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【川崎】中野絢斗(かわさき若者会議)

チェルノブイリ、福島それぞれの被災地を訪れ、自ら社会課題解決のために何ができるのかを考え、地元の川崎で若者たちと他世代交流のコミュニティを目指して『かわさき若者会議』を発足した中野さん。熱い想いとバックグラウンドにあるものをお話伺いました。

プロフィール

神奈川県川崎市出身。大学を卒業し、2021年から大手電機メーカーのIT部門に就職。学生時代の海外留学を機に、地元川崎の面白さに気がつき活動中。4月には、川崎のU-25プラットフォーム「かわさき若者会議」を仲間たちと立ち上げ/川崎市男女平等推進審議会委員/日本若者協議会関東支部副代表/高津区まちづくり協議会委員/高津区市民提案型協働事業「学生歓迎セミナー(仮)」実行委員長など

ベラルーシ、福島を訪れて復興支援の思いを固める

川崎市に生まれて、中学・高校時代は横浜、大学は東京。地元にはまったく興味を持ったことはなく、週末は都内に遊びに行くのが普通で、川崎や地元について考えたこともなかった。おそらく川崎生まれの学生たちに地元について尋ねてみても大半が、同じ答えが返ってくるのだろう。早稲田大学では、日本とは全く異なる国で生活してみたかったとして、ロシア語留学でベラルーシ共和国に行く。ベラルーシは、ロシア連邦に隣接する国で、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の被災地のひとつであった。その国がどのように復興をしていってるのか自分の目で見たくて、留学先に選んだのだという。

ベラルーシ共和国は、東ヨーロッパに位置し、東にロシア連邦、南にウクライナ、西にポーランド、北西にリトアニア、ラトビアと国境を接する、世界最北の内陸国。首都はミンスク。ソビエト連邦の崩壊で独立。

引用:Wikipedia

 

留学を終えて、ユーラシア大陸を横断しながら帰国。その道中の行く先々で『 君の地元はどんなところだ』と聞かれたという。どの国の人たちも自分たちの地元に誇りを持ち、自慢げに話してくるが、自分の地元・川崎について何も知らなかった。その何も答えれない体験が後に大きく影響するようになっていく。

2017年3月、東日本大地震の福島原発被害で、居住制限区域及び避難指示解除準備区域が解除された浪江町にも訪問したそうだ。浪江町でも原発事故後に、どのように復興回復していくか見たいと思ったそうだ。しかし目の前にあった光景はとても衝撃的で悲しくなったという。支援したいと気持ちから福島県内のNPO団体の採用を探すが、断られて結果的には都内の電機メーカーに就職する。中野さんは東日本大地震の震災後10年目に、本籍地を川崎市から浪江町に移した。海外では今でも風評被害が大きく、福島のイメージが悪いという。そこで本籍地を移し、パスポートにFUKUSHIMAの地名を記載することで、アピールしていきたいと語った。

若者が気軽に相談できるコミュニティをつくりたい

帰国してから、地元に目を向けてみようと思い始める。家からも近かった高津区市民健康の森という場所で、森林保全の活動をしてる団体のイベントを見つけた。平均年齢は70歳近くの自分より遥かに年齢差があったが、みんな暖かく迎い入れてくれたそうだ。川崎にも自然豊かなところがあることを気付かされた。先輩たちが自分に教えてくれる代わりに、SNSやスマートフォンの使い方を教えてあげた。学校では習わないことを教えてくれる。地元の川崎が面白いと気づく瞬間でもあった。

海外留学を通じて、地元に興味を持つきっかけを与えてもらい、週末にどんどん都内に流れていく川崎の若者たちがいる状況を変えてみたいと思いはじめる。地元で開催してるイベントにも参加していきだすが、同世代の仲間がいなかった。どうやって同世代の仲間を見つけていけばいいか。気軽に相談できるコミュニティがあればいいなと思考する時、同じ様に考えていた仲間と出会い『 かわさき若者会議 』の発足へ動き出す。

SNSで呼びかけたり、区役所などからも紹介してもらい地元の若者たちを集めていく。これから何かやろうとしてる子達の受け皿になり、すでにイベントなどやってる人たちのマッチングを目指そうと決める。『 かわさき若者会議 』の第1回目は、10人くらい集まってくれたらいいと思っていたら、20人近く参加者が集まった。『 かわさき若者会議 』は、自由なプラットフォームとして、メンバーは名前を自由に使ってイベントやプロジェクトを企画実行できる。初回のイベントでは、社会科見学したいという意見や都市農業を盛り上げたい、ゴミ問題で何故ゴミが溜まるのか考えたいなど様々な意見が飛び出した。

『 かわさき若者会議 』は今後、定期的に開催しながら情報発信もしていくという。参加は川崎市に縁がある人であれば誰でもOKで、川崎市以外に住んでいても、なにかを実現する場所が川崎市内であればいいそうだ。現在はみんな手弁当で集まって運営している。

負の要因をつくる社会を変えたい

これまで出会った人の中で印象に残った人について聞いてみると、東ヨーロッパにあるジョージアでの思い出を話してくれた。その国で中野さんは携帯電話を擦られたそうだ。すぐに追いかけて取り返したそうだが、警察には突き出さず、そのまま帰し、そっと後をつけてみたら、その男は家族の元に帰ったという。そして子供たちも何もなかった様に子供と遊ぶ姿を見て、携帯を奪うことは良くないが、そうさせてしまってる背景にある社会が悪いと思ったそうだ。

川崎でも2015年に多摩川で男子中学生がイジメられ殺害された事件があった。実際に川崎市では南北格差とも言われる地域間の格差を取り上げられることもある。社会の仕組みを変えたい。自分自身に何ができるのか考えていきたい。中野さんが地域活動を始めてから、たくさんの刺激を受け川崎の良さ、人の良さを感じる機会が増えた。コロナ禍において学生たちは大学というコミュニティさえも失ってしまったが、他世代が混ざり合って面白い社会に変えていきたいのだと語ってくれた。

これからどうしていきたい

社会課題の解決したい。人の不幸になる要因を取り除きたい。人が幸せになることを邪魔する要因を除きたいと熱く語った。そのためにはITの力で、就職した電機メーカーで実現しながら、地域では他世代が交流できる地域社会を作っていきたいそうだ。今はシニア層が巻き込めていない。だから学生たちと一緒に、NPOも企業も各団体とも混ざり合って地域を面白くしていきたいという。

パッションポイント

地域活動、犬と遊ぶ

公式サイト、出版物など

Facebook (かわさき若者会議)

チケット(私のできること、得意なこと)

・若者を紹介できます。つなげます。
・マンパワーでお手伝いできます。
・海外放浪のアドバイスできます。

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

春日台公園(高津区市民健康の森)
神奈川県川崎市高津区千年1149−1

お気に入りの場所(アウェイ)

福島県浪江町
福島県双葉郡浪江町
公式サイト

ベラルーシ共和国
首都ミンスク

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つながり

那須野純花(かわさき若者会議)

・秋元友里(Farmers Market at UNU)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

クラウドファンディングに支援をしてくれたお一人で、インタビューのオンラインで対面したのが初めてでした。SNSなどで『かわさき若者会議』は目にしいたので、どんな話が聞けるだろうと楽しみにしてました。とてもまだ20代前半とは思えないくらいしっかりした考えをもち、そのバックグラウンドにある体験など聞けて、濃密な時間を共有させてもらいました。今後の活躍に注目したいです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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