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【福岡】貞末真吾(ブルースカイ)

メーカーズシャツ鎌倉から独立して福岡へ移住。相次いで斬新な企画を生み出し、福岡を元気に盛り上げる仕掛け人・貞末真吾さんにインタビュー。

プロフィール

1974年 神奈川県鎌倉市生まれ。
元メーカーズシャツ鎌倉株式会社 常務取締役。同社で採用人事および福岡・NY出店プロジェクトに携わり、「自分の手が届くところに国際交流ができる場所をつくる」と決意。単身赴任の際に訪れた福岡に惚れ込み、2012年5月移住を決断。2013年に子ども向け写真館「Acestudio」(ほか2店舗)、2016年バンコクの唐揚げホステル「trica」、2017年6月泊まれる立ち飲み「STAND BY ME」をオープン。宿泊事業・イベント事業・フォトスタジオ事業を軸に周辺サービスの拡充、人事・経営・地域活性コンサルティングなど幅広く活動中。趣味は大好きな仲間と騒ぐこと、旅、ファッション。

鎌倉から福岡に移住

生まれは神奈川県鎌倉市。大学を卒業しいくつかの会社を経験したのち、父親が経営するメーカーズシャツ鎌倉に入社する。国内の商業施設などではお馴染みの店だが、新たにニューヨーク進出を考えている時だった。しかしなかなかプロジェクトは進まず、貞末さんが引き受けニューヨーク出店を果たす。次にシンガポールとパリに出店しようと会社の計画とは別に勝手に動いてしまう。その結果本社に呼び出され解雇となってしまった。ニューヨークでも住居を契約し引っ越す準備もしていたそうだが、以前九州出店で福岡に3ヶ月ほど滞在したことがあり、気に入っていた福岡に引っ越した。福岡ではヴィンテージショップやフォトスタジオなどの事業を相次いで初めていく。

泊まれる立ち飲み、STAND BY ME

2017年6月、福岡市の大濠公園の近くに「スタンドバイミー」を開業した。1階が立ち飲み屋で、2〜3階がベッド数35のホステル。コンセプトは「泊まれる立ち飲み」。若い人同士が出会う場所や、海外の旅行客がやってくる場所にしたいと思っていたが、実際には海外の方々は全体の3割くらいで、地元の年配の方々も多く集まる場所となった。1,000円で4杯のお酒を飲めて、酔っ払っても上の階にある宿泊施設ですぐ眠れる。もし、給料日前の金欠時でも皿洗いを手伝えば4杯分を楽しめるという斬新さが話題になった。

会社の名前は「株式会社ブルーススカイ」と名付けた。社名の由来は貞末さんの奥さんが天気がいい日は機嫌がよく、天気が悪いと機嫌が悪くなるので、天気のいい青空(ブルースカイ)と、カタカナ6文字がいいと聞いて決めたそうだ。「スタンドバイミー」が成功をし、その経験を活かして福岡パルコで「タイムカード」という1時間ハイボール飲み放題、持込自由というコンセプトの飲み屋をプロデュース。

糸島がオシャレスポットに「#ジハングン」

2018年、福岡県糸島市のある場所に「#ジハングン」というエリアがある。日本海に面した場所で、もとは地元の漁業組合の土地だったが、固定資産税も払えないくらい活用に困ってると相談があり、3,000坪の土地で面白い企画をプロデュースすることになった。はじめは海の家や宿泊施設付きのフードコートなど考えたが、上下水道がなく、整備するにもコストがかかということで、『⾃販機』、恋⼈たちが何か使ってくれるであろう『南京錠』、『ブランコ』というテーマだけを福岡の作家さんたちに投げて、「#ジハングン」は誕生した。

名前の由来は自販機の群衆”で、ジハングン。瞬く間に撮影スポットとして大人気となった。並んだ6つの黄色い自動販売機型のボックスのうち、2台は本物、1台はダストボックスであとはフェイク。真ん中がくり抜いてあって写真が撮れるようになっている。ほかにも玄界灘へ向かって漕げる6mの巨大ブランコや5m×4mの女性の横顔をくり抜いたオブジェ。毎日海に沈む夕陽が見える場所だから女性の髪色が時間経過と共に変化していくとか。無人でオペレーションできるように、駐車場代だけでアートを楽しめるようにした。

ホテルからシェアハウスに転換

2020年以降からのコロナ禍で、飲食業界や宿泊業界など大打撃を受け、貞末さんが経営していた「スタンドバイミー」も他人事ではなかった。もともと人が多く集まることを前提にしたビジネスだったので廃業を考えた。ビルの大家さんにその考えを伝えに行った時、固定資産税分だけでも払って残ってくれないかと言われる。そこで考え出した答えは、ホテルからシェアハウスへの転換だった。ちょうど世界中のコロナ禍で、海外に入れずやむを得ず帰国して来た日本人が多数いたので、彼らにそのシェアハウスに無料で住んでもらった。無料で部屋を貸す代わりに、「タイムカード」など立ち飲みの手伝いをしてもらうことにした。

出会いの場やコミュニティを作るのが好きだと語る貞末さん。そうした出会いの場を通じて自社の採用活動もできるし、人を見る力も養える。面白法人カヤックのCEO柳澤大輔さんが主催する「カマコン」からヒントを得て、「フクコン」というイベントを月1回開催していた。毎回50名人ほど参加して「福岡を盛り上げたい」と思うプレゼンターが4~5人登壇し、5分程度プレゼンをしてもらって、そのプロジェクトについてみんなでブレストする。その中から会社やプロジェクトが生まれていた。それが「泊まれる立ち飲み屋」をコンセプトにしたゲストハウス「STAND BY ME」や「動くスナック アポロ号」でもあった。人と出会い、そこで困り事があれば、それを解決するビジネスを次々に生み出す貞末さん。今後の活躍も目が離せない。

これからどうしていきたい

個人的に、この前国内旅行で、父の広島出身高を尋ねて広島に行った。同窓会会館があったので、学校の方に声ををかけ中に入らせてみもらうと、過去の卒業アルバムがあり、父を見つけ写真を撮って父にプレゼントしたら喜んでくれた。その足で平和記念公園も訪れて、犠牲者が多かったのを実感した。

長崎にも訪問したが、日本人は褒められても謙遜してしまうが、自分は可能性を認めてくれてありがとうと言ってる。するとどんどんやる気が湧いてくる。仕事は誰と一緒にやるかで決めている。名古屋でも鎌倉シャツ時代の新卒の子と一緒に保育士の人材会社を作ったが、きっかけは知人の困り事だった。困ってることをビジネスで解決していきたい。

パッションポイント

サーフィン、なかまと酒飲み

公式サイト、出版物など

公式サイト

チケット(私のできること、得意なこと)

・事務所に来てださい、ドリンク1杯おごります。面白い人を紹介します。

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

#ジハングン
福岡県福岡市西区西浦

お気に入りの場所(アウェイ)

ザ・コモンズ
バンコク・トンロー
公式サイト

つながり

五十嵐慎一郎(大人)

山野壮志(FATCAMP)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

五十嵐さんからの紹介でインタビュー。福岡には延べ25年間いたので、だいたいは知ってるつもりでしたが、貞末さんのような仕掛け人が福岡にいたことは知りませんでした。しかも昔は何もなかった糸島が近年では観光客増やオシャレスポットに変貌してて、その仕掛け人でもあったというのを知って一瞬で心を奪われました。これからも福岡やいろんな場所で面白いことを仕掛けられることを楽しみにしています。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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