100人、100通りの人生とまちの風景、キーパーソンに会いに行こう

【長野】平林和樹(WHERE)

IT企業や株式会社CRAZYなどを経て株式会社WHEREを創業、『LOCAL LETTER』や『SHARE by WHERE』などのサービスを生み出した平林和樹さんにインタビュー。

プロフィール

ヤフー株式会社/カナダ留学/株式会社CRAZYを経て、株式会社WHERE創業。約2万人の会員を持つ地域コミュニティメディア「LOCAL LETTER」、産学官民の起業家70名以上が登壇する地域経済活性化カンファレンス「SHARE by WHERE」など地域、産業を超えた共創を創出。さらに長野県根羽村で一棟貸し宿「まつや邸」を運営するなど独自の事業作りで活動中。2021年7月には地域共創コミュニティ「LOCAL LETTER MEMBERSHIP」を開始し、4ヶ月で約100名の会員へ。

豊かさとは、人との繋がりとは

生まれは長野県安曇野市。日本アルプスの美しい山々に囲まれ、梓川の清流をはじめ、日本最大規模のわさび園「大王わさび農場」でも名の知れた自然豊かな地域で育った。キャリアのスタートは大手IT企業でエンジニアとして始まり、スタートフォン向けの広告プロジェクトの立ち上げなどに携わったのち、社内でも高く評価され順風満帆なキャリアだったものの、どこか枯渇感を覚えていたという。広大なオアシスをひたすら走り続け、ようやく水を見つけと思えば、再び走り続ける。その繰り返しの日々。小さい頃から豊かさに対する執着だけがあり、稼げる仕事をして成績を上げて、給与をもらう。お金があれば満足だと思っていた。

2011年、そんな仕事絶頂期でもあった時に東日本大震災が発生。ふと自分の近くに困ったと言える人がいないことに気づく。両親は長野県で、自分は都内で暮らしていて、隣近所の人とは何の縁もない。テクノロジーはどんどん発展して、欲しいものは注文すればすぐに手に届くが、人との繋がりは過疎化していることに気づいた。自分の中で思考が噛み合わなくなり、IT会社を4年で退職しカナダでワーキングホリデーをしようと海外へ飛び立った。3ヶ月ごとにカナダの西部から移り住みながら語学学校に通い、ホテル、バーなどで仕事をしながら東部まで横断した。当時は英語も話せず周囲から相手にされず孤立していたが、プライドを捨ててゼロからのスタートだと思い、どう生きたいかを考え抜く。また、カナダで体験した人のあたたかさ・お金ではなく、繋がりが心の豊かさになると気づいた。

WHERE.incを創業

自分自身が繋がりを一番感じていた、地元に貢献したいという気持ちが強くなった。帰国してから、ITコンサルティングなどの仕事を始める中で、仕事はやりがいがある一方で、地元の友だちと飲みながら話しているとあまり元気がなかった。一番大事にしたいのは、自分たちがまちを面白くしていくことだと思った。次に日本初のオーダーメイドウェディングのCRAZYの立ち上げにも関わった。そこで新規事業をできる機会があり、2018年に株式会社CARZYから独立した。

事業拡大したタイミングで新規事業を立ち上げ、事業は「地域パートナー事業」と自社サービス「地域プラットフォーム事業」の2つ。「地域パートナー事業」では、地域の資産に残る事業づくりを軸に、課題発掘、施策立案などプロジェクトデザイン~実行までをワンストップで、自治体や事業者と共に実施する。一方「地域プラットフォーム事業」では、地域と人の繋がりをテーマにした地域コミュニティメディア『LOCAL LETTER』と、さまざまな業界・地域を超えた地域経済活性化カンファレンス『SHARE by WHERE』の運営を行なっている。

さらに2021年7月からは、共にまちをつくることを選択する人たち向けの月額980円の地域共創コミュニティ「LOCAL LETTER MEMBERSHIP」の運営も開始している。そのコミュニティから自らの生きたい人生を考え、実現できる人たちを増やしていくことを目指している。

クラファンを活用して実現させた「富士吉田のスカイランタン祭り」

何か新しいことをはじめるとき、多くの場合ネックになる資金源。でも「資金がない」という理由で諦めることはしたくないと思った時、クラウドファンディングに目をつけた。2017年11月、富士吉田市と一緒に「富士山のふもとで行う、年内ラストのランタン祭り」のクラウドファンディングを行い資金を調達して、12月にイベントを開催した。1000年以上続く富士吉田市の伝統工芸の機織に感謝を伝えるという企画で、富士山を背景に、200 個のランタンを飛ばした。イベント当日は地元で愛される「吉田うどん」をはじめとする飲食店が出店。焚き火エリアも開設して参加者の交流の場も作った。

これからどうしていきたい

目指すのは心の豊かさ。個人に合った生き方を選択していけるよう、地域とのマッチングや、地域資源を活かした起業支援をしていきたい。

パッションポイント

コミュニティ運営、キャンプ、サウナ

公式サイト、出版物など

WHERE.INC

LOCAL LETTER

SHARE BY WHERE

チケット(私のできること、得意なこと)

・自分が実現したいことを相談にのります

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

長野県安曇野市

お気に入りの場所(アウェイ)

山梨県富士吉田市

奈良県東吉野村

高知県

香川県父母ヶ浜

つながり

有賀沙樹(こゆ財団)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

有賀さんからの紹介でインタビュー。LOCAL LETERは以前から目にしたことがあって、メンバー制の話などどれも興味深くお話を伺えました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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