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【岡山】六反かゆこ(吉備中央町地域おこし協力隊)

東京から岡山県吉備中央町に移住し、地域おこし協力隊に。スマホを使ったスタンプラリーなどの施策でコロナ禍の地域観光の振興に取り組む六反かゆこさん。

プロフィール

六反 かゆこ

デザイナー/吉備中央町地域おこし協力隊

神奈川県出身。青山学院大学経営学部卒業後、桑沢デザイン研究所の夜間部にてスペースデザインを専攻。東京の展示施設の内装を手がける企業にデザイナーとして勤める。その後SP制作会社に転職。企業の販促物の企画設計を手がける。

結婚後、夫の仕事の都合で、岡山県に移住が決まり、移住予定地で募集のあった地域おこし協力隊に応募し採用される。現在、観光振興をミッションに活動する協力隊として4年目を迎える。

30代半ばで人生の転機を迎える

神奈川県川崎市で生まれ、そのあと横浜市で幼少期から過ごした。高校は進学校に通うも、将来は美術系の仕事に就きたいと密かに夢見ていた。しかし周りの流れに合わせて、青山学院大学の経営学部に進むも、将来の職業を見つけられずにいた。そんな中、もともとデザインやインテリアが好きだったこともあり、大学時代に無印良品でアルバイトを始める。個性的な同僚たちのさまざまな背景を見て、大企業に就職することだけが正解ではないと初めて思った。そこで就職活動をしないことを決め、卒業後は桑沢デザイン研究所の夜間部に入り、昼間は大学時代から続けていたスターバックスでアルバイトをする生活が始まる。桑沢デザイン研究所では空間デザインを主に学び、その後はアトリエ事務所に勤めていた友人に誘われ、アルバイトで設計実務を学ぶ、その経験を活かし就職先を探すも、なかなか長続きがしなかった。

悶々とするなかデザインへの道も諦めきれず、派遣社員で乃村工藝社の仕事に就き、展示会や博物館の設計をアシスタントから始めて6年半勤めた。しかし多忙さもあり体調を崩し、30代半ばでこの業界に限界を感じる。それからセールスプロモーションの会社に正社員として転職し、東京で一人暮らしを始めるが、それと同時に都会での生きづらさも感じていく。その頃、アーティストの三宅洋平さんが選挙に出馬することを知る。ちょうど社会や政治に興味を持ち始めていた時期でもあったので、その選挙ボランティアに参加することになる。それまではずっと会社勤めで生きてきたが、ボランティア仲間のもっと自由な生き方をする人たちと出会い、ライフスタイルや考え方に大きな変化が生まれた。そこでご主人とも出会って結婚。岡山に仕事の関係で移住することになった。

岡山県吉備中央町の地域おこし協力隊

岡山県の中央に位置する吉備中央町には、1981年頃から保健・福祉・教育・文化などが調和した都市を目指して開発が始まった、吉備高原都市と呼ばれる地域がある。開発から15年以上の月日をかけ、岡山市内からの新しい道を開通させたり、住宅地や産業施設用地が整備されたが、県財政見直しの対象とされ都市計画が凍結してしまっていた。

そこで残ってしまった住宅地販売促進や吉備高原都市の振興を目指した地域おこし協力隊の募集があった。東京でセールスプロモーションの仕事をしていたこともあり応募すると、結果的には町を観光で盛り上げるという別のミッションで2019年の秋に採用された。

着任後すぐに、先輩協力隊が自転車で町内1周できるルートのファンライドイベントを計画していたため、手伝いをすることになる。その後、そのルートをMAPにすることになり、デザインしたところ、町内外で好評を得て、地域のMAPに需要があることを知る。しかしほどなくコロナ禍となり観光事業はことごとくストップされた。協力隊の活動に制限がある状況だったため、町内の魅力の発掘や磨きあげの時間と捉え、ジャンルに合わせた地図やガイドをいくつか作成したり、人との繋がりを深める機会にした。

コロナ禍でデジタルスタンプラリー開催

2020年頃から、吉備中央町では移住者が続々と新店舗をオープンさせたり、観光客のニーズが近場の穴場に変わったりして、徐々に雑誌などのメディアで特集を組まれたり、意外にも少し追い風が吹いていた。その風を町内全域に吹かせたいと考え、コロナ禍でも周遊できる手法としてスマートフォンを活用したスタンプラリーを企画して開催した。21年は20ヶ所で開始し、2年目の今年は昨年の実績と町内での認知も進み、協力者が増え、41ヶ所に拡大した。

このスタンプラリーはチェックポイントに設けられたQRコードを読み込むことで、スタンプを集める手法で、無料で参加できる。22年からは取得したスタンプの数に応じて吉備中央町自慢の特産品などが当たる特賞が追加された。チェックポイントは、お店だけでなく温泉や直売所などの観光スポット、民話の伝わる名所や、由緒ある神社仏閣、紅葉スポットもある。継続事業にしていくため、毎回参加したくなるシカケを思案している。

 

これからどうしていきたい

・吉備中央町の魅力を可視化して、発信する。

・DEEPなことも盛り込み、今を切り取り残す、まちの図鑑を作りたい。

パッションポイント

サウナ、美味しいコーヒー

公式サイト、出版物など

Instagram (@hoshikayu) 六反かゆこ

Instagram (@kibichuo.stamp) 岡山まんなか吉備中央町スマホdeスタンプラリー

チケット(私のできること、得意なこと)

・地図に乗らない、とっておきの場所を教えます

※チケットをお願いする時、『ソーシャルタウンガイド』を見たと連絡するとスムーズです。
※コンタクトはSNSのメッセンジャーから連絡をお願いします。

お気に入りの場所(ホーム)

あわい
車で5分。Uターンした20代の夫婦が営む古民家喫茶。田舎暮らしの中でちょっとスパイシーな刺激がもらえる場所です

岡山県加賀郡吉備中央町和田1527
awai_kurashi

今住むとこのなんでもない日のなんでもない道
お気に入りのスポットはいくつかあるのですが、この場所は本当にいつも夕日が綺麗です

お気に入りの場所(アウェイ)

下北沢一番街
東京時代、良く通った下北沢。特に一番街にある餃子屋さんは常連過ぎて今でも帰ったら必ず行きたい!

つながり

渋谷大輔・ひでみ(スタジオシンクロール)

板垣正寿 (岡山県美咲町議会議員/画家)

泰尊/TAISONG(ラッパー)

※つながりは、紹介したキーパーソンとのつながり、または今後インタビュー予定の方です。

取材後記

渋谷ひでみさんからの紹介。渋谷さんとは東京に過ごしていた時にバスケサークルで出会ったそうで、さらに共通の知人もスターバックスで働いてた時に出会っていたなど意外な繋がりがありました。岡山は海側だけしか行ったことがないので山側にも次回は足を伸ばしてみたいです。(野田)

インタビュー・野田国広(編集部)
グリーンドリンクス川崎のオーガナイザーをはじめ、かわさき新聞などのWEBメディア運営、シェアオフィスのコミュニティマネージャーなどを勤める。福岡市出身、川崎市在住。
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