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【和歌山】後呂孝哉(Why Kumano)

大学時代から世界26カ国を旅し、熊野の魅力を発信するためにUターンしゲストハウス「Why Kumano」開業した後呂孝哉さんにインタビュー。

プロフィール

後呂孝哉 (うしろ たかや) WhyKumanoオーナー 

1989年和歌山県新宮市生まれ。
大学・就職で約10年間関東で過ごし、「地元、熊野の魅力を世界へ広めたい」想いから新宮市へUターン。20197月、和歌山県南部・熊野エリア観光の拠点となる那智勝浦町にホステル・カフェバー「WhyKumano(ワイクマノ)Hostel&Cafe Bar」を開業。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、20204月から実店舗を一時休業(現在は営業再開)、オンラインを活用した〈家にいながらも旅の気分を味わうことができる【仮想宿泊体験】〉を提供する「オンライン宿泊」を開始。宿泊者は約600名に達する。コロナ禍以降の新しい社会の宿泊の概念つくるべく活動中。

大学生のころ、世界26カ国を旅する

和歌山県で生まれ、高校時代から衰退していく故郷である熊野地域をなんとかしたいと思い、大学進学で上京。青山学院大学の経済学部に通い、地方財政のゼミを選択した。地域を知る上でも、世界も知りたいとアルバイトをして春休み、夏休みにかけて世界26カ国を旅する。アメリカ大使館後援してもらい、アメリカのサンディエゴからアラスカまでアメリカ大陸2万kmを車で縦断したこともあった。旅を続けて感じたのは地元の当たり前こそ、旅行者にとっては異文化体験だと感じた。

宇都宮でコミュニティづくり

大学を卒業して、電機メーカーに就職。配属先は、誰も知り合いがいない栃木県宇都宮市だった。まずは友達を作ろうとシェアハウス「KAMAGAWA LIVING」に入居した。友達がいなくても、どれだけ友達を作れるか面白いコミュニティを作って試そうと思った。それが将来地元に帰った時のノウハウにもなると考えたのだ。まず企画したのは、流しそうめん。テレビなどで見たことあるけど実際にやったことがない。周囲でも同じような人もいたのでやってみようと企画した。せっかくやるなら普通ではなく、新しいチャレンジしようと「”世界一長いそうめん”の流しそうめんギネス記録」に挑戦した。宇都宮の製麺会社「政木屋食品株式会社」さんに協力してもらい、長さ6mのそうめんを作った。流しそうめんの名前も「そうめんラージヒル」と名付けた。

ほかにも、宇都宮といえば餃子の町なので、1日で宇都宮の餃子何軒食べられるかというイベントも企画した。そうしたアイディアは、日常に対する疑問から発想し企画していったそうだ。シェアハウスのメンバーには様々な職種や技能を持ったメンバーもいて、そうした仲間との出会いも大きかった。5年間宇都宮で過ごし、その間もいろんなイベントを仕掛けた。会社を退職し再び旅に出ることを決めた際には、多くの仲間たちが別れを惜しんだ。

熊野にUターン

国内や海外のゲストハウスに泊まりながら旅をしていると、そこでゲスト同士仲良くなり、宿に遊びにくる地元の人とも仲良くなって、地域の日常にふれ、そこでしか体験できないことを得ることができた。そうしてゲストハウスの魅力感じていった。地元を離れて旅を続けていると、故郷への想いが次第に強くなっていき、熊野を世界に広めたいと思うようになったそうだ。そして世界一周の旅を途中でやめ、2017年に熊野にUターンすることを決めた。

地元に帰ってきたものの、高校時代までしか過ごしておらず高校時代の友達しかいなくて、ゲストハウスをする物件探しが難航した。1年間は物件探しをして、ようやく人の紹介で駅前の物件と契約することができた。物件探していた期間は、同級生と一緒に彼の実家を民泊ができる施設に改装し、「MaruHouse」のオープンを手伝ったり、地域と繋がりたいと考え、若者向けの私設図書館併設の宿”泊まれる図書館”「ユースライブラリーえんがわ」や、廃校を活用したマーケットイベント「KUJU MARKET」の運営に関わって、ゲストハウス開業までの間は、地域活動をした。

Why Kumano ? This is Kumano !

2019年7月に那智勝浦町のJR紀伊勝浦駅から徒歩15秒という立地にゲストハウス・カフェ&バー「Why Kumano(ワイクマノ)」がオープンした。3階建ビルの2階と3階をリノベーションして、ドミトリータイプの宿泊施設とカフェ&バーにした。最大16名まで宿泊可能で、カフェバーは宿泊者以外でも利用できる。名前の「Why Kumano」は、直訳のまま「なぜ熊野?」という意味で名付けた。付けました。「あなたはなぜ熊野に来たのか」、「あなたにとって熊野とは何か」、Why Kumanoに泊まることで、きっとその答えが見つかり「This is Kumano」となると語る。

熊野といえば2004年に世界遺産に登録された歴史深い地域としても知られている。その熊野を世界に発信し、誰もやったことのない経験=”ここでしかない体験”「This is 熊野」を届けたいという。開業して海外の旅行者が数多く訪れてくれた。主に熊野古道の観光客で、7割近くは海外のお客さんで占めていた。しかし2020年以降のコロナ禍となり売り上げは激変してしまう。その間は宿休業し、オンライン宿泊を実施して窮地をしのいだ。1日も早くインバウンド復活を祈るばかりだ。

熊野古道をイメージして地元の木材を使ったオリジナルの二段ベッドは、通常よりも広いスペースを確保し、寝具にもこだわったそうだ。また上段ベッドは、はしごではなく階段で登れるようになっていて、初心者や女性にも使いやすい設計になっている。

これからどうしていきたい

熊野の魅了を世界中に知ってもらいたい。訪問者が宿泊して、THIS IS KUMANOに変わる。この地域のファンを増やしていきたい。

パッションポイント

柴犬(クマちゃん)を飼い始めた、いつか看板犬になってくれるのが楽しみ。

公式サイト、出版物など

Why Kumano

Facebook WhyKumano Hostel & Cafe Bar

Instagram (@whykumano)

チケット(私のできること、得意なこと)

・熊野の魅力を教えます

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

阿弥陀寺
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町南平野2270−1

お気に入りの場所(アウェイ)

アラスカのオーロラ

つながり

山本紗矢(脇口水産)

脇口みずほ(ツナ娘)

原裕(だものみち)

丸山由起(Publisher’s Republic)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

山本沙矢さんからの紹介でインタビュー。脇口さんや原さんからも名前が挙がっていたので気になっていた方の1人。ようやく話を聞けました。熊野愛はもちろん、宇都宮での活動も素晴らしく今後の活躍も期待しています。Why Kumano泊まりに行ってみたいです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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