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【大分】後藤好信(DOCRE)

大分県佐伯市で地方公務員の傍ら、アフター5で遊休不動産を使ったまちづくりに取り組む、後藤好信さん。

プロフィール

後藤 好信

佐伯市役所建築住宅課
一級建築士

大分県佐伯市出身。大学進学を機に4年間横浜市で過ごす。その後、平成17年にUターンで佐伯市役所に入庁。平成27年、公務員まちづくりユニット「DOCRE(ドークリ)」を後輩公務員と二人で結成後、佐伯市船頭町にあった元時計屋と元旅館の空き家をそれぞれ購入し、複合施設にリノベーション。半径50mのスモールエリアでリノベーションまちづくりを実践中。

公務員らしくない公務員になる

大分県佐伯市で生まれ育ち、大学は横浜にある関東学院大学に進学した。実家が建築設備関係の仕事をしていたこともあり、建築設備工学を学んだ。学生時代は自分が生きる場所は佐伯だと決めていて、時間をみつけては佐伯に帰るほどだった。就活では九州で仕事を探すも、当時は就職氷河期で、九州での就職はなかなか見つからなかった。そんな中、佐伯市役所に勤める同級生の強い勧めにより佐伯市役所の、採用試験を受験した。公務員を目指していたわけではなかったが、受験勉強をするにつれ佐伯市を想う気持ちが更に高まっていったという。

佐伯市役所では公共施設の営繕工事等を担当している。いざ働いてみるとまちのことに関わることが多く、自分にあっているとおもった。職場に同世代が多かったこともありすぐに馴染むことができた。公務員として働くにつれ、まちの人と多く関わる公務員らしくない公務員になろうと思っていったという。

アフター5でまちづくり活動

22歳のとき佐伯市が好きで帰ってきたが、いざ帰ってみると佐伯市には都会のような煌びやかで、楽しいことはなく、都会に戻りたいと思った日もあった。周りからも「佐伯はなにもない」という声をよく聞いた。そこから何もないなら、自分たちが面白いと思えるものを創っていこうと、同世代の友人たちと、若者目線で佐伯のまちを面白くするまちおこし団体「佐伯盛上隊」を立ち上げ空き店舗や空き地を使ったまちづくりイベントを開催した。この活動を通して、「佐伯のまちには確かにないものもたくさんあるけど、アイディア次第でここにしかないものを創ることができる。」ことを知った。5年間の活動ののちその活動は一旦終了し、一級建築士の資格を取得することに専念した。資格取得後にまた転機が訪れる。それが遊休不動産を使い、都市経営課題を解決していくまちづくりの手法を学ぶリノベーションスクールとの出会いだ。その公務員コースに参加し、全国の熱い公務員、講師たちと出会ったことでまちづくりへの熱が再加熱した。

一緒にリノベーションスクールに参加した職場の後輩河野さんと共に、公務員まちづくりユニット「DOCRE(ドークリ)」を結成した。「DOCRE」とは、”おかしい”、“普通ではない”人のさまを意味する方言“どうくる”と、英語の“DO CREATIVE”を掛け合わせた造語だという。DOCREの二人でそれぞれ佐伯市船頭町にあった二軒の空き家を購入した。後藤さんは築約90年の元時計店を購入、河野さんは築約120年の元旅館の建物を購入して、まちに開かれた複合施設にリノベーションしている。生活できる状態になるまで、みんなでワークショップを開催して、掃除や解体などの空き家が再生していく過程をイベント化した。するとリノベーションに興味がある仲間が集まり、後藤さんの建物は2年の歳月をかけ完成した。今は1階にキッチン付きレンタルスペースと回転焼き屋、建築設計事務所。2階は家族の居住スペースに生まれ変わっている。

船頭町でまちづくり

昔から商人のまちとして栄えてきた佐伯市船頭町は、今でも若者やよそから来た人を暖かく迎え、新しいチャレンジを応援してくれる地元住民の方がいる。この船頭町に少しずつ移住者も増えてきているのはそのような街の気質があるからだろう。

2017年からはまちを知るきっかけづくりのイベント「船頭町市」を開催している。そこでは既存店舗だけでなく空き店舗や軒先、空き地を活用して、船頭町のちょっと未来の日常をイメージして「このまちにこんなのがあったらいいな」というお店を佐伯市内のお店を中心に声をかけ開催しており、今では毎回40軒の店が出店している。

これからどうしていきたい

このまちにもまだまだ課題はあって、空き家がなかなか流通されない問題だったり、後継者がいなくて事業が継続されない後継者問題。そんなまちの課題をクリエイティブに解決していけるような会社を仲間たちと立ち上げたいと思っています(公務員なんでできる範囲で)。

20代帰ってきたときは何もないと感じた町だったが、今ではこのまちにしかないものを多く見つけることができる。まちと関わり出して自分事になった時からして面白さが倍増した。このまちの課題を自分ごととして、もっと面白楽しくハードルを飛び越えていきたい。

スモールエリアで再生の息吹がDOCREを中心に巻き起ころうとしている。

パッションポイント

スケートボード、遊休不動産トレジャーハンティング

チケット(私のできること、得意なこと)

・あなたにあった人を紹介します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

蓬莱屋旅館の中庭

お気に入りの場所(アウェイ)

元住吉
川崎市幸区

つながり

石井秀幸(スタジオテラ)

・なかむらかずみ(ゲストハウスさんかくワサビ)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

石井さんからの紹介でインタビュー。大学時代に住んでいた町が近くだったというのが分かって急に親近感が湧きました。佐伯には足を運んだことがないのでいつか見学にお邪魔します。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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