える時間ができた。この時間をポジティブにとらえ、各島々のステイクホルダーと対話を重ねていった。そして伊豆大島で『伊豆大島クエストハウス』、新島では『新島スタジオなかにわ』も各地の仲間と共に創っていった。2021年から「Tokyo Islands Area Meeting」頭文字をとって「TIAM(ティアム)」という会社を、伊豆大島でデザイナーをしてる千葉さんと立ち上げる。「TIAM」という言葉はペルシャ語で「“はじめて”に出会った時の目の輝き」といった意味があるという。メディアとしての情報発信や島での取材を通じて浮き出てきた各所の困りごとを、東京諸島のクリエイターとコラボしながら共に解決していく事業をはじめている。
東京都の島々に『愛と誇り』を持つ人材を増やしていきたい。そういう人材が育っていくような文化の醸成に貢献したい。
多くの社会課題が山積し、人口が減っていく未来は統計上避けられない未来の中でも、世界的大都市東京にこの自然・文化豊かな島しょ地域があることの価値を示したい。「守られる側」になると弱くなる。そうではなくて、この場所が自立し他地域とも対等に価値を交換できるようなエリアとして続いていくために、自分の人生を費やしていきたい。
魚突き、野草、林業
・島を案内します |
※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。
甑(こしき)の穴
出雲大社
・渋谷大輔・ひでみ(スタジオシンクロール)
・浅岡亮太(rendez-vous)
※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
渋谷ひでみさんからの紹介でインタビュー。最近八丈島など島しょ地域に関わりがある方の話を耳にすることが増えていた時でのインタビューで、興味深くお話を伺いました。まだ八丈島や三宅島にも行ったことがないので、美しい景色を見に行きたいです。(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |