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【青森】髙坂 真(のへの)

学生時代に発覚した持病と闘いながら、青森県八戸市にUターンして「フンノート」や「のへの」の活動で広域に地域を発信する髙坂真さん。

プロフィール

1978年青森県八戸市生まれ、千葉大学工学部工業意匠学科卒業、千葉大学大学院自然科学研究科デザイン科学専攻 修了(工学修士)2011年から「八戸ノ本室」の屋号でフリーランスでの活動を開始。八戸工業大学感性デザイン学部創生デザイン学科(旧感性デザイン学科)で、2011年度から2021年度までデザイン史の非常勤講師を勤める。2021年、屋号を「八戸ノ本室」から「のへの」に変更。

学生時代に持病が発覚

青森県八戸市で生まれ育ち、大学は千葉大学に進み工業意匠学科でデザインを学んだ。大学3年の春に検診で引っかかり、家族性大腸腺腫症(FAP)という持病が発覚する。主に大腸や胃・十二指腸に無数のポリープが出来続ける病気で、早くに大腸を取る手術をしなければならなくなり、卒業後の進路も考えられなってしまう。大学院修士2年目を休学した2002年、日韓ワールドカップで世間が賑わうなか大腸を取る出術や一時的な人工肛門での生活を終えたが、大学院修士課程を修了後1年間は就職浪人もした。

2005年7月からは工作社が発行する『室内』というインテリア雑誌の編集部でアルバイトを開始。翌年3月号で休刊してしまうのだが、それまで出版社で勤務した。その後も転職活動をする日々が続く。20代はなかなか仕事が定着することができず社会から求められていないのではと激しい劣等感を覚えた一方で、様々なデザイン関係者との出会いが、そうした自分を救ってくれた。いつかは地元に帰ろうと考えていたこともあり、デザインで地元に貢献しようと2009年2月にUターンした。八戸に帰ってからは八戸観光コンベンション協会で働き、ご当地検定の本や八戸の夏祭りのガイドブックなどの編集業務に主に携わった。2011年からフリーランスとなり「八ノ戸本室」という屋号を掲げる。

フンクラブでグッドデザイン賞

2011年の東日本大震災で被災した建物の取り壊しが決まり、その記録を残そうと写真を撮りに行った。そこでアスファルトに飛び散ったウミネコのフンを写真で撮影し、その写真をパソコンに取り込んで加工した。青森県八戸市の蕪島はウミネコの繁殖地として知られ、毎年春から夏にかけて3万羽以上が飛来する。それをネガティブな表現ではなく、地域にある縁起の良い資産(素材)ととらえ、フンの模様化を試みた。最初はネットサービスで手軽にノートが作れるサービスがあったので、それを使い「Fun Note フンノート」を作成。2013年のグッドデザイン賞で、うみねこのフンの模様化を通した地域振興計画として評価された。

のへの創刊

2012年秋に胃のポリープで入院することになり、それを期にセカンドオピオンを先生に提案されて東京築地の国立がんセンターに通うようになる。入院や通院で何度も東京に通ううちに、萩原修さんから地元で何かしないかと提案された。それがきっかけとなり『のへの』という活動を開始した。2018年6月には、八戸で現在も活版印刷も続ける武内印刷を紹介した冊子を発行。『のへの』は、「戸(のへ)」地域を中心に地域の関係人口を増やしていくことを目的にしている。2号目は2021年11月に自費出版で発行し、八戸の郷土玩具 八幡馬や一戸町などを紹介した。取材から執筆、編集、写真、デザイン、広告、事務、営業まで全て髙坂さん1人で行っている。

 

これからどうしていきたい

戸ナイト(トナイト)という、戸(のへ)の地域の地域活性化交流イベントを仲間と行っている。

「デザイン」を軸に地域に関わっていきたい。特に青森県南と岩手県北にまたがる戸(のへ)の地域を活性化できたらいい。

パッションポイント

ジェラート巡り、出かけては人に会ったり風景を撮ったりする、ぼやく

公式サイト、出版物など

のへの

のへのworks

チケット(私のできること、得意なこと)

・接点を作りたいと思い浮かんだ人を紹介します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

種差海岸

工場の煙

お気に入りの場所(アウェイ)

一戸町

盛岡市

下北半島

つながり

萩原修(シュウヘンカ)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

萩原修さんからの紹介でインタビュー。事前に「のへの」最新号を送っていただきました。私も本が好きなので紙媒体での発信は続けてほしいです。いつか青森にも遊びに行きます。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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