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【千葉】水野かおり(流山ふたごの会)

ふたごの男の子を出産育児した過程で体験したことから、同じ悩みをもつ人たちを支援するサークルを立ち上げ、さらに地域や行政などと組織的な支援を目指し法人化も進めている水野さん。活動のきっかけから今後の展望までお話を伺いました。

プロフィール

1984年兵庫県生まれ。上智大学文学部英文学科卒。在学中米国ジョージア州立大学に留学、英国ロンドンにてJames LakelandおよびWest London Collegeにてインターン。2008年パナソニックに入社し、国際商事本部にて海外営業に従事。退職後は妹とオリジナルブランド「OTTONAL(オットナル)」を立ち上げる。また全国通訳案内士として訪日外国人のプライベートツアー「Field Trip+」を企画・運営。観光庁事業「地域の観光人材のインバウンド対応能力強化研修」講師。 2018年に双子の男の子を出産後、フランスやイギリスでの育児を経験。語学や海外生活が大好き。とりあえずやりたいことをやってみる人。2019年より「流山ふたごの会」代表、「関東多胎ネット」代表理事。

多胎児家庭を支援するサークルを発足

オンラインストアで妹さんがデザインする雑貨を販売する会社を営み、通訳案内士の資格を使って外国人観光客をガイドするツアー企画運営している水野さん。結婚して男の子のふたごを出産し東京から流山市に引っ越してきた。ご自身がふたごを出産した経験から多胎(ふたごや三つ子)に関するサークル活動を始めた。当時は流山周辺には多胎経験者たちのサークルはなく、友達が欲しい、交流したいとの想いで始めたそうだ。

多胎は妊娠時から出産できる病院が限られていて、小さく生まれる事もあったり、リスクが大きく伴う。妊娠の合併症のリスクもある。出産後も首がすわっていない状態で2人の子供を世話するのも大変で、1人泣いてあやしてたら、もう1人も放置できない。同時に抱っこすることもできず子育ては非常に難しい。そのため母親として孤立しやすく、外出もできない、周囲に理解してもらうことも出来ない。そんな悩みが大きくのしかかってくるのだ。

リスクが高い反面、それらの情報共有が少ない。そんな時に同じふたごママ同士で励ましあったのが、心の支えだったという。流山に引っ越してきて知り合いがいない中で、自分以外にも多胎育児で悩んでる人がいるのではないか。共感共有できる場所があったからこそ頑張ることができたという経験から、流山ふたごの会を立ち上げた。はじめは、SNSなどで呼びかけ、流山市の人口増加に伴い、現在は55組くらいのメンバーが参加している。

メンバーには多胎児のママ、パパが参加してくれている。地域のみんなが子育てをできるようにしたい。地域情報や遊び場の情報を交換できるのがうれしいと参加者から声ももらう。最近はオンラインでおしゃべり会やおゆずり会も開催している。地域のいろいろなところと連携して、継続していける形をつくりたいと語る。

法人化で組織的な支援を強化したい

同じようなサークルは全国各地にもあるが、サークルでできる事には限りがある。そこで組織的な支援が必要だと思った。6月ごろには法人化を目指し準備を進めている。流山だけでなく、関東各地域のサークルや団体の代表者の方々と出会い「関東多胎ネット」(通称「カンタ」)が誕生。所属するサークル代表者は、保健師、看護師、保育士、臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、社会福祉士、キャリアコンサルタントなど様々なスキル・知識・バックグランドを持っている。

2021年には法人化を目指したクラウドファンディングのCAMPFIREにも挑戦し、目標額を大きく上回って達成した。下記の4つの事業を始める計画だ。

1・ピアサポート事業
ピアサポーター(多胎育児経験者)を多胎家庭へ派遣し、お話を伺ったり一緒に考えるサポートです。 各サークルから「ロールモデルとなって欲しい」「大きな組織で体制を作ってもらい、各地域がピアサポートを実施しやすくしてほしい」「養成講座やフォローアップ研修などを開催して欲しい」などの声が上がっています。

2・ファミリー講座
関東多胎ネットの強みである広域ネットワークを活かした講座を開催します。 多胎プレファミリー講座や多胎育児に関する講座 など。

3・交流会
育児を楽にする情報交換や育児相談など心を軽くする交流会、多胎育児を楽しむイベントを企画します。

4・サークル支援
各地域で活動している多胎サークルの相談、立ち上げアドバイスなど、サークル活動のサポートを行い、多胎育児支援の輪を広げます。 サークルは情報交換や交流目的だけでなく、外出が難しい多胎児家庭が安心して集える場であり、孤立予防や虐待防止にもなります。

地域で包括的に支援できる未来を

法人化を立ち上げて、その先に目指していく上でベンチマークにしてるところはあるかと尋ねたら、『ぎふ多胎ネット』の名前が上がった。ピアサポートが充実していて岐阜県全エリアをカバーし、行政や医療と地域サークルとが連携しているという。妊娠中から出産、育児期まで切れ目のないサポートを目指し、多胎に関する人材バンクと情報バンクを保有。地域医療、地域保健、地域福祉、保育、教育など関係機関と連携した包括的支援をしているのが特徴である。

水野さんが、関東多胎ネットの活動を始めるきっかけは、いろんな地域のサークルの代表との出会いだ。流山ふたごの会に参加してくれた妊婦さんが、次のイベントで赤ちゃんを連れてきてくれたり、他の人にアドバイスしてあげたりする姿を見て、活動をすることで、つながりが出来ていることを実感したそうだ。当事者以外の方たちが何か支援したいと行ってくれることが嬉しいと話す。活動を通じて、こども食堂や地域の人々とのつながりも出来るのが面白い。地域全体で子育てをしたい。

これからどうしていきたい

違う文化が混ざり合う、いろんな人種が集まる場がすき。外国人の交流会や多国籍の楽しめるコミュニティを作りたい。

パッションポイント

海外に住むこと、多国籍の人との交流

公式サイト、出版物など

OTTONAL

Field Trip+

流山ふたごの会

関東多胎ネット

チケット(私のできること、得意なこと)

多胎に関するお話できます

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

森の図書館
千葉県流山市東深井991
公式サイト

お気に入りの場所(アウェイ)

マルセイユの海

【じゃらん】国内25,000軒の宿をネットで予約OK!2%ポイント還元!

つながり

手塚純子(machimin)

西川真理子 (男木島、未来の教育プロジェクト)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

手塚純子さんからの紹介で、水野さんをインタビュー。ふたごを出産し育児するという大変さは当事者でないと分からないですが、お話を伺ってリスクや環境面など知らない現実が数多くあることを知りました。支援の活動はこれからも続くと思いますが、情報発信や協力できることは積極的に支援していきたいと思いました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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