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【川崎】石井秀和(新城WORK)

川崎市の武蔵新城エリアで不動産経営を行い、まちに開かれたエリアリノベーションを推進している石井秀和さんにインタビュー

プロフィール

1975年11月、川崎市中原区出身。
株式会社南荘(みなみそう)石井事務所 代表取締役。

武蔵新城を中心に展開するセシーズイシイ賃貸マンションシリーズを管理、運営。賃貸マンション共用部を改装し「PASAR SHINJO」を開設。それをきっかけにJR南武線 武蔵新城駅を中心としたエリアに「この街に住みたい、住んで良かった。」というひとを増やす為の仕組み作り、情報発信やイベント企画など様々な活動を行っている。

江戸時代から代々続く家系で生まれる

江戸時代から代々400年以上も続く農家の本家で生まれ、曽祖父はJR南武線の武蔵新城駅を誘致に尽力した人物だという。そうした家系で生まれ育った石井さんだが、子どもの頃は誰もが知る家の子というのが嫌だったと話す。高校大学と進学し、IT企業に就職。いつかは家業を継ぐと思っていたが、それまではなるべく家業から遠い場所に身を置いた。2000年に結婚を機に実家に戻り不動産経営に就く。2013年には先代の父親が亡くなり、代表になった。その日を境に家業を背負って生きていく覚悟が出来たと話す。

社長になった当時は不動産の資産も多く抱えていたので、運用をどうしていこうかと悩んでいた。2014年地元不動産会社に紹介されたブルースタジオの大島芳彦さんに、熱海で開催される「リノベーションスクール」の参加を勧められる。リノベーションスクールは、街にある建物を対象に、週末にかけ2泊3日または3泊4日でリノベーションプランを参加者自らが企画し、オーナーに提案するというものだ。石井さんがいたチームに与えられた課題は熱海の銀座通りから離れた場所にあった「吉野屋商会(現ナギサウラ)」。その動線をどうするか、熱海でなにが起こるのか、さらにその起きたことをどう広げていくかを考えた。

自社所有物件をリノベーション

リノベーションスクールでは数多くの仲間とも出会い、多くのことを学んだ。そして武蔵新城に帰ってきて、まず初めに、以前から計画していた自社物件セシーズイシイ7の改修に着手。スクールでの経験を活かして完成された。当初は入居者用共用ラウンジを考えたが、スクールの仲間にもプランニングに参加してもらい、まちの人も使えるカフェ「新城テラス」を作ることが決まった。その後、地元の不動産屋からの紹介でパン教室「BAKERY STUDIO」が決まり、最後にレンタルスペース兼イベントスペース「PASAR BASE(パサールベース)」で構成したまちの共用スペースPASAR SHINJO(パサール新城)が完成する。当初はマンションの住民用のコミュニティスペースも考えたが、まちに開かれた多目的スペースにしたことで、地域や近隣の町からも人が来てくれるようになった。

 

並行して築50年の集合住宅「第六南荘」の1階を改修した。新城テラスのロゴや内装デザインをしてくれたピークスタジオに東京にあった事務所を武蔵新城に移転しないかと声をかけた。その際にプランを出してもらったらベランダを壊し道路側にテラス式のエントランスを作りたいというプランを提案された。そして1階にピークスタジオの本社と新城テラスにシフォンケーキを卸す「菓子工房ichie」を作った。ピークスタジオも石井さんと一緒に寄り添って、街の環境に溶け込んでいきたいと言ってくれたのが嬉しかったそうだ。

新城の街全体を楽しい街に

石井さんは新城の商店街も街歩きしながら盛り上げたいと考え、隣町の溝の口で実施していた「1000Bero」というイベントを武蔵新城にも持ち込んだ。商店街の各店舗が1,000円のメニューを提供して、お客さんは街歩きしながら新城の町を楽しむという企画だ。参加店舗は飲食店のみならず、絵画教室、ヨガを提供する店も参加した。イベント期間中に1万人もの来客効果があったそうだ。またFacebook上で「ふらっと武蔵新城」という参加者が自由にオススメを投稿しあえるグループを作成したり、ゴミ拾いボランティアのグリーンバード新城中原チームの立ち上げも行なった。

新城WORKの完成

新城テラス近くにあった中華料理店とBARの空き店舗をリノベーションしてコワーキングスペース「新城WORK」を2020年にオープン。設計はピークスタジオで、新城テラスなどと連携して暮らしと働く場を豊かにしようと目指している。新城テラスに新城WORKなど一連のエリアリノベーションに対し、2021年グッドデザイン賞を受賞し、業界内にも大きな話題を呼んだ。

これからどうしていきたい

2022年春に新城テラスの並びに新しく働きながら暮らせるマンションができる。まだ検討中だが共用部を充実させて、パサールベースの2階を改装してトレーニングジムを作る予定。これからも住んでいる人に価値を提供していきたい。

さらにその先として、JR武蔵新城駅沿いの所有物件をサービスアパートメント型のホテルに建て替える案も考えている。上層階は高齢者住居にし、中層階はゲストハウスにして、武蔵新城の街全体を、ゆりかごから老後まで豊かに暮らせる街にしたい。

パッションポイント

フラッグフットボール

公式サイト、出版物など

セシーズイシイ

新城WORK

チケット(私のできること、得意なこと)

・地域を盛り上げたい人、教えてます。

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

新城テラスと新城WORKを望む風景

お気に入りの場所(アウェイ)

熱海

つながり

小林めぐみ(CLUB HUBlic)

三浦健(CHABAKKA TEA PARKS)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

石井さんとの出会いはグリーンバード中原新城チーム立ち上げ時に初対面し、その後グリーンドリンクス川崎のイベントを一緒に企画開催させていただきました。近年は新建築やグッドデザインなどでも取り上げられるほど注目も集まってきていて、活躍が眩いです。今後のエリアリノベーションが楽しみです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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