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【千葉】豊田維( no Wave )

ウェスティンホテル東京、西麻布のレストラン料理長を経て独立。グルメイベント「VILLAGE(ヴィレッジ)」成功で飛躍を目指すも、コロナ禍で新たな壁が。挑戦し続ける豊田維さんにインタビュー。

プロフィール

1976年生まれ。千葉県旭市出身。高校卒業後に料理の勉強の為に上京、西洋料理を学ぶ。卒業後に東京・恵比寿「ウェスティンホテル」に7年、西麻布のフレンチレストランの料理長を務める。父親のレストランを引き継ぐ為にUターン。2010年「Kitchen Tsunagu」をオープン。市内にもう1店舗を経営するほか、グルメ・イベント「VILLAGE(ヴィレッジ)」副代表を務め、地域と生産者をつなぐ活動も行う。

恵比寿のウェスティンホテルで経験を積む

千葉県旭市で生まれ育ち、父親がレストラン経営していた影響もあって高校卒業して、東京の辻料理師専門学校に進学。そして仕事は恵比寿にあるウェスティンホテル東京の調理部門に入社する。1階のカフェからスタートし、最後は最上階のフレンチレストランの厨房に立つようになる。25歳の時、職場の先輩が独立することになり、豊田さんも誘われてホテルを退職。

しかしその独立の話は、融資されなくなり頓挫してしまう。路頭に迷う中、その先輩に紹介で西麻布にある小さな店で働くことになった。その店は看板も出さないのに連日賑わう高級店だった。しばらくしてそこの社長に料理長をやってみないかと言われ、メニュー開発から食材選びなど取り組んだ。そこでの経験がフレンチの概念にとらわれない面白い料理をつくるというスタイルを築くきっかけにもなった。

Uターンで旭市で自分の店を持つ

ある日、20年近く経営してきた旭中央病院の一角にある店を辞めたいと父から相談を受けた。ちょうど20代後半の時期で、仕事もだんだん楽しくなってきた矢先だった。東京から離れたくないという気持ちもあったが、地元にUターンすることを決意した。父が経営していた店で、豊田さんの店「Kitchen Tsunagu」を開業した。豊田さんは、病院の中で店をやるなら、一番病院でやっちゃいけないものをやろうと思ったと話す。ハイカロリーで、クオリティの高い、ハンバーグ専門店として営業開始。お酒も用意した。病院にある食堂とは真逆の路線を選んだ。

あえて、そうしたお店にしたもの、わざわざ来てもらう店にしたかったと話す。病院の外来患者さんだけではなく、地域で暮らすお客さんにも来てほしいと考えた。しかしそれまで父親の店に来てくれていた常連さんは厳しい評価を下される。それでも旭市の生産者さんとのつながりも大切にしながら、豚肉た野菜の生産者さんとの意見交換を重ね、料理への妥協はせずに続けた。

グルメイベントで集客に光が見える

開店して1年間は苦戦していたが、市内の旭市袋公園で、地元の農家さんや飲食店と一緒にグルメイベント「VILLAGE(ヴィレッジ)」を企画。無農薬有機栽培の野菜や畜産農家直送のポーク、地元の食材を使うレストランやバーのこだわりの逸品が楽しめるイベントにしようと始めた。当初は自分たちの家族や友人たちを誘って始めようと思っていたら、その光景がSNSでどんどん拡散されていき、気がつけば5,000人近い来場者が集まり、あっという間に完売するという嬉しい事態も起きた。

その後も年に2回開催し、最近では1万5,000人が集まるイベントに成長した。食以外にもモノ作りのワークショップやキッズダンサーによるステージ、ヒップホップDJも呼んで、おしゃれで楽しいイベントになった。そうしたイベントをやった甲斐もあり、イベントを通じてお店のことを知ってもらい、「Kitchen Tsunagu」も次第に大盛況となっていく。

コロナ禍で急転直下、新たな展開へ

2020年以降からコロナ禍の緊急事態宣言で急転直下。お客さんが来なくなり売り上げが大きく失ってしまう。そこで取引していた農家さんが出来ないかと相談に来た。野菜も売れず生産者も行き場を失っていたのだった。そこで「がんばれ弁当」として、販売する機会のなくなってしまった野菜などを使った医療従事者専用のお弁当をつくる『ctrl+H』の活動を開始。事務局長も賛同してくれ、もともと無償提供を考えていたが、食材費として1食あたり400円いただき販売した。

NHKや千葉日報などでも取材を受けると反響が大きくなり、全国から問い合わせや農家さんたちから野菜やお米などの提供など絶えず続いた。今年7月には旭市飯岡 海の見えるカフェ「no Wave」をオープン。自身も海沿いに引っ越し、海一色のライフスタイルに染まった。 2021年いっぱいで「KITCHEN TSUNAGU」を閉店し、新たな地で再起を目指す。

これからどうしていきたい

no Waveでたくさんのお客さんをお迎えしたい

パッションポイント

仕事

公式サイト、出版物など

Instagram (@nowave_2021)no Wave

チケット(私のできること、得意なこと)

生産者と近い場所で仕事してるので案内します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

no Waveの2階からデッキからの海の眺め
千葉県旭市横根1353−36

お気に入りの場所(アウェイ)

冬の霞ヶ浦

つながり

片平塁(楽天堂)

石神貴子(The Hive and Barrow)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

片平塁さんからの紹介でインタビュー。病院に併設する飲食店を大胆にも逆の発想のお店を出店するなど、挑戦される姿勢はすごいと思いました。コロナ禍で飲食業界は大変ですが、近い将来に賑わいが戻る日が来ることを祈っています。ハンバーガー食べに行きます!(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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