札幌でWEB制作の仕事をしながら札幌国際芸術祭などメディアアート作品のの制作やサポートなどを行う船戸大輔さんにインタビュー。
1981年、北海道河東郡士幌町生まれ。2007年公立はこだて未来大学システム情報科学科博士 前期課程修了。 ウェブシステム構築・アプリ開発などを行っている。
上記の活動の他、在学中の研究の継続による自作のお絵描きソフトのためのカメラ認識による マルチタッチディスプレイのデバイス開発活動などをきっかけに、2014年から札幌国際芸術祭にテクニカルスタッフとして参加。現在はSIAFラボのメンバーとして活動を継続。またルアーにセンサーを載 せて釣り人の水中での知覚の拡張による、新しい釣り体験を創出するスタートアップの共同創業者として『smartLure』に参画、2021年5月31日に最初の製品がクラウドファウンディング を達成し、来年予定の出荷に向けてプロジェクトを進行中。
はこだて未来大学を修士で卒業をし、そのままフリーランスを経てWEB制作の会社を起こした。普段はスマートフォンアプリや、ウェブシステムの開発を主に行っているが、現代アー トやメディアアートの展示などでインストーラーとして作品の制作や設営をサポートしたり、札幌国際芸術祭(通称・SIAF – サイファ)のSIAFラボのメンバーとして、都市と自然をテーマに日常とは違った視点で札幌や北海道の環境の中で「ものづくり」を考えることを目的としてR&Dプロジェクトを行っている。
在学中にモエレ沼公園で開催されたMO’ELEMENTというライブ・アートイベントに出展した際に、イベント開催に向けたミーティングに参加し、主催者である札幌で活動しているクリエイターやアーティストの方々がイベントを通してどのようなカルチャーを札幌に根付かせていきたいかなど、熱く議論していたことが今でもよく覚えていて、大学院を卒業する際に、おのずと札幌が浮かび、現在は札幌に拠点を構えている。
札幌に来てからは、まずは、フリーランスとして自分の生活をきちんと立てる、ということに追われ る日々だった。仕事の傍ら大学院で行っていた研究を継続していたところ、2013年に翌年開催の2014年 第一回札幌国際芸術祭にてメディアアート作品のテクニカルスタッ フとしての参加依頼がきっかけで、アートに関する活動領域が増えていく。
その時、テクニカルスタッフとしてサポートしたのが、坂本 龍一 + YCAM InterLab による「forest symphony」という作品で、世界中の樹木に生体電位センサをつけて、その樹木ら の生体電位を取得・集積・解析して音楽に変換して、芸術祭の期間中、日々世界中の樹木が奏でる音が展示会場に流れるという作品だった。その展示のために、北海道の各地や長野県などにセンサーを取り付けにいったり、海外にセンサー キットを送付して現地の技術者さんとコミュニケーションを取ながら設置してもらうなど、普段 行っている仕事と比べて、その場その場で要求される判断や工夫の質が違うということが非常に印象に残っている。
札幌国際芸術祭でのテクニカルスタッフを通じて、道外から参加するアーティストが札幌や北海道を独自の感性でとらえ、表現しているのを目の当たりにし、北海道でずっと暮らしている自分の中に、札幌、北海道でしか表現できないものや、特異なことはなんだろうという興味が生まれた。そして、2015年からSIAFラボのメンバーとして札幌特有の自然環境や社会機能を見つめなおして、新たな発見や創造を生む場をつくろうと現在まで活動しているそうだ。
SIAFラボは、2015年に札幌国際芸術祭(略称:SIAF)を支える文化の土壌作りを目指し、札幌市資料館のSIAFラウンジとプロジェクトルームを拠点に、市民に開かれた芸術関連のレクチャー・シリーズなどの人材育成プログラムなどさまざまな市民協働型のプロジェクトを行ってきました。
2017年以降は、アーティストの立場に立って実際に作品制作・展示や公演を行うアート・プロジェクト、北国・札幌の暮らしの中での可能性を模索する研究開発(R&D)プロジェクト、人材育成・発掘の3本を柱として活動しています。 SIAFラボは、札幌特有の自然環境や社会機能をメディアとして捉え直し、市民とともに、新たな発見や創造を生む場として機能することを目指します。 引用:公式サイト |
2016年から行っているSPACE-MOREプロジェクトでは、モエレ沼公園から環境センサーを載せた気球を成層圏に飛ばし、成層圏から届く 環境データをリアルタイムに映像や音に変換して地上の会場とつなぐパフォーマンスなどを実施した。
高度35,000mで撮影した景色(270度魚眼カメラにて) 出典: https://space-moere.org/
SIAFラボでは、『 ハンド・メイド・ジョウロ・ボット 自動水やりマシンをつくろう!』というワークショップも開催し、子どもたちに人気だった。まずはマシンのしくみを教え、黒い線、赤い線とそれぞれ役割を教えて基板につないでいく。熱心に作る子どもたちの手によって完成したのが、鉢の中の土の乾きを察知すると、マシンが稼働し、水が出るというマシン。このようなワークショップを通じて、子どもたちに興味を持ってもらい、裾野を広げていきたいそうだ。一時期は東京都内に活動拠点を持つことも考えていたそうだが、アート活動や趣味の釣りなどを始めて北海道への想いを強め、今では離れられないと語っている。
札幌でも現代アートやメディアアートの作品を見る機会やアーティストが来道する機会が少しず つ増えている印象がある。そういった機会をもっと増やしたい。エンジニアリングを主にしてきたので、作品や展覧会の制作の裏側を支える人材の育成の場を増やし ていきたいと考えている。
オーストリア・リンツにあるArs ElectronicaのFuture Lab であったり、山口県にあるYCAM InterLab のような恒常的にプロジェクトを継続でき人材を育成できるよ うな仕組みや機関が、札幌ならではの形でできることを目指している。
釣り
2014年から朱鞠内湖に仕事で行った際にそこで体験した釣りにはまり、今では仕事にもしている。釣れること自体の嬉しさもあるが、自分で考えて作った道具で釣れると いうところに面白味を感じていて、3Dプリンターでルアーを作ったり、波長の違うLEDなどを使っ て集魚灯を作成したりしている。
釣りそのものや、ポイントまでの沢下りだったり、釣った魚を余すところなく料理したり、生き物や 自然の大切さや触れ合い方を多く学べ、身近に豊かな環境があるのが幸せだと感じている。
公式サイト artful
・札幌近郊のおすすめのアートスポットを教えます |
・コンピューターを使った展示や演出をしたい方の相談にのることができます |
※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。
北海道大学
北海道札幌市北区北8条西5丁目
オフィスのバルコニーの隣が北海道大学の敷地のため、て時期になると羊がのんびり放牧されているの で仕事の合間にそれを見ると心が穏やかになります。
ポーランドのヴロツワフ
公式サイト
SIAFラボの作品でWRO(メディアアートフェスティバル)に参加した際に、半月ほど滞在した場所。 平日の夕方にはどこもみんな仕事が終わって美術館や博物館、デパートなどが家族連れでにぎ わっているのが印象的でした。また滞在したい場所。
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※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。
岡田 恵利子さんから紹介。北海道の中で好きな場所の一つ・モエレ沼公園でのアート作品展示など札幌芸術祭の運営に関わっていて(野田)
インタビュー・野田国広(編集部) グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。野田国広の記事一覧 |