100人、100通りの人生とまちの風景、キーパーソンに会いに行こう

【川崎】中村圭子(幸区SDC)

アパレルやカラーコンサルタント関係の仕事をしていた頃に白血病と診断。それから街のイベントに参加し出して、出会いが多く変わっていった中村圭子さん。ユニークなアップサイクルの製作や地域イベントに参加されたお話を伺いました。

プロフィール

川崎市在住20年。端切れと古着と革の捨てられちゃうようなものたちを再生(アップサイクル)したり、枯れかけた植物を育てることが好き。白血病罹患の経験から人生には期限があることを知り、楽しく今を生きることを目指す。ソフトウェア会社、アパレル、公益財団法人を経て、現在は幸区SDCで「まちづくり」と武蔵新城にあるレストランで「ピザづくり」をする傍ら、「リュックづくり」と「妄想実現」にふける日々。

白血病を転機に生活が変わる

JR南武線の鹿島田駅とJR横須賀線の新川崎駅の中間に位置する新川崎駅タウンカフェ内に、川崎市が推進するソーシャルデザインセンター(略称SDC)「まちのおと」がある。地域活動を行う団体のつなぎ役として、地域課題解決を目指している。そこで運営スタッフとして勤務しているのが中村圭子さん。「まちのおと」の名前には自分たちが暮らすまちの「音」を感じることと「ノート」としてまちのことを描くという2つの意味が込められているそうだ。

ソーシャルデザインセンターとは、「これからのコミュニティ施策の基本的考え方」に基づき、各区において、多様な主体の連携により、市民創発によって課題解決する区域レベルの新たなしくみとして、地域でのさまざまな新しい活動や価値を生み出し、社会変革を促す基盤である「ソーシャルデザインセンター」の創出に向けた取組を行っています。

引用:川崎市

 

中村さんは、アパレルやカラーコンサルタントの事務所でお仕事をされていましたが、2017年に慢性骨髄性白血病と診断され、病を機に職を失ってしまいます。中村さんは、やりたいことをやっていくと決心します。

近所を散歩し、古着屋や本屋さんをまわったり、古着を解体し、端切れを使ってリュックを作るのが好きで、捨てられるものを再生することを喜びとしています。それまではフルタイムで働きながらウォーキングのインストラクターをするというハードな毎日を過ごしていて、川崎市内に住んでいたものの、街には興味がなかったそうです。

療養中は散歩が体調を測るパラメーターになり、歩くことの大切さと歩けるありがたさを感じていたと言います。今では、タウンカフェで知り合った仲間と一緒に散歩を楽しみ、やりたいと思っているけど始めら思ってるけど始めれない人や、くだらないことでもなんでも相談できるようになりたいと話す。

やりたいことをやっていい

街には興味がなかったという中村さんでしたが、川崎市内の地域イベントに参加していくきっかけは、病気になったことだそうです。病気になり、ずっと家で療養していたでの外との接点が無かったが、通院で通っていた川崎市立井田病院の西先生が行っている『暮らしの保健室』を知ることになる。

暮らしの保健室とは、カフェのような柔らかな雰囲気の場所で、病気の悩みや健康に関する心配ごとを相談したり、話したりできる場所です。予約などは必要ありません。いくつか開催場所がありますので、開催日と場所をご確認の上、開催時間中にお越しいただければ看護師(コミュニティナース)がお話を伺います。 

※ コミュニティナース:医療機関に限らず、街中など市民の暮らしの近い場所で活動する看護師のことです。

引用:暮らしの保健室

 

そこで知り合ったコミュニティナースの石井麗子さんに自分の病気のことを聞いてもらい、通院前に相談し合う関係ができていく。近所でふらっと立ち寄れて、話を聞いてくれる人がいる居場所のありがたさを実感したそうです。

また、その頃『かってにおもてなし大作戦!』が市内中でやっていたので参加。フレディのフラッシュモブ動画には衝撃を覚えたという。メンバーが言う『 やりたいことをやりなさい 』と言う言葉に背中を押される気持ちだった。馬鹿なことを真面目にやる。それに輪をかけて被せて来る人がいることが、とにかく面白いと思ったそうです。

川崎市では東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に障害のあるなしや年齢や人種の違いに関わらず、すべての人が活躍できる社会の構築を目指す「かわさきパラムーブメント」を推進するとともに、「英国代表チームの事前キャンプ」を受入れます。これらをテーマに、自分の趣味や特技、アイデアなどを活かして、川崎に暮らす方々に向けて、自分が楽しくて、ドキドキする「おもてなし」をふまってみる取組「かってにおもてなし大作戦!」です。

引用:川崎市

 

このイベントで中村さん自身は、古着が好きなので、それを使って何かを作ろうと考えた。そして本屋さんで覆面マスクの本を見つけ、Tシャツを使い覆面マスクを作成した。

『 かってにおもてなし大作戦! 』の主催をしていたスタジオLの山本さんに、『ダイヤログ・イン・ザ・ダーク』のことを教えてもらう。『ダイヤログ・イン・ザ・ダーク』は、完全に光を遮断した真っ暗闇の中で視覚以外の感覚だけでコミュニケーションを体験するというもので、普段はそういう状況下ではなかなか行動できないが、視覚障害者の方はさくさく行動できるという。その話をもとに、覆面マスクの目を塞いで、スイカ割りをしてみようかと案が浮かぶ。しかしYoutube動画で、チャンバラを見て、それをやってみようとアイデアが決まった。

コロナ禍でなかなかリアルイベントが出来なくなったが、動画配信を使い、川崎市内で活動してるプロレス団体ヒートアップにも協力してもらい、企画は実現していく。自分がやりたいと思ったことを、スタジオLは全く否定せず実現してくれた。そうした体験を通じて、そんな人たちがいる川崎市ってすごいと思ったそうだ。ヒートアップの田村さんとの出会いも忘れられない出会いだったそうで、プロレスを通じて社会貢献に取り組んでる姿勢にも驚かされた。

病気になって職を失ったが、がん経験者として、その経験をもとに日本対がん教会の職員となって働いていた。ファンドレイザーとして主にピンクリボン活動の寄付集めを担当していたが、啓発活動は真面目な中にも面白さがないと伝わりにくいと感じていた。イベントを通じてたくさんの知り合いが増え、馬鹿なことを一緒に考えてくれる様々な年代の仲間ができたことは、職場と自宅の往復だけだった頃から大きく変わったそうです。

これからどうしていきたい

古着や端切れを使った再生をしていきたい。古着は着ていた人の形になっていて、色落ちや形として残っている。以前20年間タンスの中で眠っていたイブサンローランの服をリュックに変えて欲しいというオーダーを受けて製作。その方は他のブランド店を訪問した際に、特注品かと尋ねられたそうだ。使われず眠っていた服が使えるようになり、その服を着ていた人を想像しながら、次に使う人のことを想像して作ることが楽しいそうです。

 

パッションポイント

古着、面白いものをつくる(人形、覆面)

公式サイト、出版物など

Instagram(@kco_backpack)  リュックとバッグに作り変える人

Instagram(@kawasakihawaiiancenterカワサキハワイアンセンター

チケット(私のできること、得意なこと)

思い出の洋服から好みのリックを作ります
・一緒に妄想します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

川崎市橘リサイクルセンター
神奈川県川崎市高津区新作1丁目20−3
公式サイト

多摩川の土手(北見方の第三京浜付近、二子橋付近)

夢見ヶ崎動物公園
神奈川県川崎市幸区南加瀬一丁目2-1
公式サイト

【じゃらん】国内25,000軒の宿をネットで予約OK!2%ポイント還元!

つながり

中村若菜(machico)

中村純子(子育て支援センター)

我妻啓子(WALK&WALK)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

中村若菜さんからのつながりで紹介していただいた中村圭子さん。目を塞いだ覆面マスクを被ってチャンバラや、古着を再生したリュックにユニークな人形など、優しくて、木漏れ日のような暖かさはインタビューしていも伝わってきました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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