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【京都】関奈央弥(丹後バル)

『 食べる人』と『 作る人』の距離を近づけるというMISSIONの下、生産者さんや料理人の方と缶詰商品の商品開発や食育事業に取り組む関さん。生産者のストーリーを伝えることで価値が変わってくる。

プロフィール

京都府京丹後市出身、丹後バル代表、管理栄養士、ファスティングマイスター 。大学卒業後5年間、東京都の小学校で学校栄養士として食育に携わる。学校での食育経験より「生産者さんの生産のストーリー」を伝えることの可能性を感じ、丹後バルプロジェクトを立ち上げる。2017年に京都市内に移住し、缶詰・瓶詰め等の商品開発、製造に従事。2018年より京丹後市に移住し、現在は丹後の食環境を活かし、商品開発や食育事業に取り組む。

生産者のストーリーを伝えていく

京丹後出身で、京丹後にはUターンで帰ってきた。東京農大を卒業し、大田区の小学校で栄養士として5年間勤めていた。管理栄養士という資格を持っているが、男性では珍しいそうで全体の10%ほどだという。小学校の栄養士だったころ、知識を子供に伝えるだけでは意味がないと考え、知識をどう行動に繋げていくかを考えた。「小松菜にはカルシウムがあるから食べたほうがいいよ!」と言っても食べてくれないが、自分が食べているものを「誰が」「どこで」「どんな風に」作っているかを丁寧に伝えると食べてくれた。スーパーで野菜を買うだけでは絶対に分からない、食べ物の作り手の努力や思いを表に出して伝えていくことの重要性を感じた瞬間だった。その体験が後にUターンしようと決意するポイントにつながっていく。

そもそも男性では数少ない管理栄養士になぜなろうと思ったのか。小学生からサッカーを始め、将来はサッカー選手になることを夢見ていた。しかし高校時代に現実を知り、選手ではなくサッカーに携わっていく道を探していく中で、スポーツ栄養士という職業を知る。スポーツ栄養士は、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できるように食事の面からサポートを行う仕事だ。それを目指し大学に進学。大学で『日本の生活習慣病の増加』と、それに伴う『医療費の増加』の問題を知り、そこから食育に興味が変わり、管理栄養士を目指すようになったそうだ。食材に隠れたストーリーを伝えることで、ポジティブに変わっていく。

丹後バルのイベントを東京でスタート

丹後の食の可能性を知り、丹後の食の素晴らしさを伝えようと、『 丹後バル』は都内のイベントとしてスタートする。丹後出身の料理人の方や、出張料理をされている方に協力いただき、参加者の方と丹後の食材を一緒に食べながら、映像、写真で生産者のストーリーを伝えていた。毎月夜行バスで丹後に帰って、土日で生産者のもとを通うのを続けた。イベント参加者の中から丹後に行ってみたいと声が上がると、ツアーを企画し開催したり、丹後から食材を取り寄せてくれる方も増えてきた。

ある日、漁師さんの現場を見る機会があった。地元の丹後は『海の京都』と呼ばれる地域で、海あり山あり畑ありの食が豊かな地域だ。食育体験のひとつとして、京丹後市久美浜町で行われている「定置網漁体験」に参加したそうだ。集合は朝3時45分。定置網で、鰆、シイラ、ぶり、トビウオなどが水揚げされる。その魚を見て、普段の食で「いのちをいただいている」ことを強く感じた。生産者の方のおかげで、食が成り立っていることも再認識もした。食に興味を持つことから、食を通した健康づくりは始まると思ったそうだ。

丹後にUターン

そろそろ事業でやってみたいと考え、2017年4月に京都市内にある缶詰のベンチャー企業『カンブライト』に入社、将来的に起業することを見据えた転職でもあった。翌年7月には、地域に身を置いて活動したいと思い、地域おこし協力隊の募集を見て、職を活かした活動ができると京丹後に戻る。

四季を通じてバラエティな食材があり、生産者がいろんな想いで作られているが、生で流通できないもの、量の問題や余った部分を加工したり、日持ちの問題を伸ばす加工をしたり、市場では値がつかないものなどを缶詰にした。食材の出口を提案することでお土産物需要を起こした。地元のワイナリーや道の駅などで販売している。現在はこうした活動のほかに、高校の非常勤講師として栄養学を教えたり、地域の小中学校でも食育を伝えている。

地域の中ではコーディネーターとして、生産者さんや料理人の方、加工事業に携わる方や行政の方など、多数の人と連携したイベントも企画をしている。丹後だけでなく、京都市内や東京でも丹後の発信を行い、面で地域の魅力を見せていきたいと話す。

これからどうしていきたい

食環境、食の学校を作りたい。ほかの地域にない魅力を体験プログラムとして提供し、管理栄養士の活躍の場を作りたい。それで管理栄養士たちがローカルではたらく環境につながっていくと良いなと思う。そのために自分自身がロールモデルになりたい。この10年くらいは丹後での事業を育てていき、その先はスポーツ栄養のこともやりたい。また、他地域に食育の活動を広げていきたい。

パッションポイント

サッカー観戦(柏レイソル)、DJ

公式サイト、出版物など

丹後バル

丹後バル オンライストア

チケット(私のできること、得意なこと)

・ディープな食の知識を教えます
・生産者巡りや米作り体験できます

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

かぶと山園地
京都府京丹後市久美浜町甲山
公式サイト

鴨川
京都府京都市

お気に入りの場所(アウェイ)

目黒川

目黒不動尊
東京都目黒区下目黒3丁目20−26

【じゃらん】国内25,000軒の宿をネットで予約OK!2%ポイント還元!

つながり

坂田真慶 (丹後暮らし探求舎)

・瀬川 然(ネビラキカフェ )

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

丹後暮らし探求舎の坂田さんからの紹介でインタビュー。私自身、日本食研で勤めていたり、グルメサイトの立ち上げをやったりしてきて食にはずっと関心ごととしてあって、食文化は地域を語る上でも重要なキーワードですし、食を中心に地域への想いを語られる姿が眩しく感じました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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