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【和歌山】原裕(だものみち)

生まれ故郷の和歌山県那智勝浦町にある色川地域が、獣害で深刻になり猟師として活動を始め、狩猟体験ツアーなど開催する原裕さんにインタビュー。

プロフィール

和歌山県那智勝浦町の山奥の色川地域で生まれ育つ。大学で鳥獣害対策の研究をしたことを機に色川へ戻り、その道へ。現場の対策を行う一方で、地域の現状や魅力を伝えるツアーを開催するなど、地域とのかかわりしろを作るための活動を行う。昨年、クラウドファンディングを活用し、「循環」をテーマにしたシカ、イノシシの解体処理施設を立ち上げる。

那智勝浦町で獣害が深刻に

和歌山県那智勝浦町は、紀伊半島でも有数の観光地・ユネスコ世界遺産にもなった熊野古道や。マグロの水揚げで有名な勝浦漁港などがある。山奥に進んでいくと色川地区があり、40年くらい前から移住者が増えて住民の半数を移住者が占めている地域がある。近年は移住者は減ってる傾向にあるそうだが、その町で生まれ育った一人が原裕さん。地元の高校を卒業し、大学は九州の鹿児島大学に進学した。

大学3年生の頃、ヤギなどの家畜の勉強をしていた時、獣害対策についても学んだ。獣害は主にイノシシ、シカ、クマなどの野生動物によって農産物などを荒らされたり、人に襲いかかってくることもある。イノシシの研究も学校で学び、まわりの友人たちは就活を始めた時期でもあったが、原さんは就活はしないまま4年生になる。そんな時に地元から帰ってこないかと声がかかる。生まれ故郷の色川などでは、獣害が深刻になっていた。農家さん自身が片手間ではイノシシ対策はできない。ちょうど国の事業で「新・田舎で働き隊」のという、地域おこし協力隊の前身になった事業が始まり、そこの人材活用で原さんは地元に帰る決意をした。

独学で狩猟をはじめる

大学を卒業して地元に帰ってからは、独学で本など読んだり、先輩猟師さんの話を聞くなどして狩猟を始めた。一時期は銃を使ったこともあったが、今は罠を仕掛けて狩をしている。一番大変なのは気持ちのコントロールだそうで、相手は野生動物なので、借りをし、解体して正肉処理を自分でしなければならない。その時に感じる気持ちを整理するのが難しかったが、少しづつ数をこなしながら慣れていった。シカは比較的に大丈夫だが、イノシシの場合は突進してくる可能性もあるため、命がけだ。罠のワイヤーが切れてしまい、逃げられたこともあったそうで、逃げた方向が自分とは逆方向だったから良かったものの、もし自分の方に突進してきたらと、そういう体験もあったそうだ。

クラウドファンディングで作業場建設

2020年クラウドファンディングを活用し、「色川の小さな解体処理施設 だものみち」の建設費の資金調達をした。作業場は内臓や皮を処理する前室、肉を加工していく加工室、安全に品質を保って保管するための冷凍室、3つの部屋を作った。

施設が出来る前から、実際に現地へ来てもらう狩猟体験ツアーを開催。獣害や狩猟について学びながら、実際に罠を仕掛け、かかった獣を仕留めて解体、調理して食べるところまでを2泊3日で体験できるというものだ。狩猟のほかに農作業を手伝ったり、薪を割ったりする農家訪問もツアーに組み込まれている。大阪や東京など都市部の若者が5〜15名ほど集まった。

その直後にコロナ禍となって、オンライン方式での開催となる。「だものみち」とは原さんが考えた造語で、獣(けだもの)から”だもの”を取り、人間も野生動物も同じ生き物、共存できるものを目指したいという想いをこめたそうだ。22年には解体施設の近くに、野菜や卵の収穫、鹿の解体など里山の暮らしの体験も兼ねたレストラン「Aima」を作る予定。レストランは奥さんが運営をされるそうで、都市と地域をつなぐその合間の施設にしたいと語る。

これからどうしていきたい

地域で暮らしてるとマンパワーが足りない。移住のための施作も必要だけど、もっと気軽にこの地域に関わって欲しい。狩猟体験ツアーなどを通じて、色川に来て欲しい。

パッションポイント

DIY

公式サイト、出版物など

だものみち

チケット(私のできること、得意なこと)

・狩猟体験できます
・色川の個性的な人を紹介します

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

棚田の風景
和歌山県那智勝浦町

お気に入りの場所(アウェイ)

桜島
鹿児島市桜島

提供:鹿児島県観光連盟

つながり

光岡勇祐(HafH Lab)

脇口みづほ(ツナ娘)

後呂孝哉WhyKumano)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

光岡勇祐さんからの紹介。この数年よく狩猟の話を耳にする機会が増えてて、まわりでも狩猟に行く女の子が何人かいます。若い女性中心にジビエ料理を含め人気が高まってる様子で、狩猟について話を伺うのは初めてだったので、とても興味深いお話でした。農業体験レストランが出来たら行ってみたいです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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