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【川崎】高安千穂(ダブルケアかわさき)

人材系などキャリア支援の仕事をする傍ら、ダブルケア支援活動を立ち上げた高安さん。自身の体験をもとに共感と支援の輪を広げている。

プロフィール

2002年3月慶應義塾大学総合政策学部卒、2009年に株式会社ワーク・ライフバランスに入社。求職者と企業のマッチングに長年従事し、個人が多様な役割を持ちながら活躍できる社会が必要であることを痛感。働き方改革実現コンサルティングを経て、個人に対する総合的なキャリア支援を行なう。川崎市男女平等推進審議会委員。二児の母。

川崎でコミュニティとの出会い

大学卒業して、総合人材サービス会社での法人営業、求職者カウンセリングなどを通じて延べ3,000名を超える人材の紹介に携わった後、2009年から株式会社ワーク・ライフバランスで風土改革支援を行っている高安さん。同年に川崎に引っ越して来た。ちょうど2人目のお子さんの出産のタイミングでもあった。翌年にもっとビジネスについて学びたいと考え、都内で開催されていたビジネス系の読書会に参加した。そこで普段出会えない人たちと出会ったことが転機となる。東京都内や神奈川県内を転々と移り住んできたため、川崎に引っ越してからも周囲に友達と呼べる人はいなかった。そんな中で2011年の東日本大地震に遭う。

地域のことが全くわからなかったので困ったと言う。生活安否に関わる情報に関してもキャッチできず大変な思いをしながら過ごす。それまでの家庭と保育園、職場の往復する生活のままではいけないと思った。2014年5月には「川崎市議会に行こう!」のイベントを主宰。行政職員にもワーク・ライフバランスの実現をして欲しかったが、市民ニーズの増大が職員の負担感になっており、自分自身を鑑みても、地域のことを知らないとなんでも行政任せになってしまう実情を感じていたからだ。行政を“身近でない”“どうせ変わらない”と諦めず、まずは市議会を傍聴して、行政の仕組みや内情を知ろうと呼びかけて開催した。地域を知ることで、愛着がわき、地元の友達ができ、地域でできることをなんでもやりたい気持ちが高まっていった。

ダブルケアかわさきの立ち上げ

ある日、祖母の介護と育児とのダブルケアの状態になる。要介護状態ではなかったが、勤務先の理解もあり、1年間休んだ。自分自身の大変さの理由が、自分ではうまく説明がつかなかった。その頃、溝の口にある『川崎市男女共同参画センター・すくらむ21 』でのダブルケアに関する勉強会に参加する機会があり、ちょうどその隣に座っていたのが、のちに『ダブルケアかわさき』の代表を務める田中夏実さんだった。ダブルケアは一般的には育児と介護のことを指すことが多いが、育児や介護のみに限らず複合的なケアのことを指す。田中さんは元気なお子さんと難病のお子さんを持つ母親だった。高安さん自身はシングルマザーとして子育てしながら、遠方に住む祖母の介護というダブルケアをしていた。

ダブルケアは、広義では家族や親族等、親密な関係における複数のケア関係、そこにおける複合的課題。狭義では、育児と介護の同時進行の状況のことである。育児と介護、介護と孫支援など、少子化・高齢化におけるケアの複合化・多重化の問題に焦点をあてる概念。 ダブルケアという概念は研究者である横浜国立大学の相馬直子准教授、英国ブリストル大学の山下順子上級講師により創られた。

引用:Wikipedia

 

セミナーに参加し、ケアは重い軽いは関係ないと言われ、自分のした事が認められた気がした。そしてケアは肉体的、経済的、精神的など多様なものだということを学んだ。田中さんの話を聞いていく中で、自分自身も当事者であることに気付かされたと言う。そして2018年に『ダブルケアかわさき』を田中さんと一緒に立ち上げる。ダブルケアに関する勉強会や『 すくらむ21 』と共同で相談や情報交換などを行っている。それまで知らなかった人たちが、学びながら話すことで主催者になり、自分ごとのように考えてくれるのが嬉しいと話す。参加者は少人数で、支援者側やケア推進、包括支援センターの方も参加してくれるとそうだ。

全国にもダブルケアを支援するコミュニティはあるが、運営には難しさも多い。2020年以降のコロナ禍でオンライン中心での活動となった。ダブルケアで忙しい人が多く、家から出れない人も多いことにあり、共鳴しあってオンライン参加者も増えている。これからはもっと地域の人たちが参加して来てほしい。街全体が、街にある問題について関心を持ったり、自分自身も活動に参加することで地域への愛着を深めるような、プレイヤーになっていくことを願っていると話す。

これからどうしていきたい

コミュニティに関わる人が増えたらいいと考えている。ダブルケアの活動をしていても、連動して様々な社会課題などが出てくる。しかし課題解決の担い手がまだまだ少ないので、もっと地域にプレイヤーが増えてほしい。それはご自身にとっても、心をひらいて話せる友達や、頼れる人を増やすような、楽しみを増やすことにもつながるので。

パッションポイント

音楽(ジャズ鑑賞)

公式サイト、出版物など

ダブルケアかわさき

チケット(私のできること、得意なこと)

・課題解決したい人、一緒に手伝います

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

すくらむ21
川崎市高津区溝口 2-20-1
公式サイト

コトニアガーデン
神奈川県川崎市幸区北加瀬2丁目11番1~5号
公式サイト

お気に入りの場所(アウェイ)

金沢
石川県金沢市
金沢市観光協会

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つながり

道下摩衣(多摩区こども食堂)

岩川舞(新川崎タウンカフェ)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

高安さんは川崎市内でのコミュニティイベントで知り合い、今回のクラウドファンディングで支援いただきました。オンラインでの取材ですが1時間じっくり話をしたのは初めてでした。立ち上げが好きとのことでさらに今後も活動範囲が広がりそうで、楽しみです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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