100人、100通りの人生とまちの風景、キーパーソンに会いに行こう

【東京】萩原修(シュウヘンカ)

東京多摩地域で「つくし文具店」「国立本店」「国分寺さんち」「東京にしがわ大学」などまちづくりやクリエイティブを牽引する萩原修さん。

プロフィール

萩原 修 はぎわら しゅう

プロジェクトデザイナー。東京都国分寺市育ち。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。大日本印刷、リビングデザインセンターOZONE経て独立。日用品、店、住宅、展覧会、書籍、雑誌、ウェブなどの企画・プロデュースを手がける。つくし文具店、国分寺さんち、まちのき、ベースクール、こくセージ、くにきたトラベルなど独自のプロジェクトや拠点を立ち上げ育てる。著書に「9坪の家」「デザインスタンス」「コドモのどうぐばこ」など。株式会社シュウヘンカ共同代表、明星大学デザイン学部教授。

OZONE立ち上げに関わる

東京都国分寺市で育ち、武蔵野美術大学を卒業後は大日本印刷で10年勤務。その後は新宿の「リビングデザインセンターOZONE」の立ち上げから関わり約10年勤務し、展覧会の企画をやってきた。30代になって周囲のクリエイターたちが独立していくのを見て。ふと自分がサラリーマンでいることに違和感を感じた。長くキャリアを積んでも自分自身で最終の意思決定ができず、そうではない仕事もしたいと思い始めるようになる。2004年で退職するが、特に計画があったわけでもなく、前職で残った仕事を手伝いながら半年は過ごした。

「つくし文具店」をリニューアル

国分寺の実家で母親が1990年まで営んでいた「つくし文具店」が、物置となっていて、その場所で何かをしたいと考えるようになった。駅から離れた郊外にあり、そこに住んでる人しかいない住宅地では面白くないと思い、「地域に開く店」ではなく「地域を開く店」にしたいと考えて「つくし文具店」をリニューアルした。DRILL DESIGN と一緒に、オリジナル文具の開発、ワークショップの開催をし、お店番を日直制度にして30人くらいのメンバーと運営した。

店内には、小さな黒板があり教室のような雰囲気にした。外装は、限りなく白に近いグレーの壁に、赤いポストと、黄色い車止め、そして青い旗の三色が配置。メディアでも数多く取り上げられ全国、そして海外からも多くの訪問者が来てくれた。日直制度は「ちいさなデザイン教室」と変わり、プロジェクトを1年間かけて考える出会いと学びの場となった。これまでに200人以上が卒業して、つながりが発展して地域でプロジェクトも生まれるようになった。

「国立本店」と「西荻紙店」

2006年には国立駅の近くで物件が見つかり「国立本店」をオープン。テーマは建築デザイン、本の店。クリエーターが事務所として奥のスペースをつかって運営するしくみで6年間やった。現在は「ほんとまち編集室」として1年更新の有料化にして家賃として賄っている。10代〜60代までのメンバーがお気に入りの本を紹介する「ほんの団地」という企画やイベント行っている。

2011年「国立本店」の支店という位置づけで「西荻紙店」をオープン。「紙店」は「シテン」と発音し、国立本店に対しての「支店」と掛けている。デザイナーの三星安澄さんと共に運営し、「かみめがね」「空気の器」などを展開する「かみの工作所」、「つくし文具店」のオリジナル文具などを展示販売した。

「東京にしがわ大学」の開校

都心で仕事をすることが多い一方で、地元で何も出来てないと思っていた頃。渋谷区をキャンパスに見立てて話題を呼んだ「シブヤ大学」の姉妹校を多摩地域で作るという話があるから聞いて欲しいと連絡が来た。多摩エリアでキーパーソン10人集めてキックオフをして2010年に「東京にしがわ大学」が開校した。多摩エリアは30市町村あり、400万人以上が暮らす。その地域で街の散策、農業体験など様々な授業を企画した。さらにそのつながりから多摩信用金庫の雑誌『たまら・び』やJR東日本の地域フリーペーパー『ののわ』にもつながった。

3番目の拠点「国分寺さんち」

2014年には、3番目の拠点として、自身の会社・株式会社シュウヘンカのオフィス、「つくし文具店」在庫、発送の場所として、さらにシェアオフィスと「しごととデザイン研究室」という学びの場として活用。このビルの屋上が見晴らしが良かったということで決めたという。その後はクローズド型の施設「国立五天」や立ち飲み屋「マルヒノ」など場づくりを相次いで手がけていった。2004年に立ち上げた「中央線デザイン倶楽部」(のちに「中央線デザインネットワーク」)がはじまりだった。

「くにきたトラベル」

2022年からは、国立の北側で「くにきたトラベル」がスタート。日常を旅するプロジェクトで、国分寺崖線に22の坂道があり、 富士山と夕陽が綺麗に見えるという。畑や農家の直売所、住宅街と混在する「くにきた」を様々な角度から巡る。

これからどうしていきたい

2014年に明星大学のデザイン学部ができて、会社を作った。

地域に根差した大学にしていこうとしている。ソーシャルデザイン、ビジネスなど大学で教えてる。また、経営に興味があり、仕組みとして、何かできないか、デザイン経営の支援も手伝ってる。

これから中小企業の支援、商品企画のサポートを続けていきたい。

パッションポイント

国分寺崖線、玉川上水、中央線

公式サイト、出版物など

つくし文具店

国分寺さんち

9坪の家(廣済堂出版)

デザインとコミュニティ(武蔵野美術大学出版局)

チケット(私のできること、得意なこと)

・デザインのこと、相談に乗ります

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

「くにきたエリア」東京都国分寺市の西側、国立駅の北側

お気に入りの場所(アウェイ)

福井県鯖江市

北海道旭川市

つながり

髙坂真(のへの)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

赤坂健太さんからの紹介でインタビュー。つくし文具店など以前から活動を拝見していて、国立本店や国分寺さんち、にわ大の話までお話が聞けて良かったです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
野田国広の記事一覧