新型コロナウィルスのJリーグ・村井チェアマンの対応
2020/03/20
注目を集めたJリーグの対応策
2020年のオリンピックイヤーに、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中に広がった。そんな中Jリーグの対応は迅速で明快だった。チェアマンの村井満(60)のリーダーシップに称賛の声が集まっている。
2月24日、日本政府が「この1、2週間が瀬戸際」との声明を発表
2月25日、Jリーグ関係各所との調整を行い、3月15日までの全公式戦延期を発表。
2月26日、日本政府がスポーツ・文化イベントの自粛を要請。また村井チェアマンは、日本プロ野球機構(NPB)に話を持ちかけ「新型コロナウイルス対策連絡会議」を発足。
3月3日、第1回新型コロナウイルス対策連絡会議の終了後に、バレーやバスケBリーグ、ハンドボール、ソフトボールなど多くの他競技団体と専門家の知見を共有した。村井チェアマンは「統括団体の私が抽象的概念をこねくり回すよりも、はるかに臨場感、危機感ある意見交換だった。風評や噂など根拠のないもので不安を抱えていた自分がいた。専門家の先生方からの意見で、何が大事か視座が定まった」と語る。
3月9日、第2回新型コロナウイルス対策連絡会議で専門家より「18日の再開は難しい」との意見が出たため、村井チェアマンはその日の記者会見で内容を包み隠さず公表。
同日、Jリーグ全56クラブが出席するウェブ会議を行い、「4月3日の再開を目指す」方向で全会一致の結論を得た上で再びメディアを集め、理解を求めた。これもまた日本政府よりも先手で対策を打ち出した格好となった。その意思決定のスピードに称賛の声が集まる。
「プロスポーツは興行として裾野が広いものですから、飲食関係、公共交通、宿泊関係、警備員だったり様々な方に支えられている。こうした延期が持つ意味合いは非常に重い」と話すなど、延期を強いられ経済的ダメージを被ることになるJクラブ関係者、再開を待ちわびるファン・サポーターを含めた全方面への敬意も忘れない。
4月3日の再開に向け、4つのプロジェクト(日程調整・大会運営・財務・環境衛生保全)立ち上げを明言。再開判断への6段階の意思決定指標もアナウンスした。
Jクラブの財政面も支援
「日銭のキャッシュフローを想定しているクラブもあれば、そのなかで入場料収入をあてにしているクラブもあります。1カ月試合がないなかで、財務的なところも冷静に精査していく必要があると考え、シミュレーションとリーグによるサポート体制をケアしていきます」経営破綻という状況に直面したクラブへの救済措置を、メディアから問われた村井チェアマンは「まずは状況を把握することが大事だと考えています」とこう続けている。
「純資産が薄いクラブのなかで、入場料収入をあてにしなければいけないクラブに関しては、キャッシュポジションをしっかりと把握し、確認する作業を同時に進めていきたい。資金繰りなどの問題が起こらないかを、クラブと連携を取りながら十分に配慮していきます」
J1クラブへ3億5000万円、J2へ1億5000万円、J3へ3000万円が支給される均等配分金をはじめ、放映権料や商品化権料などさまざまな配分金が年間に3度から4度に分けられて振り込まれている状況を、必要なクラブには年度はじめに一括で支給する。
さらに今シーズンから新たに導入されていた「ファン指標分配金」を抜本的に見直す。ライブ配信を行うDAZN(ダ・ゾーン)の視聴実績をクラブごとに数値化し、原資として用意した5億円から分配する計画を一時停止。新型コロナウイルス対策への資金にあてる準備も整えた。
降格する制度を一時廃止
J1からJ2、J2からJ3へ複数のクラブが降格する制度を廃止。J2からJ1、J3からJ2へは通常通り昇格する制度を継続することが、19日にウェブ会議方式で臨時開催された、J3までを含めた全56クラブの代表取締役社長らで構成される実行委員会で承認された。