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【川崎】岡田恵利子(ニアカリ)

お子さんを連れてフィリピンやデンマークで留学。そこでの知見を日本の教育に、ジェンダー社会に還元しようと奮闘中の岡田さん。そこまで突き動かすものは一体なにか。お話をたっぷり伺いました。

プロフィール

岡田 恵利子
ソーシャルデザインスタジオ ニアカリ 代表&デザイナー

札幌出身、川崎在住。前職キヤノンでカメラや写真アプリなどのデザインリサーチ・UI/UXデザインに14年従事後、多様な人が関わるデザインプロセスをうまく進める知見を深めるべく「参加型デザイン」や「共創」について大学で研究しながら、デザイン・写真に関連した業務委託、執筆、イベント企画・講師などをフリーランスとして行っている。2019年より子連れで交換留学、デンマークの参加型デザイン事例を調査し2020年帰国。現在はデンマークでの経験や知見を糧にデザイン・写真の力を使って、仕事と研究を交差させた「日々の暮らし”にあかり”を照らす」実践を個人事業ソーシャルデザインスタジオ「ニアカリ」にて模索中。https://niacari.jp

 

世代を超えてジェンダー平等を考える GenXross Kawasaki 代表、親目線で日本の教育を考える営み EduCari 共同代表、はこだて未来大学大学院後期博士課程在学中、グッドデザイン賞など受賞多数

UI/UXデザインの仕事を経てフリーランスに

小学3年生の頃、当時の担当の先生が突如『もっとやりたい仕事ができた』と言って、先生を辞めてテレビ局の記者に転職していった。世の中で起きてること、思ったことを自分の言葉で伝えて良いんだとその先生は語っていた。その記憶がずっと残っている。小さい頃から図書室に入り浸り、誰よりも知識欲が強かった。知らないことを知りたい。スキルアップしたい。インタビュー中にも何度もスキルアップのために人生を選択してきたと語っている。

大学は2004年に函館に新しく開校した『はこだて未来大学』。岡田さんはその一期生だったのでサークルもイベントも全部自分たちで考えて作らなければいけなかった。学生たちの自発的な行動を求められ、函館の街に繰り出してイベントも立ち上げた。そうした経験が原体験として残っていると言う。人と機械、もの、サービス、情報をイントラクトしてどうコミュニケーションしていくのか。教授陣は富士通やマツダなどの大手企業のデザイナー経験者が揃っていた。その大学でのつながりが今でも人脈として築かれてるそうだ。

キヤノンに新卒で入社し、カメラなどの精密機器や写真関連アプリなどのデザインリサーチ・UI/UXデザインに14年従事し、2018年退社。コンセプト・UIデザインを担当した製品「PowerShot N」は グッドデザイン賞 Best 100 を受賞した経歴の持ち主。結婚を機に羽田空港に近く、北海道へ帰省する時に便利な街として川崎に引っ越した。育休中に子供と一緒に時間を使いたい。スキルアップもしたいと、ママ友に写真講座を提供しはじめる。近所のカルチャースクールでも講師を務めることになった。その講座に来ていた方の中に、育休期間中にフィリピンで語学留学としてたという話を聞く。育休で子供を連れて語学留学したという話に衝撃を覚える。さっそく調べて半年後にはお子さんを連れてフィリピンに飛んだ。

子供と一緒にフィリピンに語学留学

英語は得意ではなかったそうだが、なんとかなった。それがさらに自信にもなったようだ。フィリピンの現地の方々の優しさに触れ、英語を学び続ける喜びを知る。いまでもその関係性は続いてるそうだ。みんな幸せそうで、生きるモチベーション、楽しむモチベーションにもなっている。その後職場復帰したものの、お客様からのリアルな喜びを聞くことができた育休時の活動と比べて、現場から遠くなった気がした。いろんな生き方をしてる人がいる世の中で、自分ももっと社会に根差したデザイン活動がしたいと考えが変わっていく。職場では同じルーチンも多かったので、この先も何十年間と同じことをするのかと不安にもなった。

周りの人が幸せになってくれること、よいデザイン商品を作るには、よい場が必要だと思い、場づくりに興味を持ち始めた。そこで母校の教授に転職か進学か悩んでいると相談する。教授からは、『 参加型デザイン 』について教えてもらい、それについて学び直してみるのはどうかと提案される。社会を豊かにするデザインをしたいと思い始め、母校の大学院に進学することを決意した。

参加型デザインとは、エンドユーザーがデザインの過程に能動的に参加し、デザインされる製品が彼らのニーズに合っているか、使い易さはどうかを確認する助けをするデザイン手法の一種。スカンジナビアの国々の労働組合で1960年代から70年代にかけて行われ始めたことが起源と言われている。

引用:Wikipedia

 

デンマークで教育について考えるきっかけに

退職後はフリーランスで仕事を続けながら、社会人学生として進学。デンマークに交換留学できることを知るとすぐに手を挙げ、半年間子連れでデンマークへ渡る。現地の参加型デザイン・共創の現場を訪問し、年金システムなども、住民参加型でデザインされていることを学ぶ。教育に関してもジェンダー平等が日本より浸透する社会も、あらゆることが新鮮だった。保護者の視点で教育に還元したいと思うようになっていく。

帰国してから、本当に良い教育ってなんだろう。よい人生ってなんだろう。幸せってなんだろう。デンマークで出会った仲間と日本の子育てや教育環境を当事者視点で考えてみたいと親目線で日本の教育を考え、国内で還元したいと「EduCari (エデュカリ)」を2020年7月に立ち上げた。オンラインイベント、ポッドキャスト配信などを行い、教育について気軽に話せる場づくりを模索している。

岡田さんは旧姓で活動をしていたのだが、デンマーク滞在時にパスポートと名前が違って困ることがあったそうだ。旧姓だと海外での活動は難しい。日本でも、教育現場について理解を深めようと保育士の資格を取ろうとすると、大学卒業時の旧姓と現在の戸籍姓の関係を証明するために戸籍謄本を取り寄せる必要もある。生来姓の岡田で活動したいのだが、スムーズにいかないケースも多く、自分が事例になって同じように悩んでいる人たちを支援していこうと考えた。

ジェンダーについて考える市民団体も発足

ジェンダーについて広い視点で考える市民団体「ジェンクロス・カワサキ」を21年3月に立ち上げる。SNSで発信したら共感の輪が広がり活動が始まった。Clubhouseを使った1回目のイベントには22人が参加。地元女性議員をゲストに、川崎市のジェンダー平等に向けた取り組みなどについて聞いた。

団体名には「ジェンダー」「ジェネレーション」がクロスするという意味合いを込めている。子どもから高齢者まで、全ての世代がジェンダーについて理解を深める場作りを目指したい。子どもに対する性教育やLGBTQをはじめとする性的少数者など、多角的な視点で情報発信を進めるそうだ。

これからどうしていきたい

自分が楽しく出来るもの(デザイン、写真)を提供しているが、お客さん自身でデザインしたり、写真撮影できたり、発信や表現できるデザイン写真スタジオを作りたい。地域に根ざして、カフェにようにふらっと来て出来るスタジオ。

パッションポイント

写真、編み物(麦わら帽子など帽子類)

公式サイト、出版物など

ソーシャルデザインスタジオ「ニアカリ」

EduCari(エデュカリ)

GenXross Kawasaki

チケット(私のできること、得意なこと)

デザイン、写真で何かしたい人、両方の組み合わせでも、ブランディングの手伝いできます
フィリピンやデンマークについて情報提供できます

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

ハッピーロード(川崎南河原銀座商店会)の夏祭り
神奈川県川崎市幸区中幸町4-18

お気に入りの場所(アウェイ)

函館の裏夜景
北海道函館市
公式サイト

Superkilen Park(デンマーク・コペンハーゲン)
デンマークのコペンハーゲンのNørrebro地区にある公園。この公園は、難民と地元の人々を結びつけ、デンマークで最も民族的に多様で社会的に困難なコミュニティの1つで寛容と団結を促進するように設計されています。(Wikipedia)

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つながり

・熊谷薫(アートマネージャー)

・船戸大輔(アートフル)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

岡田さんはクラウドファンディングで支援していただいたお一人で。ホームページなどを拝見しても多彩な活動が目に飛び込んできて、インタビュー前から興味を持ってました。育休中にフィリピンに語学留学したり、社会人学生でデンマーク留学したりと、久しぶりにアクティブな方と出会えて楽しく話を伺えました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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