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【大阪】加西幸裕(くれおーる)

高校時代から母と二人三脚で始めた小さなたこ焼き屋「くれおーる」が、今では道頓堀を代表する人気店に。代表の加西幸裕さんにインタビュー。

プロフィール

株式会社くれおーる代表取締役社長
大阪府出身。2004年3月摂南大学 経営情報学科卒業。

小さなたこ焼き屋からはじまる

1999年2月、大阪市東淀川区の阪急淡路駅から歩いて15分ほどの場所に、母と一緒に小さなたこ焼き屋を始めた。当時はまだ加西さんは高校2年生だった。それまで母は会社勤めだったが、その会社の経営が行き詰まってきて、自分の店を持ちたいと語り開業することになった。店名の「くれおーる」は、ラテン語で「創造」という意味だという。何故たこ焼き屋を選んだかというと、会社員時代に外回りでクルマを運転していた。ランチも限られた時間で済ませなければいけなかったので、テイクアウトのたこ焼きをよく食べていたそうだ。しかし時間がたってしまい冷めて美味しく感じなくなる。たこ焼きといえば熱々なイメージだが、冷めても美味しいたこ焼きを作りたいと思ったのが始まりだそうだ。

1年半ほど営業し、常連さんだった方が京橋の物件を紹介してくれて、2001年1月に京橋に移転する。3坪で当時30万円の家賃。しかも京橋といえば食通も多く、味に厳しいお客さんも多いと聞く。加西さんは大学に通いながらお店を手伝い、移転して1年くらい経つと話題の店となり軌道に乗っていった。食に厳しい京橋のお客さんに認められた気がした。2007年に道頓堀に大型店舗を出展するまでに成長していく。2フロアで家賃も3桁で、これまででも1番の大勝負だったと振り返る。インバンド観光客の増加も手伝って、売り上げは好調をキープ。開店して6年で道頓堀出店の借金は完済できたという。まだその時は26歳の出来事だ。2009年から株式会社に組織変更し、2015年には東京・渋谷に初進出も果たす。現在は大阪と東京に11店舗を構えるまでに成長している。

コロナ禍を乗り越え、大阪万博に向かって

順風満帆だった矢先、観光客で賑わっていた道頓堀から人が消えてしまう。2020年以降のコロナ禍で観光客も地元の人たちも街に来なくなってしまう。これまでに経験したことがない大きなダメージだった。緊急事態宣言下でも大阪市内では感染者数が増加するなど緊張感がずっと街に張り詰めていた。お店にはお客さんが来てくれないので、違うことをしないといけない。そこで考えたのが自宅に宅配するサービスや冷凍食品を販売したり、パーティー用の具材をセットにしてデリバリーしたり、「くれおーる」の味を自宅でも楽しめれるような施策を打ち出していった。

たこ焼き器メーカー最大手のブルーノとタイアップして、「くれおーる」のロゴが入った製品を販売したり、スーパー向けにたこ焼き粉をオリジナルで開発して小売販売したり、アイデアを生み出し流通チャネルを増やした。21年の緊急事態宣言が明けて以降は徐々にお客さんも街に戻り始め、少しずつ活気は戻ってき始めている。2年間会社を潰さず、よく耐えたと胸を撫で下ろしながらも、2025年の大阪万博開催に向けて前向きに進んでいる。2016年に万博招致をカザフスタンで行った際、大阪の食文化としてたこ焼きを紹介し、それ以降街ぐるみで盛り上がってきた。万博に向けて道頓堀を元気にしたいとと熱く語った。

これからどうしていきたい

最近は、SDGsの勉強してる。地域と連携しながら、フードロス、環境問題の問題を取り組みながら、世界の人が大阪を選んで来てくれるまちづくりをしたい。

将来は海外でも商売して、たこ焼きを世界中に広めていきたい。また、外食産業は客単価が安いので従業員の給与もなかなか上がらないが、この課題を業界全体で変えていきたい。例えばチップ制を特区としてできないか提案していきたい。

パッションポイント

食の勉強をしている。生産者とのつながりでより食への関心、こだわりが高まった。

公式サイト、出版物など

株式会社くれおーる

チケット(私のできること、得意なこと)

・道頓堀のいい店紹介します。

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

道頓堀

お気に入りの場所(アウェイ)

鹿児島県

青森県

新潟県

つながり

諸岡龍也(こつぼねの家)

上別府美由紀(美由紀牧場)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

諸岡龍也さんからの紹介でインタビュー。飲食店のサクセスストーリーはよく耳にしますが、実際に立ち上げたご本人から話を伺ったのは初めてだったので貴重な経験をさせていただきました。たこ焼き食べにいきます。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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