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【高知】尾﨑康隆(土佐町役場)

高知県庁を経て土佐町役場に移り、中山間地域が大切にしてきた価値が次の世代にもつながっていくように、SDGs推進を中心とした活動を行う尾﨑康隆さん。

プロフィール

土佐町役場企画推進課SDGs推進室 課長補佐(企画担当)兼SDGs推進室長。

1981年高知県高知市生まれ。東京都での民間企業勤務を経て、平成19年10月高知県庁へ入庁。土佐町での地域支援企画員、産学官民連携・起業推進課でKOCHI STARTUP PARKの企画・運営等を経て、20193月に高知県庁を退職。20194月より土佐町役場に入庁し、現職。

地元にUターンし県庁職員に

高知市で生まれ育ち、音楽や映画が好きで東京に憧れていた。東京都立大学への進学を機に上京。学生時代はアルバイトとライブや映画に明け暮れる日々で、新文芸坐などの名画座に通い、年間に300本近く映画を観たこともあった。就活はあまりせず、卒業してそのまま近所のハウスクリーニングの仕事を見つけて働き出した。大変な仕事ではあったが楽しくて数年間続けていた。普段生活してきて出会わない人たちと、職場で出会うことが多く、いろんな世界があるんだと新鮮に感じていた。

数年後、訳あって高知県の実家に帰り、地元で仕事を探し始めたが、ちょうど就職氷河期で、なかなか仕事を見つけるのは容易ではなかった。県庁の臨時職員募集を紹介され2007年から県庁で働いた。公務員家系もあって、ずっと公務員に対してはいいイメージを抱けていなかったのだが、実際に職場に入ると良い職場だと思えた。職員の志に触れたことや、地域に関わる仕事の面白さを知ったことが大きかった。その後正式に県庁職員となり、畜産振興課に配属され、牛乳パックのリサイクル活動などを小中学生に伝えたり、乳業の振興に携わった。福祉保健所に異動した後は、障害者福祉を担当した。ちょうど制度の変わり目の時期で、ファシリテーションやケアマネジメントの面白さを知った。

地域に入って、そこのプレイヤーたちとつながり、全体の仕組みづくりをやっていくことが楽しく、高知県独自の地域支援企画員として土佐町に赴任した。そのまま土佐町に居を移し4年間過ごした時に、土佐町の風土が自分に合ってると思った。異動後も土佐町で暮らすことを決めた。半年間の育休明けに県庁に戻ると起業推進を担当することになり、「KOCHI STARTUP PARK」の立ち上げや企画運営を任された。高知県で起業や新しい事業に取り組む方を支援するため2017年にスタートしたプロジェクトで、起業メンタリングやセミナー、プログラムを企画していた。一方で、このまま県庁で仕事を続け、しだいに現場から離れていくことにつまらなさも感じていた。地域にあるニーズに関わって、地域と一緒に形にして、提案したいという気持ちが多くなった。

高知県庁から土佐町役場に転職

高知県民およそ70万人のことをやっていくには、自分の定年までの残り時間を考えると時間がかかりすぎると思った。以前から、役場への転職を誘ってもらっていたこともあり、2019年から土佐町役場へ転職した。町の人口は約4,000人弱で、現場に近い場所で仕事ができそうと思った。町役場ではSDGsの推進を中心に、企画や地方創生、高等学校魅力化事業などを担当している。2030年までの町のマスタープラン(総合計画)の策定を担当できたことはとても大きな出来事だった。

土佐町がこれからもサステナブルであること、地域がこれまで大切にしてきた価値をきちんとつないでいきながら、一方で、これから地域を担っていく世代が幸せに町で暮らしていくために必要なことをかたちにしていくことに少しでも力になりたい。「過疎地域はお荷物だ」というような声を聞くことも増えたが、決してそんなことはないはず。この地域が存在することはとても大きな価値があると思う。

22年からは慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程にも進学した。SDGsや環境・社会・経済のつながり、自然生態系と人の営みの関わりについて知見をより深めたい。そして中山間地域が存在として価値があると示したいと語る。

これからどうしていきたい

まちがサステナブルであるために、ちゃんと歯車として機能したい

パッションポイント

仕事(まちに関わり続けること)

チケット(私のできること、得意なこと)

・土佐町を案内します
・サスティナブルの話をします

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

大豊町、梶ヶ森(フェスしてた)

お気に入りの場所(アウェイ)

苗場(フジロック)

つながり

秋吉直樹・はな(SUNNYSIDE FIELDS)

有澤聡明(須崎市役所)

北山めぐみ(NPO法人すてきなまち・赤岡プロジェクト)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

秋吉はなさんからの紹介でインタビュー。公務員になるまでの話が面白かったです。映画や音楽の話をゆっくりしたいです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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