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【京都】小林加奈子(小林ふぁ〜む)

学習塾から農業に転身し、農業のフランチャイズやオリジナルのトマトジュースなどを手掛ける小林加奈子さんにインタビュー。

プロフィール

大阪府堺市出身。北海道大学農学部畜産学科卒。大学卒業後は、どんな子でも必ず受け入れる方針で学習塾を経 営。個性を伸ばす進路指導を300人に行う。卒業生は多方面で活躍。その頃学生時代からの夢であったミニブ タとの生活を始めたのがきっかけで、安心安全な野菜作りを始め、2015年京都府福知山市に『孫ターン』。農 業をスタート。お米や野菜を購入する方の多くは女性であることから、女性目線の農業が重要だと考え、法人化 後、代表に就任。ターゲットを見据えて農薬を使わず有機肥料のみで野菜を栽培、販売まで行い、畑から食卓に 届くまで責任の持てる農家を目指して奮闘中。

2018年西日本豪雨の時に畑が水没してすべてを失ったが、た くさんの方のサポートで復活。「一人でできることには限りがある。人と人のつながりにより無限の広がりが生 まれる」ことに気づき、農家を目指す人、若手農家さん、家族経営農家の奥さん、聴覚障害者さんなど地域のさ まざまな農家とともにトマト栽培を行うフランチャイズ事業をスタート。

ただ生産を拡大するのではなく、地域 活性、農村活性、さらに夢をもって農業に取り組む若い人たちが挫折することなく前に進めるような環境づくり を目指している。 また京都府北部の中丹地域(福知山市・綾部市・舞鶴市)の一次産業女子グループ「のら×たん ゆらジェンヌ」 を結成し、自主運営を行っている。昨年秋より両丹日日新聞で農業女子の暮らしをつづるリレー連載開始。FM 丹波ではラジオパーソナリティとして農業女子を紹介する番組を担当。プライベートではミニブタをはじめ、60 キロのピレネー犬や山羊、鶏など大好きな動物達と共に古民家で暮らしている。

小さい頃から動物が好きだった

大阪府堺市で生まれ育ち、小さい頃から動物が好きで自宅でもたくさんの動物と一緒に暮らしてきた。将来は獣医など動物に関わる仕事につきたいと思っていた。高校を卒業してドッグトレーナーへの道も考えたこともあったそうだが、北海道大学の農学部畜産学科に進学をした。人と動物とがどう共存して生きていくかを考えながら、牛や豚、山羊などの飼育にも励んだという。卒業した年はバブル絶頂期で東京など大手就職の誘いもあったが、大阪に帰ってきて、学習塾を始めた。塾で働きながらもいつかは農業をしたいとの思いはずっと頭の片隅に残っていた。

学習塾を25年間続けた頃、堺市で行われた農業塾にご主人に参加してもらい、旦那さんにも農業について興味を持って欲しいと思った。そして堺市内で畑を借り、母親の実家がある京都府福知山市の農地でも始めた。どちらもきゅうりを栽培し始めた。月に一度しか見に行けなかった福知山の方が断然美味しく、同じ野菜でも美味しさの凝縮さが違うことに驚かされた。福知山は寒暖差もあり農業に適した場所であることを実感すると、2015年に夫婦で移住を決めた。

昔懐かしい甘くて酸っぱいトマト

移住すると近所の方から若い人が来てくれたと喜んでもらえた。その噂が瞬く間に地域に広がり、高齢で農作業を続けるのが困っていた農家さんから代わりに田んぼをやってほしいと頼まれ、2反(たん)から始めた田んぼは5町(ちょう)、7反の畑にまだ拡大した。現在は主にお米とトマトを作っていて、トマトはトマトジュースに加工して販売している。一般的には甘いトマトが人気だが、小林さんが小さい頃に食べていた甘くて酸っぱいトマトが好きで、再現したという。子ども頃には、離乳食としてトマトとチーズをすりつぶして作った食べ物をおばあちゃんに作ってもらったそうだ。

独自のトマトの栽培方法を「かなこ農法」と名付けた。土をしっかりと作ることによって農薬や化学肥料を使わないトマト栽培を実現した。また育て方にも工夫を凝らしていて、その育て方や収穫方法などは公式サイトで詳しく解説している。また「とまとのじゅ~す」は、手摘みの完熟トマトだけを100%使い、砂糖や食塩、添加物や水はまったく使わない。収穫する時期を見極めるからこそトマト本来の美味しいジュースができるという。また完成してすぐに出荷せずしばらくの間は蔵で寝かせるのだという。

西日本豪雨被害に遭う

2018年7月近畿地方から九州地方にかけて大きな被害をもたらした、西日本豪雨で小林さんの農園も大きな水害にあった。田んぼに土砂が流れ込み、ビニールハウスも水没してしまった。前年にトマトジュースの試作品を完成され法人化して、より一層事業拡大という矢先の出来事だった。その年に栽培していたトマトは全滅。ジュースには全く使えない。ショックだったが落ち込んでる時間もなかった。その被害をきっかけに、自分の農園だけでなく分散してトマトを作ることを考えた。1人で作るには限界があるので、農家フランチャイズを開始することにした。

トマト作りのノウハウを無償で提供し、農家さんにはビニルハウスのみを用意してもらう。夏場の4ヶ月間栽培に専念してもらい。出来上がったら全部買い取るという仕組みだ。同じ地域の土壌でつくるので栽培方法などを伝授したら同じ品質のトマトを生産することができる。またジュースに加工する加工場に持っていくことも考えてエリアを限定して、フランチャイズ制度を拡大した。

これからどうしていきたい

中丹地域(福知山市・綾部市・舞鶴市)で、農業女子のグループを2020年に結成した。最近は農業だけでなく漁業、加工品に関わる女子も参加している。他県からの移住者も多く、お互いに情報交換したりしながら成長し合った行きたい。

まだまだ女性の社会進出を良いように思われてない事もあり、これから女性たちが自然に活躍できる世の中として、地方でも浸透させていきたい。

パッションポイント

動物

公式サイト、出版物など

小林ふぁ〜む

オンラインショップ

Instagram (@cobafarm)小林ふぁ〜む

Youtube

チケット(私のできること、得意なこと)

農業女子とつなげます
・移住して農業したい人、トマトのフランチャイズできます(7~8月限定)

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

元伊勢の日室ヶ嶽 遥拝所
京都府福知山市大江町内宮

お気に入りの場所(アウェイ)

北海道大学のポプラ並木

つながり

岡本霞(ほっとまるちゃん)

宮園ナオミ(匊 KOKU)

安井千恵(はまちえ農園)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

岡本霞さんからの紹介でインタビュー。トマトジュースは大好きで毎朝飲んでいるので、小林さんのトマトジュース飲んでみます。多くの女性たちが自然に活躍できる日を応援してます。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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