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【北海道】黒井理恵(naniroBASE&Lab.)

CSRコンサルタントとして数多くの企業と関わり、その後地元の名寄に戻って冬季スポーツを核としたまちづくりにも活躍の場を広げる黒井理恵さんにインタビュー。

プロフィール

北海道名寄市出身・在住。
Nスポーツコミッション(名寄市)事務局次長、naniroBASE&Lab.副所長(名寄のコミュニティスペース)、(株)DKdo取締役、NPO法人森の生活(下川町)理事。

静岡県立大学国際関係学部卒業後、東京の出版社、企業PR・ブランディング企画制作会社を経て、2014年にUターンし現職。前職ではCSRコンサルタントとして、多数の上場企業のCSR広報、マネジメント、理念づくりや、社会課題解決型新規事業のプランニングなどに携わる。2006年からファシリテーションを学び、現在は自治体・企業・NPO・市民向けに組織・人材開発をベースに年間約60回、延べ約3000人以上に向けてワークショップや対話の場を開いている。

よりよい社会をつくるをテーマに

北海道の名寄市出身で、小学生の頃から「よりよい社会をつくる」ということを考えてきたと語る黒井理恵さん。大学時代は国際関係学部で開発経済学について学び、その中で「開発教育」というものに出会った。開発教育は、開発をめぐる問題を理解し、望ましい開発のあり方について考え、共生できる持続可能な社会づくりに参加することをねらいにした教育をいう。そうした興味から、社会人として働きながらも2005年からファシリテーションについて学び始めた。前職はCSR(企業の社会的責任)のコンサルタントとしていろんな企業と関わる一方、CSRに関心が高い女性たちとCSR48というグループを結成するなど、公私隔てなく社会課題解決や「よりよい社会をつくる」ために活動してきた。

地元の名寄に戻る

2011年の震災以降、周囲のクリエイターや社会起業家たちが地方都市に関わり、小さな街で課題解決をしたり新しいモノコトを立ち上げたりしている様子を見て、少しずつ「地方に住む」ということを意識し始めた。そんな中、2013年に東京都内で行われた地域系イベント「出身地Day」に参加し、そこで誕生した北海道人コミュニティから派生して「北海道との新しいかかわり方を創造する」という理念の株式会社DKdoを設立。同時に、名寄にUターンしたのが2014年だった。大きな企業とともに、大きな課題に対してアプローチしようとしてきたCSRコンサルティングの仕事を手放し、暮らしの中で自分の手でモノゴトを動かす手触り感のある仕事へとシフトしたのだ。

市民が交流し創発する場、「naniroBASE&Lab.」

Uターン後、名寄で出会った仲間と「名寄の街をもっと楽しく」をコンセプトにしたクリエイティブユニット「なにいろ工房」を結成し、2015年にコミュニティカフェ「なにいろかふぇ」を開業した。名寄で新しいイベントの企画運営だけでなく、何かを始めたい人をサポートする場としても機能し、2020年7月からは移転して「naniroBASE&Lab.」に生まれ変わり、火・水・木の日中はコワーキングスペース、夜はイベント会場などとして新たな市民の学び・創発の場と交流拠点となっている。また、地域とのかかわりをつくりたい名寄市立大学生たちも出入りし、彼らのサポートを市民がしたり、街のイベントへ大学生が子ども向けの縁日の出店をしてサポートするコミュニティが生まれている。黒井さんは名寄市を中心にスポーツを通じた地域づくり・人材育成をテーマにした産官学連携団体「Nスポーツコミッション」の発足に携わり、現在は事務局次長としても活躍の場を広げているほか、名寄市に限らず北海道の移住を促す「北海道移住ドラフト会議」を立ち上げ運営するなど、幅広い地域・ジャンルで活動している。

さとのば大学で新たな教育のカタチを

道内に限らず、全国規模の事業にも携わっている。地域を巡りながら地域活性化についてやプロジェクト創発について学ぶ「さとのば大学」がその一つだ。オンライン学習と地域プロジェクトの実践からなら地域や人とのかかわり方を学ぶのが特徴で、半年コース、1.5ヶ月の短期コースに加え、2021年度からは4年制大学として「さとまなプログラム」も始動した。友人だった信岡良亮さんからこの構想を聞いたのは2018年年始のとある合宿。その後、クラウドファンディングで1,000万円以上もの資金を集め話題となり見守っていたところ、講師となるメンバーの方向性などを引き出し、整理するためにファシリテーターとして入って欲しいという打診があってジョインした。現在は短期コースのカリキュラム形成とメインファシリテーターとして関わっている。

これからどうしていきたい

「よりよい社会をつくりたい」というテーマは変わらず、人材開発や組織開発の視点からアプローチしている。1人1人がやりたいことを実現できる社会を目指し、さらにその「やりたいこと」が社会課題やまちづくりのキーワードと結びついていれば、「みんなでつくるよりよい社会」が生まれるのではないか、そういう社会に生きていきたいと思っている。

パッションポイント

人が立ち上がる瞬間を見ること

公式サイト、出版物など

さとのば大学

naniroBASE&Lab.

Nスポーツコミッション

北海道移住ドラフト会議

チケット(私のできること、得意なこと)

・やりたいことの相談のります

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

名寄ピヤシリスキー場の山頂からの眺め
北海道名寄市日進
公式サイト

お気に入りの場所(アウェイ)

山梨県清里「清泉寮」
山梨県北杜市高根町清里3545
公式サイト

ここでは、年1回、仲間と集まって1年の計を立てる合宿をやっています。昨年はコロナでお休みだったのですが、ここにくるメンバーと、日本だけでなく世界や地球で起きている出来事を眺め、学び、いまの自分と仲間とで何をしていくかをじっくり考える時間で、私も心身と頭に英気を養う時間です。

つながり

工藤紘生(一般社団法人SoLaBo)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

工藤さんからの紹介でインタビュー。活動の場が多岐にわたっていて、知れば知るほどすごい方だと思いました。投げかけた質問にテンポよく返してくれる感じも、心地のいい時間に思えました。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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